酒精雑記

飲む日も飲まない日も

京田の走塁に痺れた

DeNAに3連敗後、大瀬良・森下の登場するカードで望外の3連勝を得た。両エースの踏ん張り、大島・岡林の躍動、ビシエドの復調気配など、なんとも盛り沢山な3日間であったが、地味な見所として昨日の京田の走塁をあげておきたい。

得点には絡まなかったものの、外野を抜けてもいない単打に終わりそうな当たりで外野守備の油断を突き、1塁を回ったところでスピードを緩めることなく2塁を狙い、余裕をもってセーフとなった。

先のカードでは3塁を狙ったシーンで牧のミラクルな好返球の前に憤死して絶好のチャンスを潰し、ファンからの批判を一身に集めたばかりである。あのとき、京田がセカンドを回った時点でまだ中継の牧への返球の途中であり、しかも牧は深々と外野まで出張っていた。何度見返しても京田の暴走ではなく牧のスーパーファインプレーであり、あのカードの黒星2つは牧1人にやられたものと言って過言ではないのだが、あの悪夢のような記憶がまだまだ鮮明であるはずなのに、守りに入らず、よくぞチャレンジしてセカンドを陥れたものだ。この走塁には痺れた。

勇気があるのか、切り替えが早いのか、はたまた記憶力がひょっとしたらアレなのかは良くわからないが、不調脱却のきっかけは案外こんなワンプレーだったりするので、そろそろ彼も上昇機運なのではないかと密かに期待している(でも8番からは動かさないでね)。

 

 

3月のふりかえり

本拠地開幕カードで手負いだったはずのDeNAに3タテを喰らうという屈辱的な月末であったが、鵜飼の「詰まった」打球がチケットを取り間違えた母の待つ左翼席中段に刺さったシーンを観ることができただけでも満足である。そう自分の心に言い聞かせてはみたが、今日の相手の先発が大瀬良では気分が晴れぬのもやむなしか。

3月の休肝日は16日。週末に一度軽く体調を崩したため、普段よりも酒を飲まない日が多い結果となった。

映画は5本。

ワールド・オブ・ライズ

デカプリオとラッセル・クロウリドリー・スコットが撮った豪華な一作のはずだが、実際にはそれほどのワクワク感もなく、潜入スパイがアイシャにうつつをぬかす必然性もなく、なんだかなという感想が残った。ヨルダン情報部チーフの白ハイネック&ジャケット姿はかっこよかった。

君は永遠にそいつらより若い

津村記久子の原作は未読。映画が良かったので発注をかけてみた。アホで楽しい学生集団の中で、ささやかな揉んで揉まれてを経てちょっとだけ成長し、小さな志を胸に社会に出て行く主人公の姿(戸の前でぐっと息をのんで覚悟を決める最後のシーン)が良かった。

スプリング、ハズ、カム

東京の大学に合格した女子大生が父と上京して部屋探しをし、祖師谷にアパートを借りたというだけの話を、とても丁寧に描いた良作。都会の初めての夜の長さを感じる姿で終わるところもよい。

いとみち

津軽三味線達人の孫がメイド喫茶でバイトする話。スプリング、ハズ、カムと同じく「母の不在」の映画でもある。三味線を弾ける女子を選んで主役にしたのかと思ったが、この役のために練習したとは。終盤の演奏シーンは見応え十分で、フラ・ガールと双璧をなす出来映えだ。ストイックな店長とジョナゴールド(すごい芸名だ)演じるクラスメイト、そして岩木山山頂からの眺望がよかった。

エイブのキッチンストーリー

ニューヨーカーであるユダヤムスリムの間に生まれたハイブリッド少年が文化の狭間で思い悩む中、料理に活路を見出す物語。料理も美味しそうでよい。双方の実家の大人たちが大人げないのだが、その大人げなさにも人の命がからんだ重たい歴史があるので、簡単には大人になれないのも仕方ないのだ。それでもどこかで希望を見出すことだってできるというストーリーは、今のウクライナ情勢とあまりにマッチしていて、何とも複雑な気分となった。

読書は2冊に留まった。

宵山万華鏡」

森見登美彦による祇園祭を舞台としたファンタジー。その雰囲気を知らないものにはちょっと難しい作品であったか。

「風のない日々/少女」

野口冨士男の小説ははじめて。本来は私小説作家ということだが、本作は戦前の東京下町で起きた殺人と戦後間もなくの財閥令嬢誘拐という実際の事件を題材にした、とおり一遍の三面記事では触れられない人の心のひだの不可思議さに焦点を当てた客観小説(という言葉を初めて解説で知ったが)である。生活のディテールが執拗に説明され続けた上でのあっけない幕切れが印象に残った。

 

今日もマスターの一発で先制したと思いきや、大野雄がゲッツーをあせって逆転に至ったところだ。さてどうなるやら。

 

本拠地開幕戦での黒星

同姓の元中日の彼のイメージが強く、なんだか打てそうな気がするのだが、残念ながらDeNAロメロは全く別人であり、昨日はその出来が良すぎた。昨年からの苦手相手に散発3安打では采配云々ではないような気もするが、それでも打てる手はきっちり打ってほしかった。

3番鵜飼がズバッとはまっていたので、彼をベンチに押し出し外野を左にずらしての根尾先発起用がこのタイミングであるとは全く思っていなかった。DAZNの解説では、昨年の根尾はロメロから5の3だったとのこと。この相性に加えて、僅差が想定されるバンド初戦で外野守備に穴を空けたくないとの意図があったのか。菅野vs福留もしかり、対戦相手との過去の成績をかなり重視する起用法に、今季首脳陣の特徴があるということらしい。ただ鵜飼にせよ石川にせよ今季からの新戦力であり、比較の対象を持たない選手のまさに現在の調子と過去の実績とのどちらを優先するのか、その価値判断にやや疑問なしとはしないところではある。

そこは結果論としても、開幕カードでいよいよ打席での迷走が目立つ京田を2番で起用したのは愚策であった。根尾の相性に賭けたのなら、岡林大島の1番2番の好連携を崩さずにビシエドへと繋ぐ目的で、京田は8番に固定し、根尾ー岡林ー大島ービシエドというようなラインナップで臨むのが、正しい腹のくくり方ではなかったか。

ロメロのコントロールに変調が生じた終盤の追撃機では、代打山下がピタリとはまり、詰まりながらも外野に運ぶ力で1・2塁にチャンスを広げた。まだ9回にも攻撃があることを考えたら、3点差とは言え、2点目をもぎ取っておくことは重要だ。次の京田に代打を出すことを考えて代走溝脇という手の打ち方があったはずだが、山下がそのままランナーに残った。

しかも次打者京田で福留(あるいは鵜飼)が出てくるかと思ったのだが、その手が打たれることもなかった。結果として乱調ロメロから死球出塁を得て満塁までチャンスが拡大したのでこの悪手が目立つことはなかったものの、開幕カードで見せたビハインドでの攻撃的選手交代とは全く対照的な受け身の姿勢では、初白星のときのように勝機をこじあけることは期待しがたいであろう。

ちなみにこのところの京田は以前にも増してファーストへの送球が荒れすぎでヒヤヒヤする。源田を超える男を目指すなら、この難点は是非早々に解消していただきたいところだ。

福田をセカンド守備につかせた高木守道の采配はさすがに浅慮であったとしても、立浪監督の采配には、攻撃時の選手交代でも聖域を設けずに先手先手で攻めていく姿勢を求めたい。大島をレフトで先発させることができたのだから、それは不可能ではないはずだ。

 

立浪竜初白星

2本柱を1戦3戦に据えて盤石の体制で臨んだ東京ドーム開幕巨人3連戦は、結果として1勝2敗でやりすごした。連敗後の柳の初回炎上で誰しも3タテを覚悟したはずだが、巨人の継投陣も安定さを欠き、終盤怒濤の追い上げで最後は伏兵溝脇が2点勝ち越し打で試合を決めた。バンドに戻る前からチーム崩壊の序曲を聴かずに済んだことを天に感謝しなければならぬ。第3戦は3番鵜飼が機能して、好調1番2番と中軸に繋がりが出来たことが大きいと思う。

わずか3戦ではあるが、立浪監督率いる首脳陣の采配の方向性もかなり見えてきた。野手については柔軟かつビハインド時の攻撃的な起用が目立った。これは良いことである。与田時代は守備への配慮に偏った硬直性が目立ち、何ともストレスフルであったが、出し惜しみせず控え選手にもチャンスを与える首脳陣の意図がはっきりしており、選手の側の士気も上がるのではないか。

3戦を終えて根尾の出番がなかったことがいろいろと取り沙汰されているが、ライバル岡林が無双の活躍を示す中で、内野も守れるが故の器用貧乏な立ち位置からすれば、緊急時の最後の備えのためのベンチ地蔵の役割が彼のところに回ってきてしまうのは、今の布陣からすればある種必然であろう。とはいえ、昨年の石垣のような飼い殺しになるとも思えないので、バンドでの6連戦では、試合終盤に回ってくる役割をきちんとこなし、少ない打席で結果を出すことに集中してほしい。根尾のバッティング最大の課題は確実性であり、漫然と打席を与えるよりも代打で1打にかける経験を積ませることの方が、彼の野球本能を刺激するという意味でも悪くないように思う。

投手は岩嵜がボール4つで離脱という残念な結果となった。スプリットが武器のパワーピッチャーというと木下雄介である。岩嵜が投げる前から肩を気にしていたシーンを見返しても、木下雄がマウンドで肩を外したときの姿と重なってしまった。万全の体調だったなら、こうした場面で抑えのAチームに昇格する姿も見ることができたかもと、つい考えてしまう。あらためてご冥福を願う。合掌。

投手起用も(初戦のジャリエル起用以外は)明確な意図が感じられるので、ストレスは感じない。ファンの心の古傷を抉る東京ドームの田島スクランブル登板も、あの場面では仕方あるまい。第2戦を好投した勝野をスパッと2軍に落としたのは、岡野との併用(あるいは高橋宏斗を含む鼎用?)を当初から想定していたようであり、6番手以降を厚くしておくという意図がはっきりしていて良い。

采配でいただけないのは、リクエストの場面が何ともはやな感じであることか。ここだけは、ファンとしても気恥ずかしくて居心地が悪かった。この点だけは早く慣れてもらいたいものだ。

地元開幕シリーズでは、同じく開幕カードで躓いたDeNAをきっちり蹴落としておきたい。もたついた大野雄や柳をあざわらうくらいの好投を慎之介が見せてくれることを期待している。

 

 

 

開幕黒星

立浪竜の初戦は残塁の山を築いての敗戦となった。自分の足で同点のホームを踏み、主砲のHRで勝ち越した後も、大野雄の投球がうわずったまま低めに決まらなかったのがすべてであろう。

打線を見ると、京田・投手・大島・岡林と続く8番から2番に長打が見込めないところがネックと思いきや、大野雄の内野安打からポランコの不味い守備を突いた好走塁もからんで岡林がしぶとく同点タイムリーを放つなど、単打と足の組み合わせで下位打線からクリーンナップへ繋ぐところまでは素晴らしい出来映えで、根尾に出場機会を譲る隙をみせなかった岡林にプロ意識を感じた(無理なホーム返球の一件がなければパーフェクトだったね)。

結果として3番福留は大ブレーキとなったが、各打席のたたずまいや狙い球の絞り方はさすがであり、投手には相当のプレッシャーがかかっていたはずだ。5番木下も第1打席でレフト線に痛烈な打球を飛ばしており、あれがフェアだったらその後の打席のノリも違ってきたはずで、最終打者となった際のヘッスラは全くのご愛敬としても、5番木下は我慢して続けてよいと思う。

心配なのは石川昂である。単に結果が出なかったということではない。オープン戦最終盤で元に戻したはずの足の上げ方(左足をバッターボックスの内側にチョンと突いてタイミングをとる形)をやめて、上げたまま空中でためをとるという形になっていた。どちらが技術的にどうということではなく、高校時代からの基本の形に戻して復調の兆しを見せていたのに、開幕戦のぶっつけ本番で違う形にしてしまうのは迷いがあるからこそであろう。自分で築いた基本の形からスタートして微調整するという自信を失っているのであれば、少々重症かもしれぬ。誰しも今季初の安打が出れば気持ちも変わるはず。今日その良薬を得られるかどうか、運の要素も含めて石川昂の打席からは目が離せない状態が続く。

立浪采配の思い切りの良さは、今季は12回まで延長戦があるということを忘れさせるほどのものであって、評価は分かれるかもしれない。選手を使わずに9回で負けが決まるくらいなら、延長戦で用兵に困難が生じようが代打代走を投入していくという割り切りは、後手に回ることの多かった与田中日とは好対照だ。今年は外野一本とは言え、根尾ならショート守備スクランブル発進も対応可能である。なんとなれば石垣だって守れなくはない。複数ポジションを守れる控えが充実しているのだから、追いつかなければ問題とすらならない延長戦のやりくりを考えて出し惜しみしないことは是と考えたい。そうであるなら打順が溝脇のところで石垣か根尾まで投入するというさらなる割り切りがあってもよかったのではないか。延長で手駒が足りずに負けたところで、とにかく一度打席に立たせておくことは、2戦目3戦目に向けた布石にもなったはず。最後の最後で躊躇があったところは、監督1年生がこれから学んでいくところであろうか。

もっともこうした投入が許されるのは野手陣に限る話であり、今季の抑えAチームはMRIだといいながらジャリエルを投入したのはどのような意図であったのか。開幕からここの役割をはっきりさせなかったのはいただけない。どうせ2点のビハインドである。昨年くすぶった森あたりに場数を踏ませるには絶好の試合だったはず。立浪初戦とは言え所詮は143分の1である。投手起用に関してはそう割り切る必要があったのではないか。

今日の勝野には大きなプレッシャーがかかることとなったが、そのために明日には柳が控えている。課題の立ち上がりを乗り切るために必要なのは、強いハートだけだ。多少打たれようが、なりふり構わずストライクゾーンで勝負をかけてほしい。

 

 

開幕前夜

いよいよ明日から公式戦。中日はオープン戦を1つ負け越しで終了した。

補強なしで臨む新シーズンは、アリマルがビシエドと並ぶ打線の軸に収まることが大前提であったが、早々にその見通しを失ってしまった。ここがこのチームの最大の問題点である。

岡林の成長がキャンプとオープン戦を通じた野手陣最大の収穫であったが、指の負傷で開幕戦先発出場はほぼ赤信号となった。阿部の復調がもう1つの収穫で、高橋周平の捻挫負傷でこの果実をセカンド先発にはめ込むことになったのは塞翁が馬な感じではある(周平の状態があんまりだったという淋しさはあるが)。

鵜飼は詰まっても外野の頭を越せるだけのパワーがあるという持ち味を十分に発揮しており、第二戦以後はレフト先発が有力である。ここが今季の打線の一番の楽しみとなった。

石川昂弥はノリ打法で迷走しかかったが、ポイントを元に戻したら、入団直後の持ち味をすぐに取り戻したようだ。高校時代に作り上げた一つの形にすぐに戻せるというのは、とてつもなくすごいことである。心配の声が多数上がっているものの、個人的には4月中にも中長距離砲としての才を証明するだろうと楽観している(不安は守備だけだ)。

周平の受傷で新婚石垣が急遽の1軍召集となった。当の石垣は、急に呼ばれたときには頭が真っ白になったというコメントを残したようで、メンタルの準備が甘いなあという印象は否めない(いつでも準備はできてます、と言ってほしかった)。ただ、ここが最大にして最後のチャンスだということは本人も分かっているはず。当面の出番は石川昂やビシエドの守備固めが中心となるはずで、代打での出番の最初の5打席で長打込みの2安打くらいの活躍を見せない限りは、さらなる打席が回ってくることはないという覚悟が必要だ。ファームでは右足がずれてたって打球がフェンスを越えているのだから、型にこだわらず、思い切りよくバットを振ってほしい(ただし外スラだけは手を出さないようにね)。

根尾はまたも謎の星の下の力を発揮し、しぶとく1軍にしがみついた。岡林の負傷もあり、どうやら開幕戦でのライト先発があるやもしれぬ。オープン戦終盤は打率3割超えとは言うものの、ライト前ゴロヒットやセカンド内野安打2本という快打とは言いかねる結果であり、これらがちょっとでもアウトになっていたら数字の見栄えはかなり落ちたはずで、そんなところにも運の良さを感じてしまう。ユーティリティ的控え選手としては有能だが、ファンが見たいのはそんな姿じゃない。言われるほど伸び悩んでいるわけではなく、前年前々年と比較すると少しずつだけれども確実に成長していることは、もう少し評価されてもよいのだが、やはりそろそろさすが競合ドラ1という飛躍的成長を見せて欲しいのである。単打が目立った岡林よりは長打を放つ才能を持っているはずであり、ライバルの怪我での躓きの隙を突いて、想定外の定位置確保となるところを見てみたい。

投手陣では土曜のローテ枠争いに忽然と名乗りを上げた勝野が先行馬岡野を鮮やかに差し切ったのは朗報である。期待の3本柱に勝野、松葉、そして最後の登板で器の違いを示した高橋宏斗という素晴らしいラインナップで当初2カードを戦うことができるのだから、とにもかくにも打線に奮起を促したい。

さて、povo2.0のキャンペーンでDAZNが今日から7日間無料になった。仕事に支障が出そうだが、なるべくライブで応援してみたい。

 

2月の振り返り

3月に入って急に気温が上がり始めたようで、コートも昨日から薄手のもの(でもライナー付き)に交換した。

雪の多かった2月は結局近隣低山ハイクには出向くことができなかった。登山ナビアプリのレポートを見ても、登山道に雪が溜まっている様子がわかるので、素人はおとなしく自宅で過ごすのが吉であったようだ。そんな2月も終わったので、今月は梅林を愛でるようなコースに出かけることを検討中である。

2月の休肝日は合計11日。母数が28なのでまずまず節制したと言えようか。

読書もそこそこはかどった。

千早茜「ガーデン」

初めて手に取った作家だが、自宅で育てる植物への偏愛が美しく書かれていて良かった。その偏愛を最後まで肯定してくれたらなおよかったかも。

白川三兎「私を知らないで」

こちらも初見の作家さん。ストーリー構成上での大事なところで、うーん荒削りかなと感じたところもいくつかあったが、それを補ってあまりある素朴なパワーに満ちていた。

綿矢りさ「てのひらの京」

京都に生まれた三者三様の姉妹の物語。次女の失恋がなかなかにイタい。

今村夏子「父と私の桜尾通り商店街」

こちらも初めての作家さん。タイトルから想像していた作風とは全然違っていたが、なかなか面白かった。特に「モグラハウスの扉」のみっこ先生のみっともなさが、そこはかとなくおかしくて良い。

津村記久子「浮遊霊ブラジル」

いずれも楽しい作品である。「給水塔と亀」は良い。本当に良い。「浮遊霊ブラジル」は誰かが落語で演じてくれないかなと思う。

映画もそこそも観た。いずれもアマゾンプライムにて。

「ブラックブック」

これだけ遠距離列車移動中に観たので壁面大画面ではない。主演の女優さんの大胆な姿が結構出てくるので、ガラガラの車中ではあったが、公共の場で汗をかいた。敗色濃厚のナチス軍に潜入する女パルチザンの緊迫感を上手に表現した映画だが、どんでん返しがすぎるという感も残った。ブラックブックは最後にちょっとだけ出てきたが、邦題にこれを使ったのはなぜ?

「あのこは貴族」

山内マリコの原作は未読のままで映画を観た。門脇麦が相変わらず上手である。そして高良健吾は酷薄な役が良く似合う。家族写真の撮影シーンで映画が始まり、名家の呪縛を離れて自活し始めた後の地方のホールの壁際に立つ華子を同じ構図で切り取ったところで映画が終わるという構成が良かった。

町田くんの世界

こちらも原作は未読だが、映画を見終えてからKindleのサンプルを覗いただけで、原作への敬意を欠くという批判は全くごもっともと感じた。主演の男女は瑞々しいし、脇を固める豪華なメンバーも要所を締めている。とりわけ前田敦子が良い。風船のシーンを真面目にファンタジーに仕上げていたら、原作にインスパイアされた中での別の世界観の良作と言えたはずなのに。監督の悪ふざけ?が何とも残念。

「ドライブ・マイ・カー」

プライムに登場したのですぐに観てみた。3時間の長尺だが観客の視線を引っ張り続ける緻密な構成が良かったが、緻密さの分だけ、上十二滝村へ向かう必然性を説明できていないところが、どうしても気になってしまった。原作との違いも気になったので文庫で取り寄せて、今読んでいるところだが、やはり出身地に出向く部分は映画オリジナルということのようだ。

プロ野球はオープン戦シーズンに突入したが、中日は紅白戦と練習試合を経て、野手陣はほぼ陣容を固めつつあるようで、1軍野手も、よほどこれから怪我や不調がない限りは、こんな感じなんだろう。

捕手 木下 桂

内野 ビシエド 周平 阿部 京田 石川 髙松

外野 大島 岡林 鵜飼 福留 山下 アリマル 根尾

以上で15名。いずれも楽しみな面子である。

アリマルを入れるか議論はあるだろうが、捕手2人体制で行くなら入れておきたいところではある。根尾が入るのか?という疑問が出るかもしれないが、外野守備固め要員は必須であり、(よほど打棒が湿らない限りは)1軍帯同枠を勝ち取ることになるのではなかろうか。紅白戦と練習試合ではどうなることかと思われたが、オープン戦では途中出場だが5打数2安打となんとか首が繋がっている。岡林のような爆発的活躍はないにせよ、昨年同様に実戦ではなんだか役に立ってしまうという星巡りでしぶとく生き残ってほしい。

あと1枠を三ツ俣・溝脇とするのか、郡司を入れるのか、開幕直前の様子を見て福田・平田あたりで埋めるのか、というところだが、根尾がショート怪我人対策枠も兼任できてしまうので、三ツ俣・溝脇はやや劣勢か。素直に捕手3人制なら郡司だが、アリマル(と山下)でカバーできることを考えると、平田あたりが躍り出る可能性が高いのかもしれない。

そうすると2軍教育リーグでの主力野手は、石橋(味谷)・福元・土田・星野・石垣・ブラ健・伊藤・三好といったあたりをたくさん出していく流れになるだろうか。これはこれでなかなか楽しそうだ。

勝・滝野・石岡・加藤翔はもちろんのこと、大野奨・堂上あたりもいよいよ崖っぷちである。開幕までに少ないチャンスを何とか生かして、プロの世界に爪痕を残していってもらいたいところである。

 

紅白戦と面構え

三連休初日は午後一杯が仕事のオンラインミーティングで潰れたが、充実した成果を得たので気分は良い。マンボウのお尻を気にしながらも、夕刻からは市場脇の鮨屋に出向いて相方と軽く鮨をつまんでから、近隣の行きつけのバーテンダーさんにも遅ればせながらの新春の挨拶に出向いてフィッシュアンドチップスを堪能することができたので、充実した1日であったと言ってよいであろう。

さて、ほろ酔いで帰宅して風呂に入ってからは、プロジェクタに投影して大画面で今年初の紅白戦を堪能した。

昨日までは迷走気味に見えた根尾であったが、本番に強いのか、1番での初打席はフルスイングで右中間に2塁打を放った。すり足だったり裸足になったりスクワットをしてみたりと、秋にやっておくべき宿題を積み残したかのようなキャンプシーンが続いていたので、鵜飼ブライト福元が加入した今年は、外野守備固めを中心としたユーティリティの席を確保できるかどうかというポジションだろうなあと思い込んでいたが、今日は1打席目に続く2打席目も良いスイングで振り抜いていた。体が一回り大きくなったせいか、振ってもぶれない体幹を手に入れたようにも感じられて何とも頼もしい限りだ。ただし昨年同様に、終わってみれば4打数1安打と、爆発的ブレイクに至らないところがなかなかにもどかしい。守備面では、5回のライト前ヒット被弾連発状態の中で連続で抑止力を披露したところなどを見ても、もはや主力級の味わいであり、顔つきもプロに馴染みつつあるように見えた。打棒であと一息爆発すれば、ライトレギュラーを堂々と勝ち得るだけのところまで手がかかっている。明日以降がさらに楽しみになってきた。

京田とともに出場差し控えとなったブライトが心配だ。昨日のフリーバッティングでは、鵜飼の独壇場となっていた下馬評を覆すに足りる伸びやかでパワフルな打球を飛ばしていただけに、今日の欠場の理由が何であったのか、とても気になるところである。

フリーバッティングでは驚異的なパワーを見せつけていた鵜飼であるが、さすがに生きた球を投げる投手が相手となると、なかなか一筋縄ではいかないようである。詰まった当たりで1本安打が出たものの、討ち取られた打席を見ると、カウントを整えられてから注文通りの外スラの空振りでアウトとされており、あれに手を出しているようではしばらくは修行の日々を覚悟せざるをえないように感じられた。レフト守備については、安心レベルではないにせよ大きな綻びなくこなせていただけに、打つ方で駆け引きに負けない結果を残すことができればと願うのだが、多分開幕即戦力ということにはならない可能性が高そうであり、ファンとしても中期的展望で見守っていく辛抱が必要になるだろうなあと感じた次第である。

面構えといえば、白組先発高橋は、落ち着いた表情をキープしながらの圧巻の6者凡退のパーフェクトピッチングであった。球にバラツキがなく、今年の4枚目は君に託したと言い切れる充実の投球である。昨年垣間見られた不安定さは、このオフの間に、何らかの理由で大きく解消されたようで、彼には新人賞級の飛躍を期待しても良さそうだ。

対照的に、ポテンシャルでは随一と思われる梅津が三好の2ランを含む4失点と精彩を欠いた。根尾に続く2位入団の際のインタビューなどの立ち居振る舞いでは、朴訥かつひょうひょうとした受け答えに終始していた男である。まさにプロ向けの性格であり、大物投手への道まっしぐらの予感をファンに抱かせたのに、入団から数年を経て、メンタル面の苛立ちが顔に出てしまって何とも面構えが悪い状態が続いており、甚だ心配である。高橋とともに梅津が大車輪の活躍をしてくれれば、盤石の5枚体制を築くことができるだけに、心を整えて飛躍を目指してほしい。サウナに行くのか、サッカー日本代表元主将のベストセラーを読むのかは、梅津自身にお任せする。

 梅津がダメなら松葉と清水あたりがよほど頑張る必要がある(勝野には早く腰痛を直してもらいたいと強く祈っておく。あと福谷もね)。今年のシーズンのカギは、ずばり梅津に解脱的な大前進が認められるかどうかに、5割方はかかっているのではなかろうか。是非とも18番が私たちファンを1つ上のステージへと運んでくれることに、心から期待したいと思う。

 

 

 

 

1月のふりかえり

2022年となるもつかの間、はや1ヶ月が終わろうとしている。コロナは収束するかと思いきやオミクロンが猖獗を極めており、いずれ急激に減るとはしても当面の間は全く気を抜けない日々が続きそうである。

正月は宴会続きであったため、今月の休肝日は11日(今日含む)とやや少なめである。初詣をかねた12kmのウォーキングと低山登山2回をこなし、(なるべく)毎朝起き抜けに本気のラジオ体操10分(終わると心拍数は120くらいまで上がる)と電車待ち時間に駅の階段の昇降で20mくらいの標高差を移動するという運動も心掛けたが、筋肉がついたのか、それとも動いた気の緩みで食べる量が増えたせいか、体重はいつ測ってもおおむね1kg増となった。

映画はいずれもネットで「浅草キッド」「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!」「ベイビー・ドライバー」の3本を観た。「浅草キッド」は門脇麦が良かった。後2作はエドガー・ライトの作品だが、前者は居酒屋コンプリートの話が途中でどこかへいってしまうのが残念。後者はアイデアもテンポも良く、リリー嬢が主人公と一連託生で行動をともにすることになる動機付けの説明が薄いところと、最後のカーアクションが力業だったところは気になったが、ジェイミー・フォックスの壊れっぷりを楽しむことができた。

読書は「密やかな結晶」を読み終えた。「アンネの日記」への返書のような一作。その他は数冊を並行して読んでいるが、松井玲奈の「カモフラージュ」はついに最後数編を読むことなく書架に戻してしまった。筆致はそこらの小説家よりも明らかに上手(うわて)であるが、短編集で主題が定まらないところが決定的につらかった。ただし「いとうちゃん」は筆者に近い領域が舞台となっている分、書きたいものを書いている感じが伝わってきた。田中さんの造形が良いし、主人公の心の動きにも切実な説得力があって良い。自分が書くべきものが何かを見つけるときが案外早く到来するのではないか。

現在は千早茜の「ガーデン」と古井由吉の「東京物語考」を読み進めている。いずれも某書店の書架からタイトルが目にとまって購入したものだが、よい選択であった。

立浪ドラゴンズは本当に補強らしい補強を全くしないまま、明日のキャンプインとなった。新戦力は入団1~5年目の中に山盛りで入っているという考え方で割り切ったなら、それはそれでよしとしよう。いろいろ感染者も出ていたが、昨日で全員陰性が確認できたのも朗報だ。

オフの自主トレで根尾が急にビルドアップしたようで、体のバランスがかえって崩れないか心配だが、今年が正念場である。1年上のヤクルト村上が凄すぎるとは言え、誕生日では2ヶ月しか違わないのであるから、そろそろ結果を出してほしいところだ。

報道では石垣がまるで空気の扱いとなっているのが気の毒だが、こちらは本当に崖っぷちである。読谷スタートだが早くに頭角を現して、今年こそ開幕一軍を勝ち取ってほしい。

何にせよ、明日で球春到来。しばらくすれば現実と向き合うことになるだろうが、今日は全面的に期待で胸を膨らませておくこととしよう。

12月の振り返り

12月末にいたっても全然年末気分はやってこず、まだ11月下旬くらいかしらんという肌感覚の日々であったが、仕事をやっつけながらなんとか30日にはレコ大を観て、31日に紅白を観て、日付がかわってすぐに近所の氏神まで初詣に出ると、新年モードに気持ちも一応リセットされるというのは、万年ルーティンの偉大な効用と言えようか。

いわゆる忘年会は今年も全然なかったが、12月はコロナの間隙を突いて外で食事する回数が増えた。それでも休肝日を12日確保したので、まずまず節制できた月となった。

読書はまるで進まず、文庫化された「平場の月」を1冊読み終えただけに留まった。癌闘病が主題とは知らずに読み始めたので心の準備がなく、いろいろと親族のことなども思い返して何とも重い気分となったが、丁寧に書かれた小説はやはり読み応えがあって良い。映画化のキャスト情報はまだ出ていないが、須藤役については深津絵里の顔しか浮かばないので、プロデューサーには是非頑張っていただきたいものだ。

映画もたわむれに選んだ「Love Letter」1本を観たきりとなった。ゲージツ家が扮したおじいさんの役どころの据わりの悪さが難点だが、思ったよりも古くさく感じずに観ることができた。

この間に中日ドラゴンズからは又吉がFAで去り、SBから岩嵜を迎えたところで、人事異動は終結となったようだ。ドラフトで投手を1人しか補充しなかったことや、コンバートとドラフトの結果で外野で試すべき選手が飽和状態であることも考えると、三振奪取能力を持つリリーバーを補償で選んだのは合理的選択だと思う。

それにしても、満を持しての新監督就任にも関わらず、まともな補強はほぼゼロというフロントにはあきれるほかない。評価の定まらぬ安価な新外人で外野の一角に蓋をするよりは良い選択なのかもしれないが、ビシエドが聖域化しているようでは先は見えてこない。相当に台所事情が厳しいのかもしれないが、又吉に3年4億を提示できるなら、年俸1億くらいまでなら準備できたのではないだろうか。

アリマルに怪我が多いことを考えても、火力不足に今年も泣かされる予感がしてならない。胃の痛い1年とならないことを切に祈りたい。