『わたしの流儀』
少し前に吉村昭のエッセイ集を読み終えた。氏の随筆を手に取ったのは本書が初めてで、予想どおりの端正な思考と生活ぶりの中にも、そこはかとないユーモアが漂っているところが楽しい。乱れぬ酒豪であったというところは意外であったが、『ポーツマスの旗』を読み終えたばかりであったので、タイトルが酒席で決まっていったというエピソードも興味深く感じた。
東京の地理との関係でいうと、氏といえば日暮里のイメージが強かったのだが、作家としてはおおむね吉祥寺人として生活されていたということのようで、いきつけの居酒屋などの中にはまだ現存しているお店もあるようだ。近隣に立ち寄った際には是非訪問してみたいところだが、居酒屋で最後に杯を傾けてからそろそろ3ヶ月が経過する。宅飲みが続く中で、果たして実現するのはいつのことになるのやら。