酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『太陽の塔』

ペンギン・ハイウェイ』を見終えたタイミングであったので、書架で目が止まった本作を購入。ファンタジーノベル大賞受賞作であることは知っていたが、これが森見登美彦のデビュー作であることは不覚にも読後に知った。処女作には作家のすべてが詰まっているという法則を良く理解できる一作である。

京都という土地柄が学生に対して甘く優しすぎるせいか、氏の描くグータラ生活なぞ真の学生の孤独にあらずとは感じるものの、本作のストーリーはほぼすべて、水尾さんとの日々を回想する形で彼女を描写する2頁足らずの文章を真面目に描くことに対する気恥ずかしさの言い訳であるとすれば、まあ、これはこれで、えじゃないか、とも思う。