酒精雑記

飲む日も飲まない日も

開幕前夜

いよいよ明日から公式戦。中日はオープン戦を1つ負け越しで終了した。

補強なしで臨む新シーズンは、アリマルがビシエドと並ぶ打線の軸に収まることが大前提であったが、早々にその見通しを失ってしまった。ここがこのチームの最大の問題点である。

岡林の成長がキャンプとオープン戦を通じた野手陣最大の収穫であったが、指の負傷で開幕戦先発出場はほぼ赤信号となった。阿部の復調がもう1つの収穫で、高橋周平の捻挫負傷でこの果実をセカンド先発にはめ込むことになったのは塞翁が馬な感じではある(周平の状態があんまりだったという淋しさはあるが)。

鵜飼は詰まっても外野の頭を越せるだけのパワーがあるという持ち味を十分に発揮しており、第二戦以後はレフト先発が有力である。ここが今季の打線の一番の楽しみとなった。

石川昂弥はノリ打法で迷走しかかったが、ポイントを元に戻したら、入団直後の持ち味をすぐに取り戻したようだ。高校時代に作り上げた一つの形にすぐに戻せるというのは、とてつもなくすごいことである。心配の声が多数上がっているものの、個人的には4月中にも中長距離砲としての才を証明するだろうと楽観している(不安は守備だけだ)。

周平の受傷で新婚石垣が急遽の1軍召集となった。当の石垣は、急に呼ばれたときには頭が真っ白になったというコメントを残したようで、メンタルの準備が甘いなあという印象は否めない(いつでも準備はできてます、と言ってほしかった)。ただ、ここが最大にして最後のチャンスだということは本人も分かっているはず。当面の出番は石川昂やビシエドの守備固めが中心となるはずで、代打での出番の最初の5打席で長打込みの2安打くらいの活躍を見せない限りは、さらなる打席が回ってくることはないという覚悟が必要だ。ファームでは右足がずれてたって打球がフェンスを越えているのだから、型にこだわらず、思い切りよくバットを振ってほしい(ただし外スラだけは手を出さないようにね)。

根尾はまたも謎の星の下の力を発揮し、しぶとく1軍にしがみついた。岡林の負傷もあり、どうやら開幕戦でのライト先発があるやもしれぬ。オープン戦終盤は打率3割超えとは言うものの、ライト前ゴロヒットやセカンド内野安打2本という快打とは言いかねる結果であり、これらがちょっとでもアウトになっていたら数字の見栄えはかなり落ちたはずで、そんなところにも運の良さを感じてしまう。ユーティリティ的控え選手としては有能だが、ファンが見たいのはそんな姿じゃない。言われるほど伸び悩んでいるわけではなく、前年前々年と比較すると少しずつだけれども確実に成長していることは、もう少し評価されてもよいのだが、やはりそろそろさすが競合ドラ1という飛躍的成長を見せて欲しいのである。単打が目立った岡林よりは長打を放つ才能を持っているはずであり、ライバルの怪我での躓きの隙を突いて、想定外の定位置確保となるところを見てみたい。

投手陣では土曜のローテ枠争いに忽然と名乗りを上げた勝野が先行馬岡野を鮮やかに差し切ったのは朗報である。期待の3本柱に勝野、松葉、そして最後の登板で器の違いを示した高橋宏斗という素晴らしいラインナップで当初2カードを戦うことができるのだから、とにもかくにも打線に奮起を促したい。

さて、povo2.0のキャンペーンでDAZNが今日から7日間無料になった。仕事に支障が出そうだが、なるべくライブで応援してみたい。

 

2月の振り返り

3月に入って急に気温が上がり始めたようで、コートも昨日から薄手のもの(でもライナー付き)に交換した。

雪の多かった2月は結局近隣低山ハイクには出向くことができなかった。登山ナビアプリのレポートを見ても、登山道に雪が溜まっている様子がわかるので、素人はおとなしく自宅で過ごすのが吉であったようだ。そんな2月も終わったので、今月は梅林を愛でるようなコースに出かけることを検討中である。

2月の休肝日は合計11日。母数が28なのでまずまず節制したと言えようか。

読書もそこそこはかどった。

千早茜「ガーデン」

初めて手に取った作家だが、自宅で育てる植物への偏愛が美しく書かれていて良かった。その偏愛を最後まで肯定してくれたらなおよかったかも。

白川三兎「私を知らないで」

こちらも初見の作家さん。ストーリー構成上での大事なところで、うーん荒削りかなと感じたところもいくつかあったが、それを補ってあまりある素朴なパワーに満ちていた。

綿矢りさ「てのひらの京」

京都に生まれた三者三様の姉妹の物語。次女の失恋がなかなかにイタい。

今村夏子「父と私の桜尾通り商店街」

こちらも初めての作家さん。タイトルから想像していた作風とは全然違っていたが、なかなか面白かった。特に「モグラハウスの扉」のみっこ先生のみっともなさが、そこはかとなくおかしくて良い。

津村記久子「浮遊霊ブラジル」

いずれも楽しい作品である。「給水塔と亀」は良い。本当に良い。「浮遊霊ブラジル」は誰かが落語で演じてくれないかなと思う。

映画もそこそも観た。いずれもアマゾンプライムにて。

「ブラックブック」

これだけ遠距離列車移動中に観たので壁面大画面ではない。主演の女優さんの大胆な姿が結構出てくるので、ガラガラの車中ではあったが、公共の場で汗をかいた。敗色濃厚のナチス軍に潜入する女パルチザンの緊迫感を上手に表現した映画だが、どんでん返しがすぎるという感も残った。ブラックブックは最後にちょっとだけ出てきたが、邦題にこれを使ったのはなぜ?

「あのこは貴族」

山内マリコの原作は未読のままで映画を観た。門脇麦が相変わらず上手である。そして高良健吾は酷薄な役が良く似合う。家族写真の撮影シーンで映画が始まり、名家の呪縛を離れて自活し始めた後の地方のホールの壁際に立つ華子を同じ構図で切り取ったところで映画が終わるという構成が良かった。

町田くんの世界

こちらも原作は未読だが、映画を見終えてからKindleのサンプルを覗いただけで、原作への敬意を欠くという批判は全くごもっともと感じた。主演の男女は瑞々しいし、脇を固める豪華なメンバーも要所を締めている。とりわけ前田敦子が良い。風船のシーンを真面目にファンタジーに仕上げていたら、原作にインスパイアされた中での別の世界観の良作と言えたはずなのに。監督の悪ふざけ?が何とも残念。

「ドライブ・マイ・カー」

プライムに登場したのですぐに観てみた。3時間の長尺だが観客の視線を引っ張り続ける緻密な構成が良かったが、緻密さの分だけ、上十二滝村へ向かう必然性を説明できていないところが、どうしても気になってしまった。原作との違いも気になったので文庫で取り寄せて、今読んでいるところだが、やはり出身地に出向く部分は映画オリジナルということのようだ。

プロ野球はオープン戦シーズンに突入したが、中日は紅白戦と練習試合を経て、野手陣はほぼ陣容を固めつつあるようで、1軍野手も、よほどこれから怪我や不調がない限りは、こんな感じなんだろう。

捕手 木下 桂

内野 ビシエド 周平 阿部 京田 石川 髙松

外野 大島 岡林 鵜飼 福留 山下 アリマル 根尾

以上で15名。いずれも楽しみな面子である。

アリマルを入れるか議論はあるだろうが、捕手2人体制で行くなら入れておきたいところではある。根尾が入るのか?という疑問が出るかもしれないが、外野守備固め要員は必須であり、(よほど打棒が湿らない限りは)1軍帯同枠を勝ち取ることになるのではなかろうか。紅白戦と練習試合ではどうなることかと思われたが、オープン戦では途中出場だが5打数2安打となんとか首が繋がっている。岡林のような爆発的活躍はないにせよ、昨年同様に実戦ではなんだか役に立ってしまうという星巡りでしぶとく生き残ってほしい。

あと1枠を三ツ俣・溝脇とするのか、郡司を入れるのか、開幕直前の様子を見て福田・平田あたりで埋めるのか、というところだが、根尾がショート怪我人対策枠も兼任できてしまうので、三ツ俣・溝脇はやや劣勢か。素直に捕手3人制なら郡司だが、アリマル(と山下)でカバーできることを考えると、平田あたりが躍り出る可能性が高いのかもしれない。

そうすると2軍教育リーグでの主力野手は、石橋(味谷)・福元・土田・星野・石垣・ブラ健・伊藤・三好といったあたりをたくさん出していく流れになるだろうか。これはこれでなかなか楽しそうだ。

勝・滝野・石岡・加藤翔はもちろんのこと、大野奨・堂上あたりもいよいよ崖っぷちである。開幕までに少ないチャンスを何とか生かして、プロの世界に爪痕を残していってもらいたいところである。

 

紅白戦と面構え

三連休初日は午後一杯が仕事のオンラインミーティングで潰れたが、充実した成果を得たので気分は良い。マンボウのお尻を気にしながらも、夕刻からは市場脇の鮨屋に出向いて相方と軽く鮨をつまんでから、近隣の行きつけのバーテンダーさんにも遅ればせながらの新春の挨拶に出向いてフィッシュアンドチップスを堪能することができたので、充実した1日であったと言ってよいであろう。

さて、ほろ酔いで帰宅して風呂に入ってからは、プロジェクタに投影して大画面で今年初の紅白戦を堪能した。

昨日までは迷走気味に見えた根尾であったが、本番に強いのか、1番での初打席はフルスイングで右中間に2塁打を放った。すり足だったり裸足になったりスクワットをしてみたりと、秋にやっておくべき宿題を積み残したかのようなキャンプシーンが続いていたので、鵜飼ブライト福元が加入した今年は、外野守備固めを中心としたユーティリティの席を確保できるかどうかというポジションだろうなあと思い込んでいたが、今日は1打席目に続く2打席目も良いスイングで振り抜いていた。体が一回り大きくなったせいか、振ってもぶれない体幹を手に入れたようにも感じられて何とも頼もしい限りだ。ただし昨年同様に、終わってみれば4打数1安打と、爆発的ブレイクに至らないところがなかなかにもどかしい。守備面では、5回のライト前ヒット被弾連発状態の中で連続で抑止力を披露したところなどを見ても、もはや主力級の味わいであり、顔つきもプロに馴染みつつあるように見えた。打棒であと一息爆発すれば、ライトレギュラーを堂々と勝ち得るだけのところまで手がかかっている。明日以降がさらに楽しみになってきた。

京田とともに出場差し控えとなったブライトが心配だ。昨日のフリーバッティングでは、鵜飼の独壇場となっていた下馬評を覆すに足りる伸びやかでパワフルな打球を飛ばしていただけに、今日の欠場の理由が何であったのか、とても気になるところである。

フリーバッティングでは驚異的なパワーを見せつけていた鵜飼であるが、さすがに生きた球を投げる投手が相手となると、なかなか一筋縄ではいかないようである。詰まった当たりで1本安打が出たものの、討ち取られた打席を見ると、カウントを整えられてから注文通りの外スラの空振りでアウトとされており、あれに手を出しているようではしばらくは修行の日々を覚悟せざるをえないように感じられた。レフト守備については、安心レベルではないにせよ大きな綻びなくこなせていただけに、打つ方で駆け引きに負けない結果を残すことができればと願うのだが、多分開幕即戦力ということにはならない可能性が高そうであり、ファンとしても中期的展望で見守っていく辛抱が必要になるだろうなあと感じた次第である。

面構えといえば、白組先発高橋は、落ち着いた表情をキープしながらの圧巻の6者凡退のパーフェクトピッチングであった。球にバラツキがなく、今年の4枚目は君に託したと言い切れる充実の投球である。昨年垣間見られた不安定さは、このオフの間に、何らかの理由で大きく解消されたようで、彼には新人賞級の飛躍を期待しても良さそうだ。

対照的に、ポテンシャルでは随一と思われる梅津が三好の2ランを含む4失点と精彩を欠いた。根尾に続く2位入団の際のインタビューなどの立ち居振る舞いでは、朴訥かつひょうひょうとした受け答えに終始していた男である。まさにプロ向けの性格であり、大物投手への道まっしぐらの予感をファンに抱かせたのに、入団から数年を経て、メンタル面の苛立ちが顔に出てしまって何とも面構えが悪い状態が続いており、甚だ心配である。高橋とともに梅津が大車輪の活躍をしてくれれば、盤石の5枚体制を築くことができるだけに、心を整えて飛躍を目指してほしい。サウナに行くのか、サッカー日本代表元主将のベストセラーを読むのかは、梅津自身にお任せする。

 梅津がダメなら松葉と清水あたりがよほど頑張る必要がある(勝野には早く腰痛を直してもらいたいと強く祈っておく。あと福谷もね)。今年のシーズンのカギは、ずばり梅津に解脱的な大前進が認められるかどうかに、5割方はかかっているのではなかろうか。是非とも18番が私たちファンを1つ上のステージへと運んでくれることに、心から期待したいと思う。

 

 

 

 

1月のふりかえり

2022年となるもつかの間、はや1ヶ月が終わろうとしている。コロナは収束するかと思いきやオミクロンが猖獗を極めており、いずれ急激に減るとはしても当面の間は全く気を抜けない日々が続きそうである。

正月は宴会続きであったため、今月の休肝日は11日(今日含む)とやや少なめである。初詣をかねた12kmのウォーキングと低山登山2回をこなし、(なるべく)毎朝起き抜けに本気のラジオ体操10分(終わると心拍数は120くらいまで上がる)と電車待ち時間に駅の階段の昇降で20mくらいの標高差を移動するという運動も心掛けたが、筋肉がついたのか、それとも動いた気の緩みで食べる量が増えたせいか、体重はいつ測ってもおおむね1kg増となった。

映画はいずれもネットで「浅草キッド」「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!」「ベイビー・ドライバー」の3本を観た。「浅草キッド」は門脇麦が良かった。後2作はエドガー・ライトの作品だが、前者は居酒屋コンプリートの話が途中でどこかへいってしまうのが残念。後者はアイデアもテンポも良く、リリー嬢が主人公と一連託生で行動をともにすることになる動機付けの説明が薄いところと、最後のカーアクションが力業だったところは気になったが、ジェイミー・フォックスの壊れっぷりを楽しむことができた。

読書は「密やかな結晶」を読み終えた。「アンネの日記」への返書のような一作。その他は数冊を並行して読んでいるが、松井玲奈の「カモフラージュ」はついに最後数編を読むことなく書架に戻してしまった。筆致はそこらの小説家よりも明らかに上手(うわて)であるが、短編集で主題が定まらないところが決定的につらかった。ただし「いとうちゃん」は筆者に近い領域が舞台となっている分、書きたいものを書いている感じが伝わってきた。田中さんの造形が良いし、主人公の心の動きにも切実な説得力があって良い。自分が書くべきものが何かを見つけるときが案外早く到来するのではないか。

現在は千早茜の「ガーデン」と古井由吉の「東京物語考」を読み進めている。いずれも某書店の書架からタイトルが目にとまって購入したものだが、よい選択であった。

立浪ドラゴンズは本当に補強らしい補強を全くしないまま、明日のキャンプインとなった。新戦力は入団1~5年目の中に山盛りで入っているという考え方で割り切ったなら、それはそれでよしとしよう。いろいろ感染者も出ていたが、昨日で全員陰性が確認できたのも朗報だ。

オフの自主トレで根尾が急にビルドアップしたようで、体のバランスがかえって崩れないか心配だが、今年が正念場である。1年上のヤクルト村上が凄すぎるとは言え、誕生日では2ヶ月しか違わないのであるから、そろそろ結果を出してほしいところだ。

報道では石垣がまるで空気の扱いとなっているのが気の毒だが、こちらは本当に崖っぷちである。読谷スタートだが早くに頭角を現して、今年こそ開幕一軍を勝ち取ってほしい。

何にせよ、明日で球春到来。しばらくすれば現実と向き合うことになるだろうが、今日は全面的に期待で胸を膨らませておくこととしよう。

12月の振り返り

12月末にいたっても全然年末気分はやってこず、まだ11月下旬くらいかしらんという肌感覚の日々であったが、仕事をやっつけながらなんとか30日にはレコ大を観て、31日に紅白を観て、日付がかわってすぐに近所の氏神まで初詣に出ると、新年モードに気持ちも一応リセットされるというのは、万年ルーティンの偉大な効用と言えようか。

いわゆる忘年会は今年も全然なかったが、12月はコロナの間隙を突いて外で食事する回数が増えた。それでも休肝日を12日確保したので、まずまず節制できた月となった。

読書はまるで進まず、文庫化された「平場の月」を1冊読み終えただけに留まった。癌闘病が主題とは知らずに読み始めたので心の準備がなく、いろいろと親族のことなども思い返して何とも重い気分となったが、丁寧に書かれた小説はやはり読み応えがあって良い。映画化のキャスト情報はまだ出ていないが、須藤役については深津絵里の顔しか浮かばないので、プロデューサーには是非頑張っていただきたいものだ。

映画もたわむれに選んだ「Love Letter」1本を観たきりとなった。ゲージツ家が扮したおじいさんの役どころの据わりの悪さが難点だが、思ったよりも古くさく感じずに観ることができた。

この間に中日ドラゴンズからは又吉がFAで去り、SBから岩嵜を迎えたところで、人事異動は終結となったようだ。ドラフトで投手を1人しか補充しなかったことや、コンバートとドラフトの結果で外野で試すべき選手が飽和状態であることも考えると、三振奪取能力を持つリリーバーを補償で選んだのは合理的選択だと思う。

それにしても、満を持しての新監督就任にも関わらず、まともな補強はほぼゼロというフロントにはあきれるほかない。評価の定まらぬ安価な新外人で外野の一角に蓋をするよりは良い選択なのかもしれないが、ビシエドが聖域化しているようでは先は見えてこない。相当に台所事情が厳しいのかもしれないが、又吉に3年4億を提示できるなら、年俸1億くらいまでなら準備できたのではないだろうか。

アリマルに怪我が多いことを考えても、火力不足に今年も泣かされる予感がしてならない。胃の痛い1年とならないことを切に祈りたい。

 

11月のふりかえり

奥川と宮城の投げ合いとなる第7戦を見たかったが、前年最下位対決の日本シリーズは1つも壊れた試合がないまま6戦でヤクルトに軍配が上がった。山本に大野雄を、奥川と宮城には高橋宏を、村上と吉田には石川昂を、紅林・太田には根尾を、そしてつば九郎にはドアラを重ねて、来年の中日の飛躍を夢想しつつ中継を眺める日々であった。

秋のキャンプでは、やはり新監督の教え魔ぶりにいささかの不安を感じたが、春の臨時コーチの姿と比べると、春キャンプに向けた課題の提示という位置づけが明確なので、今年の二の舞のようなことはなさそうだ。根尾を戦力にするならまず肩からということで、来年の外野専念を言い渡したのも、割り切りの良さという点では合理的である。伊藤・岡林よりは外野手らしい長打を期待できると首脳陣が考えるだけの成長がこのキャンプで認められたのだろうと思うことにする。

11月より、思うところあって、公共交通機関でアプローチできる近隣の低山への半日トレッキングを開始した。軽登山靴だけは大手本格登山系ストアで新調し、その他諸々については100均やワークマンのアウトドアグッズの充実振りに目を見張りながら、日帰りならそこそこの山にも行けるくらいの装備と、固形燃料でラーメンが食べられるくらいのお楽しみグッズをぼちぼちと揃えてみた。燃料1個ではなかなかメスティンの湯が沸かないのでポケットストーブ2個横並び方式にしたら、風防が適当でもボコボコに沸き上がることも発見。昼過ぎには戻ってきて餃子とビールで消費カロリーをすっかり穴埋めをするというのも、大人ならではの台無し感があって何とも良い感じだ。1ヶ月で単独行2回、相方つれて2回の計4山。昼から仕事があっても早朝から動けば午前中にひと山こなせることもわかったので、しばらくは高低差400-500m程度、水平距離で10数キロくらいのコースを、1つ1つ回っていく予定。

読書はほとんど手につかず、小川洋子の初長編である「シュガータイム」を1冊読み通しただけに終わる。手練れの小説家のまだ青々としたころの作品だが、「猫を抱いて象と泳ぐ」のリトル・アリョーヒンをはじめとするこれ以後の作品に出てくるモチーフの原石がごろごろと落ちているようで、そんなことを考えながら読み進めるのは楽しい体験だった。

観た映画はこんな感じ。

「1917」

(疑似)ワンカット映画の縛りが後半になるとだんだん鼻についてしまうのだが、冒頭の塹壕の拡がりを示すにはこうした手法が一番であり、そこは素直に凄いと思えた。

ワイルドバンチ

えーと、どっちがどっちなんだっけというところが後半まで頭に入らず、何とも話の筋を追いにくいのだが、伝説的映画と言われている理由はよく分かった。ベトナム戦争厭戦期の映画であるという当時の位置づけを知ると、男臭さをテーマにしているよう見えるのは全くのカムフラージュであり、むしろそれを冷笑しているのではなかろうか。一貫した女の扱いの粗雑さはおそらく意図したものであって、時代による人権感覚の違いではなかろう。

イノセンス」「攻殻機動隊新劇場版

前者(アニメの方)はさておき、明らかに後者とは相性が悪かった。うむ。

クレアのカメラ

相変わらず語学のスキットのような場面の連続だが、カンヌの韓国人が英語でフランス人としゃべるというシチュエーションではそれなりにハマっているかも。例によって放り出したような結末だが、短編なのでこれはこれでありかなと。

酒量は山帰りにちょっと飲む量が増えたが、今日明日飲まなければ今月の休肝日は12日とまあ平均的なところに収まっている。

さて12月はどうなるやら。

 

秋季キャンプはじまる

CSの盛り上がりを横目に、中日は新体制で来季に向けたキャンプに入った。キャンプイン後すぐさま初見の若手打者の打撃フォームをいじり始めている監督・コーチ陣の動向については、今春の臨時コーチ殿の残した実績を考えても正直なところあまり関心しないのだが、春でなく秋ならそれもありなのかもしれないと考えることとする。石川は傷も癒えて元気な様子であるし、根尾も中村紀コーチの指摘で何か掴んだものがありそうで何よりだ。

新体制で心から評価できるのは、岡林・伊藤そして周平に2塁の守備を練習させ、アリマルには左翼を守らせているという点だ。ようやく守備位置毎に期待されるOPSを意識した用兵が開始されるということなのであろう。

単打ならいくらでも打てそうな岡林と、四球選びに新境地を見出した康祐であるが、いずれも外野で使うにはいまひとつ火力不足であり、大卒外野手3人を獲得した今、彼らを内野で起用する可能性を探るのは極めて合理的である。

こうなると、阿部・溝脇・三ツ俣・石垣も心穏やかではないはず。これで春にブラ健・鵜飼・福元が合流すれば、内外野は1軍2軍とも若手で激しい競争となることは必定である。

昨日のローカル番組では、ろくに練習もしていないバスケを軽々こなすブラ健の様子が報じられており、その身体能力の高さを垣間見ることができた。ジャンプ力もすさまじい。バッティングフォームにはまだまだ粗さが目立つが、恵まれたバネと運動神経で、センターの守備程度なら多分早々に軽々とこなすんじゃないだろうか。

伸び盛りの若手選手同士が切磋琢磨する姿はこの10年とんと見られなかっただけに、来季がとても楽しみとなってきた。

 

このところのふりかえり

9月10月と予期せぬ雑事の諸々に追われ続け、ふりかえれば夏の終わりから11月に直接飛び込むような感覚である。とはいえ今週でようやく一区切りついたので、この間の回顧メモを書く気分に。

休肝日は9月が13日、10月は14日(まだ終わっていないが今日明日は飲むことが確定しているので)と、コロナ自粛緩みの影響はまだ顕在化していないが、そろそろ時間の問題であろうか。ちなみに10月は外飲みが3回に達した。

この間の多忙さでほとんど本を手に取る気分にもなれず、読了に至ったのは『短編学校』『左上の海』の2冊に留まった。

前者は文庫アンソロジーの焼き直し版で、短編のお手本といえる作品が目白押しかと思いきや、作家の力量ってこんなにもちがうのね、ということがはっきりわかる一冊となってしまっていた。とりわけ吉田修一井上荒野はやはり凄いのだなあとあらためて感じてしまう。読んだことのなかった作家では今野緒雪のSFが掘り出しものであった。

後者は村上春樹の雑文集からの流れで手にとった安西水丸の短編集。実のところ足を踏み入れたことはほとんどないのだけれど、80年代の青山界隈の空気感を懐かしむという疑似体験ができた。気取った時代に対するほんのりとした恥ずかしさを感じたりすることもできるという、なんともアンニュイな一冊。

本に手が伸びない分、映画はそこそこ自宅で鑑賞した。

『走れ、絶望に追いつかれない速さで』

松本穂香主演の『わたしは光をにぎっている』が良かったので中川龍太郎監督の作をもう1本観てみた。ドーナツの穴のような意味での物語の中心を担う役を演じた小林竜樹が実に良い。染み出す色気が凄いのだが、他の作品などにはあまり起用されていないのが不思議である。仲野太賀も引き続き良い感じだ。

『それから』

初のホン・サンス作品。自分の不倫相手を不倫を間違われる役にはめ込んで、社長と妻を実の夫婦に演じさせる監督っていったい。

『エクストリーム・ジョブ』

張り込み用の偽装店舗が繁盛しちゃうというアイデア一本勝負の映画だが、シンプルに楽しい。翌日に唐揚げを食べてしまったのはご愛敬。

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』

松本穂香出演作をもう1本観てみようかと思ったが、これは何ともはやであった。1人2役はきちんとはまっていたが、意図したグダグダもあそこまでだとさすがにキツいなと。

『正しい日、間違いの日』

ホン・サンスがいよいよおかしな人であることがよく分かる一作。いかんせん男に何の魅力もないので、「間違いの日」にキム・ミニと上手く行く流れに説得力がなくてダメだった。なのに、最後まで観てしまうのはなぜ?

『007カジノロワイヤル』

新作に行き着くためにダニエル・クレイグ1作目から見始めた。本歌取りなので本歌を復習しないと本当の意味では楽しめないのかも。冒頭のアクションが一番面白いというのは成功なのかどうか。ホールデンポーカーのシーンは大胆な長さだが、そこは悪くない。

『007慰めの報酬

思ったより短かくて拍子抜けしたが、やはり冒頭のアクションシークエンスが一番面白い。何故ホテルに多量の可燃物が保管されているのだろう?という疑問を持ったら負け。考えるな、感じるのだ。

『007スカイフォール

上2作を観ないまま1度観たことがある本作。筋はすっかり忘れていて、シリーズ順に観た方が楽しめるのかと思ったが、特に続き物的要素は含まれていなかったことを知る。ガジェット要素を多めに盛り込んだり、話の筋がわかりやすくなっていたり、アクションシーンのカット割りも細かすぎないように配慮されていたりと、前2作の反省点?への修正が感じられるが、やはり冒頭のアクションが一番優れているという点は変わっていなかった。上海のクラゲ画像を背景にした挌闘のあたりまではよかったのだが。

 

シーズン終了

今期は最後の最後までヤクルトをアシストし続ける結果となったが、最終戦を快勝で締めたのは悪いことではない。シーズン中盤では援護に恵まれない試合が続いた小笠原も星勘定は負け越しながら規定投球回に到達した。今日も髙松と岡林が安打を放ち、最後は根尾が連続で遊ゴロを捌いてシーズンが終わった。来季は自軍の優勝を決めるシーンで登場してほしいものだ。

さて、来季の展望である。

怪我の間に一回りでかくなった石川昂はフェニックスで快打を放っており、いよいよ来季は主軸としての活躍が期待される。周平を押しのけてサードにどっしり座る姿を見たいものだ。

ファーストビシエドは流出の危機が叫ばれているが、名古屋に馴染んだ家族を置いて福岡に単身赴任する姿はちょっと想像がつかないところではある。ただし釣り上げで大幅な年俸アップが必要になるようなら、球団の経営戦略としては流出もやむなしという姿勢に転ずる可能性はある。アベレージ型の4番ファーストが聖域化することは必ずしもプラスばかりではないだろうが、他に大砲が不在の今抜けられるのは、想像するだに恐ろしい事態であり、なんとか上手に引き留めてもらいたい。

セカンドは来季もレギュラーを固定しにくいポジションになりそうだ。このところは髙松が一番手となりつつあるが、謎のコンタクト能力にさらに磨きが掛かるとしても、ここぞの代走で使いたいということを考えると、打撃型セカンドとして来年こそ石垣に割り込んでもらいたい。今季初ヒットがバンテリンドームの壁に阻まれてHRにならなかったり、前進守備のところにギリギリ取れないフライが挙がってエラーになったりするところに、石垣の「持ってなさ」が目立つこのところの展開であった。阿部が脱落した今季は絶好のチャンスだったはずで、外野とはいえバットの振れる同年代が3人も増える来季は、根尾や髙松の内野起用が増えるはずであり、石垣はかなり厳しい立場に置かれるのではないか。このまま芽が出ないままとなるのは淋しいので、是非奮起してもらいたい。

遊撃京田は、1軍落ちをきっかけに何かをつかんだかと思われたが、10月の打撃成績は低調であった。守備は相変わらず素晴らしいのだが、根尾も一応遊撃をこなせることを証明しており、根尾がもう一皮剥けたら案外危ない立場にあるのかもしれない。ポカは多いものの土田も好守に才気を示しており、ドラフトではさらなる遊撃手も確保済みである。FAも近いことからすると、即戦力先発新人を補強しなかった中日球団が、ショートに穴を持つチームの2-3番手先発投手あたりとトレードを考慮していても不思議ではない。

捕手は木下がいよいよ正捕手としての地位を固めるシーズンになってほしい。石橋の台頭にも期待したいが、肩の調子がいまひとつなのだろうか。郡司は外野コンバートをし損ねたシーズンとなってしまったが、フェニックスでは驚異的な出塁率を叩きだしている。どこでもいいので先発ポジションを奪ってほしい。今季のドラフトで打撃型の外野が渋滞気味となってきたので、できることならセカンドを守ってもらえないだろうかなんて妄想している。

外野は岡林が大島を押しのけるくらいにならないと、チームの浮上はなさそうだ。右翼に岡林を置くことになりそうだが、できればもっと長打のある選手に守らせたいポジションである。ブライト・鵜飼のいずれかが開幕からレギュラーを奪取できればよいのだが、そうは簡単ではないだろう。レフトが新人、ライトが新外国人というはまり具合になることが理想だが、当面は頭の痛い状態が続きそうだ。

キャンプが始まればまた現実に引き戻されるだろうが、今は夢を語っても許されるだろう。来季開幕戦はこんな打線が組めることを期待したい。

岡林(8)・石川昂(5)・新外国人(9)・ビシエド(3)・鵜飼(7)・石垣(4)・木下(2)・根尾(6)・柳(1)

 

 

ドラフト後

ドラフト当日。何かと時間が逼迫した中ではあるものの結局2時間指名中継をネットで見続けてしまった。

希望としては「素直に大卒ナンバーワンの正木」指名路線であったが、大方の予想どおり1位はブライト健太であった。守備面も含めた評価なのだろうが、あらためて動画を観て、伸び代十分だが即戦力型ではなさそうで、今年の佐藤輝や牧が超例外的選手であることに照らしても、最低1-2年は我慢が必要であろう。

2巡目で正木が残っており、1位2位の順は狂ったがこれで両取りだと思ったところで、ネット上も騒然の鵜飼の2位指名。その後、打棒の神様王貞治率いるSBフロント陣が迷わず正木を指名した。2年前に石川昂弥を狙い撃ちしてきたSBの眼力からしても正木は高評価であったかと思うと、何とも無念の思いにかられることとなった。スイング力重視なら、ブライトと重なる右の大学生外野手ではなく、左の高校生外野手である前川を獲るべきだったのではないかとも思った。

しかし、その後気を取り直して鵜飼の打席の動画をいくつか眺めてみて、中日の選択は正しかったのだと思うようになった。独特のバットの引きでタイミングをとるという自分の打撃の型を持っており、指標から言われるところの怪力扇風機の印象はうけない。内角も肘をたたみながら上手にとらえて振り切っており、力任せに振っているわけではないところが好印象。つまっていても神宮ならレフトスタンドまで運んでしまうという技術とパワー。打席には落ち着きがありたたずまいがとても良い選手だ。コーチ陣が変にいじらなければ、ブラ健よりも多分先に出てくるのではないかと思う。バットの引きを欠点として指摘する向きもあるようだが、とにかくいじらないというSBにおけるギータ養成法に習い、壁にあたるまではこのままで振らせてほしいところだ。

その観点では立浪新体制における打撃コーチが誰になるのか、とても気になるところで、一部報道では森野就任が既定路線とされているようだが、もともと野村監督をして、森野の裏をかこうとしてはなららず表の攻めでよい、なぜなら表も裏もなく来た球を振るタイプだからだ、と評されたバッターである。天性の打棒はコーチとして教えられるものではないはずで、繊細な技術に基づくフルスイングが売りであった中村紀洋コーチの就任に強い期待を寄せたいと思う。

前川や田村が残っていた3巡目のサラマンダー石森の指名では、誰?と思ったが、元SB馬原の指導の下、速球左腕として急成長を遂げた投手ということで、又吉流出の危機に備えたよい選択であったことを理解した。指名直後のハートの強い発言を見ても、中日の風土に欠けていたものを持ち込んでくれるだろうと期待している。

4巡目。今度こそ前川か田村かと期待する中での高校生捕手味谷の指名にも驚いた。愛大安田捕手がまさかの2位で消えたことが大きく影響したようにも思えるが、捕手陣の打棒を持て余す中日では、郡司らのコンバートを視野に入れる必要があるため、捕手は2軍試合成立要員的位置づけも含めた補強ポイントである。体も大きいので、楽しみな選手だ。

5巡目は高校生内野手星野。藤井に代わる豊橋の星となるか。土田を1軍で使う目途が早々に立ちつつある今、2軍で起用する若手遊撃手の補強も理にかなっていると思う。

6巡目はロマン砲福元。大商大出身の中日選手がなかなか大成しない傾向があるのが不安要素だが、この順位ならよしとしよう。同一世代の右の体格型外野手3人が重なった編成上の偏りは気になるが、いずれか1人は当たるだろうというくらいの気構えで見守ることする。高校で得た智弁ブランドが入団後に輝くことに期待したい。要するに若い石岡というポジションであるから、石岡は死ぬ気で成果を出さないと本当にヤバいことになるはず。起用方法が相変わらず気の毒だが、逆境に負けず、本当に頑張ってほしい。

・・・ということで、指名直後はあれこれもやもやしたものの、補強のポイントを考えた上の結論であったことは理解できた。あとは新体制が彼らを上手に使うことに期待をしたい。

ついでに書くならば、井端コーチが実現しそうにない空気なのがとても残念だ。本人はやる気がありそうなので、是非巨人とサムライで他球団事情にも通じる眼力を養った知恵者を入閣させてほしい。