『きみの鳥はうたえる』
昨日の酒量 ヱビス350×2、ジンフィズ×1
羊肉を焼いてビールを飲み終えたところで、ジンフィズを作って本作を観た。
昭和の国立から平成の函館への翻案は十分成功していると思う。
佐知子役は勢いのある気鋭の若手が担当しており、その個性を存分に発揮しているのだが、その真っ直ぐで意志の強い風貌が、店長→「僕」→静雄→?と気ままにふらふらして周囲を翻弄するタイプに見えないため、話の筋と配役がひとつマッチしていないようにも感じた。ただ、ラストシーンの、なんだよだったら最初から早く言えよ、んっもう!、という気持ちを表情だけで演じきっていたところは、とてもよかったと思う。
さらに言えば「僕」と静雄も配役を入れ替えた方がよかったのではないかと思うのだが、『ヒミズ』に続いて染谷将太がとても良い映画俳優であることを再確認できたのは収穫だった。加えて、萩原聖人もやさぐれ中年サラリーマンも良い味を醸し出していた(腹回りまでなかなかにリアルである)。
退屈と言えば退屈な映画ではあるし、夜の函館観光案内的なシーンにも多少ひっかかりは感じるが、時間だけは有り余るほど残されている若者のけだるく愉しい夏の日々に対して少なからぬ嫉妬を覚えたのだから、やはり作品世界に引き込まれていたのだろう。