酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『小さな男*静かな声』読了

残念ながら最後まで小さな男を好きになれないままであった。

新しい世界が広がったのは彼にとって良いことだったならいいなと思うが、それまでの20年の小さな積み重ねを捨ててしまったように思えるのは、何とも読後感を微妙なものとしているように思う。風と一体となった境地で小さきことをも続けてこその小さな男であろうに。ここはなんとか両立させてあげてほしかった。

ところで、彼に自転車を紹介した小島さんは、大いに褒め称えられるべきであろう。なのに作品中ではちょっと扱いがぞんざいで気の毒になった。果たした功績は「もぎり嬢」に負けてないのに、「金色の手帳」と並び立つような異名を与えられなかった不遇さには同情を禁じ得ない。

なお、重松清による解説が秀逸で、なるほどそう読むのかという視点を教えられた。

次は吉村昭『深海の使者』。久々にリアル書店で出会い頭に購入した2冊のうちの1冊。

 

昨日の酒量 ヱビス350×1