酒精雑記

飲む日も飲まない日も

2021年前半をふりかえる

今日から7月。福谷のように登板のたびにnoteで振り返るほどのマメさはないが、1年の節目で前半を振り返ってみる。

外で飲む機会がほぼなくなり、昨年に続いていよいよ酒量は減る一方である。以前は風邪を引いたり体調不良だったり二日酔だったりで、およそ飲める体調ではない日以外はビール1本程度の飲酒を欠くことのない晩酌生活であったが、今年の休肝日は次のとおりで合計79日を数えることとなった。

1月 12日

2月 11日

3月 13日

4月 13日

5月 14日

6月 16日(!)

外で飲まないとはいえ、金~日は家人とともにワインだったり日本酒4合瓶だったりを連日空にしているので、それなりに飲んではいる。良い感じの酒屋が行き着けになってしまい、せいぜい2000円くらいまでで好みの1本が買えることも知ってしまうと、いよいよ飲酒性向は内向きとなってしまう。飲食店のみなさんには申し訳ない気持ちで一杯だ。

今年前半の読書は次のとおり。

吉村昭『白い航跡』上・下

慈恵医大創始者戊辰戦争従軍の様子は同じ著者の「彰義隊」の裏返しの視点となるところが興味深い。森鷗外の業の深さ以上に晩年の高木の姿が何とも無残で印象に残った。

吉村昭『日本医科伝』

白内障手術が江戸時代から行われていたとは!

片山善博『知事の真贋』

珍しく新書を手にしてみた。興味深い分析であり頷けるところが多いが、若干私憤も混じったか。

■三浦しおん『三四郎はそれから門を出た』

まほろ』の著者は筋金入りの読書家であることを知った。

■柚木麻子『ナイルパーチの女子会』

勝手に『ポトスライムの舟』的な話かと思って手にとったら粘着ホラーであった。怖くてよい。ただ、実在の事件を軽々しく引き合いに出すべきではなかったかも。

白石一文『ここは私たちのいない場所』

面白かったことは覚えているが、読了後3ヶ月で筋を思い出せなくなっている。記憶力の減退に驚愕。

尾崎翠第七官界彷徨

「女子」の感性は時代を超えることを知った一冊。最後まで読み切れなかったボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』が何故か思い出された。

村上春樹東京奇譚集

書店の文庫棚からランダムに購入した1冊。綱渡りにまつわる短編が面白かった。

中島敦『南洋通信』

島嶼部の正妻と愛人の闘いの話が何とも愉快である。

■香月夕花『やわらかな足で人魚は』

読んだことのない作者の小説に手を出すことも大切だと思えた1冊。

桜木紫乃『砂上』

編集者ってこういう生き物なんだなと。寸評の刺さり具合の凄さよ。書き直し前の駄作っぽい表現がリアルで良い。

■沼田真佑『影裏』

こちらも初めて読む筆者の小説。良かった。実写では綾野剛松田龍平が起用されているそうな。こちらも観てみるか。

安部公房『第四間氷期

Amazonで文庫新装版があることを知り、久方ぶりに読み直した。AIが日常になりつつある今だからこそ感じられる驚愕の創作力。好奇心に導かれて陸に上がった際の描写が切ない。

角田光代『愛がなんだ』

世田谷代田が出てくる小説として、三浦しをんの「木暮荘物語」と並んで貴重な1冊。救いのない話だなあと思う。映画版も原作にかなり忠実だが、最後のワンカットをあえてオリジナルで付けたのは、脚本家も同じ気持ちになったのかなと。

桜木紫乃『ふたりぐらし』

仙台ではないし私小説でもないが、佐伯一麦の『鉄塔家族』を思い出しながら読んだ。実母によるボケたふりとおぼしきやりとりが痛快。自分も年をとったらまねしてみたい。

■瀬川深『チューバはうたう』

こちらも初めましての作者さん。帯から想像したぬるい話とは真逆の、中学の吹奏楽部では今も起きているであろう奏者とチューバとの因縁の邂逅を見事なフィクションに昇華した熱い1冊。善き彼氏が気の毒だがそれはそれとして。

南木佳士『小屋を燃す』

編集者から言われたままに書き直していることを告白しても許される凄さ。当然ながら『砂上』のやりとりが頭にうかぶが、その対極ぶりがそこはかとなくおかしい。何もかもさらけ出しすぎていて読み手を心配にさせる一冊。小屋を建てたのは、増田みず子が『小説』で辿り着いた場所の隣の区画なんじゃないかと思えてならない。

■瀬川深『ゲノムの国の恋人』

帯から近未来SFファンタジーかと思ったら、現代のリアルな自由なき社会が淡々と描写されていた。むき出しの力が自分に向かってくる怖さ。このところのミャンマー情勢を見ているとさらにリアルである。

 

中日の戦績の振り返りはまた後日に。