酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『13F』

1999年のSF映画スパコンで世界を作り上げる話は、確か「リング」だったか「らせん」だったかでも出てきたモチーフで取り立てて新しくはないのだが、再創造された1937年のL.A.の街並みが楽しい。多分地元民ならもっと楽しく鑑賞できるのだろう。

スパコンのタワーが並んだ絵面は現代でも通用しそうだが、オペレーションで使うディスプレイがブラウン管(画面はフラットなのでトリニトロンかな)というところが残念。ブレードランナー製作のころなら仕方ないとしても、1999年といえば結構液晶パソコンは普及していたのではと思ったが、調べてみると当時はボンダイブルーのブラウン管iMacが旋風を巻き起こしていた時代であった。ただMS-DOS的な緑字の画面というところも何とも古くさい感じだ。「個体」へのログインシーンのエフェクトも、がんばりすぎでかえってチープさが目立ってしまう。低予算映画らしくエフェクトなしで表現するという選択肢もあったんじゃないかなとも思うが、実は本作がエメリッヒ作品であると後で知り、いろいろと納得した。

出てくる役者さんは、いずれも全然面識がない人ばかりだが、フラーを演ずるおじさんの誠実かつ上品なダンディぶりが決まっているし、ヒロインを演ずるグレッチェン・モル嬢もキュートで良い。いろいろあるものの最後はハッピーエンドというところも悪くない。

1999年から見た2025年ってあんなにも未来だったのだなということを知ることのできる一作。