酒精雑記

飲む日も飲まない日も

前半最後の9連戦で打てる手を打ったという姿を見たい

ビシエドの同点2ランでかろうじて6連敗は免れた昨夜の中日は、未だ連敗ストップには至らず、五輪休み前の9連戦を前にして77戦28勝38敗11分の借金10。3位ヤクルトには9.5ゲーム差を付けられてしまったが、14戦して2勝9敗3分と直上のライバルに7つの貯金を献上していては、CSなど夢のまた夢である。

助っ人の入国遅延や主力のコロナ隔離で苦しんだDeNAや広島と比べ、野手陣の大量離脱に至っていないにも関わらず、そしてライマルの五輪予選離脱もしのいだ防御率3.32という投手陣を擁しているにも関わらず、底辺2チームと2.5ゲームしか離れていないのは、ひとえにただひたすらビシエド頼みの打線が原因である。

ほぼ100日前の開幕直前に、1位広島・2位中日という並びを予想した自分の目の曇りようは恥ずかしいという他ない。中日の躍進があるとすると京田と根尾のいずれかが大飛躍することが最低条件であるとしたところは、逆の意味であたってしまっていて無念である。ファーム1ヶ月では特に得るところがなかったか、京田は再昇格後も以前とあまりかわりばえのしない成績で低空飛行を続けている。ファームでは53打数15安打でOPSは.686。四球は2個、出塁率も.309というパッとしない数字しか残していない。やはり今のウエスタンでOPS.700程度では1軍で通用しないという目安だけが残ったように思えてならない。

迷いの中でもがきつづける根尾は、昨日の打席ではバットを振り切ることに集中する方向に舵をきったかのように見えた。しかし、甘い球を狙うことができているのにこれをファーストスイングで捉えきれないところに彼の壁がある。ロッテ藤原のように下で早々に調整する方が彼の為であるが、五輪休暇までは帯同させ続けるのがフロントの指示なのだろうか。あまり不自然な人事が続くのはチームにも本人にも良くないので、そろそろ潮時と考えてほしい。

開幕前には、そろそろこの時期には1軍に上がってきて火を噴く打棒が見られる時期になると予想していた石川昂・岡林がそろって怪我で離脱しており、いよいよ上がり目がないチーム状態であるが、シーズン中に編成の不備を嘆いても始まらず、とにもかくにも持てる駒でチャレンジを繰り返すしかない。

昨夜2度のホームクロスプレーで郡司が派手に落球したゆえに守備能力を見切るわけではないが、キノタクがチームOPS2番手である以上、郡司のバットを生かすには一時的にでも外野コンバートを考えた方がよいと思う。これまで一度もその可能性を下で試していないというのは、首脳陣側の準備不足・知恵不足との批判を免れないであろう。高松のレフト守備でも目をつぶろうという度量があるのだから、数試合でもいいから郡司にも下で外野を守らせておくべきであった。

同様に目を見張る打力を示し続けている石橋は、これから主戦捕手へと育てていく以上、今暫くファームでお勉強が必要であり、無理にサードや外野で使うというプランを考えるべきではないと思う。しかし、このところ下で絶好調の渡辺勝は今使うべきである。昨年で解雇せず支配下に残した以上、下で実績を上げたら30打席くらいはまとめてチャンスを与える必要があるはず。

そしてこのブログでしつこく取り上げているが、伊藤康祐は今季一貫して高い出塁率を残している。一時期少し調子を下げていたものの、再びOPSを.800台まで上げてきた。153打数43安打36四球で出塁率は4割超えである。これだけ立派な成績を残しており、1軍の外野がスカスカという状態なのに使わないようでは、組織の活性化など期待すべくもない。後半戦に向けた光を感じたいファンのためにも今すぐ招集し、前半残りの9連戦で6先発出場&20打席くらいは与えてやってほしい。

難しいのは育成落ちとなった石岡の扱いである。残りの枠は1つ。山下に先を越されたところにはじけきれない石岡らしさが出てしまっているが、123打数42安打4HRで長打率.520、OPSは.902とまさに無双の活躍である。6月後半で打率を5分も上げており、まさに上げ潮の状態だ。外野守備経験も多少はあるのだから、背番号が二桁だったら左の長距離砲外野手としてまさに昇格1番手であった。巡り合わせの悪い選手であるが、それも含めての実力か。しかし打撃面ではほぼ死に体のチームである。この先1つ枠を余らせるだけで無策が続くなら、オリックスの杉本のような覚醒例だってあるのだから、えいやとひとおもいに支配下登録し、今年後半、最後の見切りの機会とするのも一策ではないか。

石垣は124打数32安打HR3に対して46三振。三振かHRかでよいタイプの打者と思うが、ファームでこれほど当たらないようでは昇格はおぼつかない。昨年後半の1軍飼い殺しが不憫であったが、とにもかくにも今年のウエスタンでのOPS.800。まずはこれを超えて「石垣を上げろ!」と言える状態までもっていってほしい。

完璧な選手ならファームにはいない。粗はあっても勢いがあるときに使わなければ伸びるものも伸びてこない。そして下で実績を残したのにチャンスを与えずオフになったら首を切るというのは全くの悪手である。使ってみた結果として使えなければ、来年の編成を考える上では先手を打ったと言えるはずだ。その割り切りに満ちた勇気ある起用が、崖っぷちの選手の信頼と死に物狂いの力を引き出す勘所でもある。

ラストチャンスの中でもがいて這い上がる男達の姿を、これからの9連戦で1つでも多く見てみたい。その選択肢は首脳陣の手の中にまだいくつも残っているはずだ。

 

2021年前半をふりかえる

今日から7月。福谷のように登板のたびにnoteで振り返るほどのマメさはないが、1年の節目で前半を振り返ってみる。

外で飲む機会がほぼなくなり、昨年に続いていよいよ酒量は減る一方である。以前は風邪を引いたり体調不良だったり二日酔だったりで、およそ飲める体調ではない日以外はビール1本程度の飲酒を欠くことのない晩酌生活であったが、今年の休肝日は次のとおりで合計79日を数えることとなった。

1月 12日

2月 11日

3月 13日

4月 13日

5月 14日

6月 16日(!)

外で飲まないとはいえ、金~日は家人とともにワインだったり日本酒4合瓶だったりを連日空にしているので、それなりに飲んではいる。良い感じの酒屋が行き着けになってしまい、せいぜい2000円くらいまでで好みの1本が買えることも知ってしまうと、いよいよ飲酒性向は内向きとなってしまう。飲食店のみなさんには申し訳ない気持ちで一杯だ。

今年前半の読書は次のとおり。

吉村昭『白い航跡』上・下

慈恵医大創始者戊辰戦争従軍の様子は同じ著者の「彰義隊」の裏返しの視点となるところが興味深い。森鷗外の業の深さ以上に晩年の高木の姿が何とも無残で印象に残った。

吉村昭『日本医科伝』

白内障手術が江戸時代から行われていたとは!

片山善博『知事の真贋』

珍しく新書を手にしてみた。興味深い分析であり頷けるところが多いが、若干私憤も混じったか。

■三浦しおん『三四郎はそれから門を出た』

まほろ』の著者は筋金入りの読書家であることを知った。

■柚木麻子『ナイルパーチの女子会』

勝手に『ポトスライムの舟』的な話かと思って手にとったら粘着ホラーであった。怖くてよい。ただ、実在の事件を軽々しく引き合いに出すべきではなかったかも。

白石一文『ここは私たちのいない場所』

面白かったことは覚えているが、読了後3ヶ月で筋を思い出せなくなっている。記憶力の減退に驚愕。

尾崎翠第七官界彷徨

「女子」の感性は時代を超えることを知った一冊。最後まで読み切れなかったボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』が何故か思い出された。

村上春樹東京奇譚集

書店の文庫棚からランダムに購入した1冊。綱渡りにまつわる短編が面白かった。

中島敦『南洋通信』

島嶼部の正妻と愛人の闘いの話が何とも愉快である。

■香月夕花『やわらかな足で人魚は』

読んだことのない作者の小説に手を出すことも大切だと思えた1冊。

桜木紫乃『砂上』

編集者ってこういう生き物なんだなと。寸評の刺さり具合の凄さよ。書き直し前の駄作っぽい表現がリアルで良い。

■沼田真佑『影裏』

こちらも初めて読む筆者の小説。良かった。実写では綾野剛松田龍平が起用されているそうな。こちらも観てみるか。

安部公房『第四間氷期

Amazonで文庫新装版があることを知り、久方ぶりに読み直した。AIが日常になりつつある今だからこそ感じられる驚愕の創作力。好奇心に導かれて陸に上がった際の描写が切ない。

角田光代『愛がなんだ』

世田谷代田が出てくる小説として、三浦しをんの「木暮荘物語」と並んで貴重な1冊。救いのない話だなあと思う。映画版も原作にかなり忠実だが、最後のワンカットをあえてオリジナルで付けたのは、脚本家も同じ気持ちになったのかなと。

桜木紫乃『ふたりぐらし』

仙台ではないし私小説でもないが、佐伯一麦の『鉄塔家族』を思い出しながら読んだ。実母によるボケたふりとおぼしきやりとりが痛快。自分も年をとったらまねしてみたい。

■瀬川深『チューバはうたう』

こちらも初めましての作者さん。帯から想像したぬるい話とは真逆の、中学の吹奏楽部では今も起きているであろう奏者とチューバとの因縁の邂逅を見事なフィクションに昇華した熱い1冊。善き彼氏が気の毒だがそれはそれとして。

南木佳士『小屋を燃す』

編集者から言われたままに書き直していることを告白しても許される凄さ。当然ながら『砂上』のやりとりが頭にうかぶが、その対極ぶりがそこはかとなくおかしい。何もかもさらけ出しすぎていて読み手を心配にさせる一冊。小屋を建てたのは、増田みず子が『小説』で辿り着いた場所の隣の区画なんじゃないかと思えてならない。

■瀬川深『ゲノムの国の恋人』

帯から近未来SFファンタジーかと思ったら、現代のリアルな自由なき社会が淡々と描写されていた。むき出しの力が自分に向かってくる怖さ。このところのミャンマー情勢を見ているとさらにリアルである。

 

中日の戦績の振り返りはまた後日に。

 

勝負勘

久しぶりに初回から最終回まで中日の試合をTV観戦した。

試合開始早々、箱庭神宮ならではの肝の冷える2飛球をくらうも初回を三凡で乗り切った勝野は、課題の立ち上がりを何とか克服し、以後不安定ながらも6回まで無失点。それほど球が切れていないのに無安打というおまけがついたのは、正直「負のフラグ」としか思えなかった。そして案の定初安打を許した直後に代打川端による数年ぶりのHRで2点を失う結果となった。記録が途絶えた潮目で谷元という切り札を切って打たれたなら諦めもつくというところである。ここが今日の勝負の最初の勘所であった。

直後の代打福田のソロで望外の反撃の狼煙があがった後、フリースインガーと聞いていたシン加藤が内角低めを完全に見切って華麗に出塁し(ちなみに今日の加藤翔平はバントも素晴らしかった)、3番周平のライト前で1・3塁となった。ここで代走は出てこず周平が塁上に留まった。高松を使って早いカウントから2盗を決めるという手はなかったのだろうか。走らせないとしても、2盗が気になる状況であれば、その後のビシエドのライナーにショートの手が届かなかった可能性は高い。ここが勝負所2つ目でのボタンの掛け違いとなった。

そして1点差で迎えた最終回。下位打線に回る9回に足で1点をもぎ取るために高松を温存したのなら、回の頭の井領のところで選球眼の鬼である福留を投入し、フォアボールで出塁したら代走高松が盗塁を仕掛け、桂・代打溝脇・大島という流れで攻勢をかけて最低同点まで持ち込むというのがセオリーであろう。2アウトをとって調子を上げたマクガフにとって代打福留はさして怖くなかったはず。ここが3つ目の掛け違い。

福留を頭から投入できなかったのは、山下降格により捕手2人制となったことで、山下も使えなければ今のチームで3番目に良い打者であるキノタクも使えないという、福田・福留に次ぐ3枚目の代打長距離砲不在の影響が大きかったように思う。経験を積ませるために根尾を帯同させつづけるなら8回・9回のどこかで使うべきだが、使える状態にないことは明らかだ。ファームで選球眼に新境地を示している伊藤康祐と入れ替えていれば、井領のところで福留を温存しながらシン・コウスケを投入し、一皮剥けた粘っこい打席を見られたのではないかと思うと残念。用兵準備という点で実は試合開始前の時点から1つ余分な掛け違いがあったのではないか。

狭い神宮で両投手がピリッとしないなりにロースコアで進行するという目の離せない展開であったがゆえに、こうした勝負の勘所のアヤを感じるゲームとなった。それはそれで見応えがあったが、最後を勝ちという結果で締められなかったのは何ともなあという気分が残った。

このところ野手の起用では与田監督の打つ手が当たりまくっていただけに、今日の中日ベンチの采配の淡白さが何とも目立つ1日であった。

ビシエドの調子が下がり気味となるととたんに元気がなくなるのが今の中日である。前半戦の残り約20試合を何とか乗り切るためにも、ファームも含めて好調の選手を上手にやりくりするという柔軟さを見せて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

伊藤康祐にそろそろ出番を

開幕2ヶ月で借金は一時7まで膨らみ、転落地獄の釜の蓋をひらきかけたが、何とか踏みとどまり、あと一息で5割が見えてくるところまで戻ってきた。昨年も同時期に借金9まで落ち込み、いよいよ崩落というところを松葉と岡野による不思議の好投で救われたが、今年は打つべき人が打つようになり、相応の実力を発揮しはじめた感が強い。

先発陣では梅津が力を発揮しそびれているが、福谷も調子を上げてきており、勝野も随分と自信を付けたようで、先日の大野は移動疲れであるとすれば、柳・小笠原を軸とした柱5本は相変わらずしっかりしている。6本目も梅津に立ち直りが見られなければファームで岡野がしっかりと爪を研いでいる。ライマル不在の救援陣もカットボールに新境地を開いた又吉がセーブを重ね、橋本・近藤廉といったニューフェイスも独特の切れ味を発揮している。何とも頼もしい限りだ。

昨日は柳の無双の投球がすべての試合展開ではあったが、初回簡単に2番・3番で先制できたことは柳を随分と楽にしたと思う。2番三ツ俣は井端が乗り移ったかような大活躍が続いているが、先日の2番滝野のはまり具合といい、首脳陣による思い切りのよい野手起用が結果を残しているのは心強い(初のファーム落ちの京田の心中は穏やかでなかろうが、この機会に自分はこのタイプの打者として生きるというコースを自分で決めてもらいたい)。

2ヶ月我慢し続けたからこそふるえる鉈もあるということだろうが、首脳陣の野手起用にもう一回り柔軟性があれば・・・という思いは実は今も残っている。根尾は好不調の波がまだまだあるようで、このところは谷底を進みつづけている。キレキレの選球眼で今年突然に台頭した伊藤康祐をそろそろ上げてみてもよいのではないか。守備で貢献度の高い根尾を下げにくければ、滝野との入れ替えでもよい。ドラ5で4年目の彼にしてみれば今年は相当に崖っぷちであり、だからこそ打席で粘ることに意識を全振りするという賭けに出たのであろう。そこで成果を上げた以上は今が旬であり、昨年の石垣のようなことにならないよう、そろそろ一度試しに使ってみてほしい。

まだまだ保守的な運用が目立つ首脳陣ではあるが、山下を支配下にしてすぐ1軍に上げたのはいつになく大胆な英断であった。金がないなりに打つべき手を打ったのであるから、今日明日あたり、肩に力の入らない場面で上手に代打で使ってやってほしいと思う。

第一四半期の成績

今日までに36試合を終えた中日は、14勝18敗4分で首位阪神に9ゲーム差の4位。シーズン1/4を消化して借金は4。DeNAほどの決定的破綻は免れているものの、今季の現実的目標はヤクルト広島を押しのけて3位に入り、CSでまさかの下剋上を狙うというところにならざるを得ないか。

投手陣は大野雄の離脱が痛いが、ここまでは先発陣が期待以上の力を発揮しており、6枚目にもロドリゲス・岡野・松葉らが控えている。救援陣も昨年無双の活躍を見せた福と祖父江に綻びは見られるものの、又吉、ヒロシ、橋本らの進化のおかげで絶対的守護神ライマルまで繋ぐことができる層の厚さを示している。

下位低迷の原因はとにもかくにも長打力の欠落であり、平田の不調やアリマルの脱落といった個々の選手の要素はあれども、結局のところは大卒スラッガータイプの上位指名を怠ってきた編成のツケであろう。

若手野手にとっては台頭の大チャンスであったが、石川昂と石垣がともに怪我で機会を掴み損ねてしまった。根尾がミニキャンプで息を吹き返し、どうやらこれで1軍選手としての目鼻が付きつつあるのは唯一の朗報で、あと2-3カードは8番左翼で様子を見るとして、なお調子が維持できるようであれば遊撃に入れて外野の育成枠が新たに1枠できあがるところまで視野に入ってくる。石垣はセカンドの練習を始めているし、これで石川昂がレフトに入れるなら、かなり打線の見栄えが違ってくるのだが、交流戦明けころまではこうした昇格もなかなか難しいところであろう。

現実には当面大きな入れ替えをしないままで行くとしても、ラミレス張りの思い切った打順変更は与田監督には期待できないのであろうか。例えばこんな感じ。

中 大島

一 ビシエド

捕 木下

三 周平

二 阿部

左 福田

遊 京田

右 根尾

P

とにかくビシエド頼みの打線であるからして、2番最強打者のコンセプトの下でOPSの高い4人を上位に集め、5番6番クラッチヒッターを並べた上で、7番から大島に回るところまではスモールベースボールにも対応できるメンバーとする。このくらいのテコ入れをしてみてもよいと思うのだが。

ちなみに下では土田が打撃面でも急激な成長ぶりを示しており、今の投手陣がピークを維持できている1-2年の間には、こんな打線が見られることを期待したい。

中 岡林

右 根尾

三 石川昂

一 ビシエド

二 周平

捕 石橋

左 石垣

遊 土田

代走 高松

代打 山下

6本柱のポテンシャル

多忙でブログを書く気分になれない間に巨人に3タテを喰らうなど、借金は一旦5まで膨らんだ。DeNA戦で2つ返したもののなお3つ負け越しという低空飛行が続いている。

この間先発陣は獅子奮迅の活躍が続いており、大野・柳・小笠原は開幕前に期待していた姿を見せている。2軍落ちは必至と見られていた勝野がノーヒットノーランを期待させるほどの快投ぶりを示した。乱調気味であった福谷も昨日は8回無失点でようやく本領を発揮しつつある。そして次期エース格たる梅津が昇格に向けて万全の調整を続けている。

6本柱がいずれも相手打線を圧倒するポテンシャルを十分に示しているというチームもなかなかないはず。ライマルの戦列参入で後も万全だ。どん底の続く打線がほんの少しでも上向けば、あとは連勝街道まっしぐらとなるはずだ。

ビシエドの戦列復帰と入れ替わる形でアリマルがコンディション不良となるなど、打撃面では祟られた状態が続いているが、ようやくレギュラー陣にも少しずつ当たりが出てきており、今日からファームでガーバーや石川昂も先発出場を果たしている。この後は上がり目しかないはずで、何とか4月中の残り7戦で5割近いところまで戻しておきたい。

本日のヤクルト先発はかの奥川であるが、彼も5回がやっこらせの投球が続いている。いつか本領を発揮しはじめたら到底手がつけられなくなるだろうが、狭い神宮でいきなり今日から無双の投球を始めるとも思えない。本日の中日打線が、ガツンとプロの厳しさを示す結果となることを期待している。

転がり込んだ7点がなかったら

今日で14試合とシーズンのほぼ10%を消化した。セ5球団と一通り当たって5勝6敗3分の4位。防御率2.40は阪神とならんで12球団トップという投手陣の充実振りに比べ、得点36は12球団最下位という極端な投高打低の構図となった。

しかも中日の打点は14試合でわずか29点。今日現在の12球団の得点・打点の状況は末尾にまとめてみた。得点と打点の差7は中日がダントツのトップである。「不思議の勝ち」が多かったという印象が残ったのも当然の数字である。9回打ち切り制と望外の棚ぼた7点がなければ、DeNAと最下位を争っていたことは確実であろう。

見た目以上に打線の不振は深刻である。今日のヤクルト第2戦では、京田を外して三ツ俣を先発させ、木下拓を繰り上げて6番で起用するという手が当たった。首脳陣も手をこまねいているだけではないのだが、平田・阿部・根尾あたりのバットの湿り具合を埋めようにも、石垣・石川昂が怪我で離脱していては、福田で何とかビシエドの穴を埋めるので精一杯である。両翼にアリマルと福留を投入するという「ファイヤー」フォーメーションという禁じ手も頭をかすめるが、44歳をレギュラー戦力としなければならないという何とも情けない話でもある。

あらためてレギュラー陣&若手の奮起に期待したいところだ。

 

2021/04/11現在

   得 打 差

阪神 65 63 2

広島 47 46 1

巨人 49 45 4

中日 36 29 7

ヤク 53 51 2

横浜 54 51 3

 

楽天 68 66 2

福岡 58 57 1

西武 56 54 2

千葉 73 70 3

檻牛 42 40 2

日公 41 39 2

 

#中日ドラゴンズ #プロ野球

棚ぼたを拾う力

勝野が前回とは生まれ変わったような投球をみせることはなく、投手にも四球を出すようなグズグズの展開であったが、何とか5回をゼロで凌ぎ、何とチーム先発初白星を挙げた。

最初の根尾の打席でのファンタジアな2得点は、とにもかくにも低めを空振りせずになんとか当てたところがカギであったが、3塁宮崎の悪送球もさることながら、2塁牧のバックアップが遅れたようにも見えた。こんな隙だらけの相手から望外の2点を拾っても勝野に変化はなかったのは残念。

この試合中日唯一のタイムリーも、打撃開眼とは感じさせない根尾のコースヒットであった。ただゴロ安打であったからこそ、2塁ランナー木下雄の鈍足を補って余るほどの時間が生まれたのもまた事実。丁度ここで勝野がお役御免(代打滝野君、バント練習しとけよな)という区切りの良さが、その後の藤嶋から始まる継投のテンポの良さを生み出した。

まさに運は竜にあり、の1日であった。

新人解説者吉見一起も語るように、リリーフ陣は12球団随一である。すでに何度か棚ぼたを拾えているのも、後ろが盤石であるからこそであり、これはこれでチーム力と言えるのであろう。こうして不思議の勝ちを拾いつつ5割ラインにしがみついている間に、打線の復調(あるいは再整備)を待つことができるとよいのだが、さて。

昨日は水曜にして勝ちパ5人衆を投入した分、今日の松葉の後が心配だ。幸い金曜は休養日。今日も先発が粘った後の大量動員作戦で、借金ゼロ生活を目指したい。松葉を上手に使うという意味でも、3巡目で引っ張りすぎないよう、ベンチからは見切り千両な采配を見せて欲しいところだ。

ところで、生き残りのかかった根尾がこのところ見せているしぶとさは、世間から期待されている役割とは違うものの、これはこれで1つの個性であろうか。右へ引っ張った打球が全く見られていないところに大きな課題が感じられるが、何とか先発出場を続けられていれば、課題克服の経験を得ることはできる。天運が味方してくれている間に、何とか一皮剥けてほしい。

 

今宮か、あるいは英智か

週頭のDeNA戦で満を持しての大エース登板もグラスラ被弾で撃沈をくらった。後ろもピリッとせず、シン・ヒロシもルーキー牧にHRを献上で初失点。打線は4連打で壊れかけた試合を何とか立て直すかと思われたが、平田が続けず、8回は阿部の併殺打。チャンスの女神の前髪は一筋垂れ下がっていたはずだが、どうにもつかみそこねての3連敗となった。

石垣昇格の観測は全くのデマとなった上、ファーム戦出場で負傷退場という最悪の結果となってしまった。タマスタ不帯同は単にライマルの練習相手というだけであったか。好調時に上で使われない星回りが目立つのは何とも不憫である。お祓いでもしてもらってはとすら思えてしまう。

下では福田が調子を上げてきているので、そろそろ上で使いたい。となると根尾は近日中には、ベンチスタートで終盤の代走→左翼守備という役回りになりそうだ。昨夜の根尾による補殺は、ここしかないというコースにズバリというパーフェクトなものであった。その後もランナーに本塁突入を自制させるという抑止力が働いた場面もあり、根尾の左翼守備の魅力には目を見張るものがある。一部にはかつて強肩好守で鳴らした英智になぞらえる報道も見られるほどの充実振りであるが、打の面では内野安打1つだけと淋しい状態が続いている。4球団競合ドラ1の完成形が英智ではなんとも残念であるからして、SB今宮のように育ってもらいたいところだが、であれば思い切ってファームで打の調整の時間を持つ方が急がば回れで近道のような気もする。なまじ誰よりも外野守れているだけに、そうした扱いにするには未練が残るのは何とも罪作りな話だ。首脳陣としても頭の痛いところであろう。

理想はこのまま守備を武器に1軍に帯同し続けつつ、少ないチャンスをきっちりものにして、打力をアピールすることである。あるいは根尾8番を我慢できるよう、レギュラー陣が打棒を爆発させてくれれば何の問題もないのだが、そちらの方が期待薄であろうか。うう。

梅津昇格ももう少し様子見ということのようで、今日は勝野が先発する。頭を大野で落としているだけに胃の痛い試合が予想されるが、ローテ2軍落ち候補1番手のポジションから脱出するだけではなく、連敗ストッパー&先発陣初勝利という添え書き付きの勝ち星を、是非とも今夜挙げてほしいところだ。

来るか?レフト石垣

広島・巨人・阪神と今季下馬評の高い3チームとの対戦が一巡した。9戦3勝4敗2分けで借金1。9人の先発の誰にも勝ち星が付かない中であり、調子が上がらないなりに何とか凌いだというところであろうか。柳と小笠原は復調の兆しがあり、大野と合わせて柱3本は目途が立った。福谷は辛抱しているうちになんとかなるだろう。松葉はやはり使い方に一工夫は必要だが、2巡まではなんとかなるという力は見せた。救援陣は福だけが乗り遅れてしまったようだが、ライマル抜きでこの充実振りは凄い。特定の投手に負荷が集中しない工夫を首脳陣がこらしていることもよくわかるので、運用面でも大きな問題はなさそうだ。そう、問題は打線である。

各停ドラゴンズ(©青柳)の汚名を返上するには、HRの怖さを持つ打者を並べる必要がある。タマスタに帯同しなかった石垣が明日昇格する可能性は高いはず。このところ外野守備はほとんど練習していないと思われるが、入れるならレフト7番というあたりか。DeNA先発の大貫と昨年相性が良かったのは大島・阿部・キノタクあたりであるから、

大島 阿部 周平 ビシエド 平田 木下拓 石垣 京田 大野雄

という並びではどうだろうか。和製浅村の名に恥じぬよう、考え過ぎずに豪快な振りを見せてほしい。

根尾は速球を引っ張ることができないという課題が克服できていないうちは、なかなか出場機会には恵まれないかもしれない。DeNA・ヤクルトと対戦が一巡するまでは1軍に帯同するとして、その間に何かを掴んだ感じとならないようであれば、三好あたりと交代しての2軍落ちもやむを得ないであろう。オープン戦で見せてきた崖っぷちに来てのしぶとさを発揮してもらいたいところだ。

#中日ドラゴンズ