酒精雑記

飲む日も飲まない日も

前半最後の9連戦で打てる手を打ったという姿を見たい

ビシエドの同点2ランでかろうじて6連敗は免れた昨夜の中日は、未だ連敗ストップには至らず、五輪休み前の9連戦を前にして77戦28勝38敗11分の借金10。3位ヤクルトには9.5ゲーム差を付けられてしまったが、14戦して2勝9敗3分と直上のライバルに7つの貯金を献上していては、CSなど夢のまた夢である。

助っ人の入国遅延や主力のコロナ隔離で苦しんだDeNAや広島と比べ、野手陣の大量離脱に至っていないにも関わらず、そしてライマルの五輪予選離脱もしのいだ防御率3.32という投手陣を擁しているにも関わらず、底辺2チームと2.5ゲームしか離れていないのは、ひとえにただひたすらビシエド頼みの打線が原因である。

ほぼ100日前の開幕直前に、1位広島・2位中日という並びを予想した自分の目の曇りようは恥ずかしいという他ない。中日の躍進があるとすると京田と根尾のいずれかが大飛躍することが最低条件であるとしたところは、逆の意味であたってしまっていて無念である。ファーム1ヶ月では特に得るところがなかったか、京田は再昇格後も以前とあまりかわりばえのしない成績で低空飛行を続けている。ファームでは53打数15安打でOPSは.686。四球は2個、出塁率も.309というパッとしない数字しか残していない。やはり今のウエスタンでOPS.700程度では1軍で通用しないという目安だけが残ったように思えてならない。

迷いの中でもがきつづける根尾は、昨日の打席ではバットを振り切ることに集中する方向に舵をきったかのように見えた。しかし、甘い球を狙うことができているのにこれをファーストスイングで捉えきれないところに彼の壁がある。ロッテ藤原のように下で早々に調整する方が彼の為であるが、五輪休暇までは帯同させ続けるのがフロントの指示なのだろうか。あまり不自然な人事が続くのはチームにも本人にも良くないので、そろそろ潮時と考えてほしい。

開幕前には、そろそろこの時期には1軍に上がってきて火を噴く打棒が見られる時期になると予想していた石川昂・岡林がそろって怪我で離脱しており、いよいよ上がり目がないチーム状態であるが、シーズン中に編成の不備を嘆いても始まらず、とにもかくにも持てる駒でチャレンジを繰り返すしかない。

昨夜2度のホームクロスプレーで郡司が派手に落球したゆえに守備能力を見切るわけではないが、キノタクがチームOPS2番手である以上、郡司のバットを生かすには一時的にでも外野コンバートを考えた方がよいと思う。これまで一度もその可能性を下で試していないというのは、首脳陣側の準備不足・知恵不足との批判を免れないであろう。高松のレフト守備でも目をつぶろうという度量があるのだから、数試合でもいいから郡司にも下で外野を守らせておくべきであった。

同様に目を見張る打力を示し続けている石橋は、これから主戦捕手へと育てていく以上、今暫くファームでお勉強が必要であり、無理にサードや外野で使うというプランを考えるべきではないと思う。しかし、このところ下で絶好調の渡辺勝は今使うべきである。昨年で解雇せず支配下に残した以上、下で実績を上げたら30打席くらいはまとめてチャンスを与える必要があるはず。

そしてこのブログでしつこく取り上げているが、伊藤康祐は今季一貫して高い出塁率を残している。一時期少し調子を下げていたものの、再びOPSを.800台まで上げてきた。153打数43安打36四球で出塁率は4割超えである。これだけ立派な成績を残しており、1軍の外野がスカスカという状態なのに使わないようでは、組織の活性化など期待すべくもない。後半戦に向けた光を感じたいファンのためにも今すぐ招集し、前半残りの9連戦で6先発出場&20打席くらいは与えてやってほしい。

難しいのは育成落ちとなった石岡の扱いである。残りの枠は1つ。山下に先を越されたところにはじけきれない石岡らしさが出てしまっているが、123打数42安打4HRで長打率.520、OPSは.902とまさに無双の活躍である。6月後半で打率を5分も上げており、まさに上げ潮の状態だ。外野守備経験も多少はあるのだから、背番号が二桁だったら左の長距離砲外野手としてまさに昇格1番手であった。巡り合わせの悪い選手であるが、それも含めての実力か。しかし打撃面ではほぼ死に体のチームである。この先1つ枠を余らせるだけで無策が続くなら、オリックスの杉本のような覚醒例だってあるのだから、えいやとひとおもいに支配下登録し、今年後半、最後の見切りの機会とするのも一策ではないか。

石垣は124打数32安打HR3に対して46三振。三振かHRかでよいタイプの打者と思うが、ファームでこれほど当たらないようでは昇格はおぼつかない。昨年後半の1軍飼い殺しが不憫であったが、とにもかくにも今年のウエスタンでのOPS.800。まずはこれを超えて「石垣を上げろ!」と言える状態までもっていってほしい。

完璧な選手ならファームにはいない。粗はあっても勢いがあるときに使わなければ伸びるものも伸びてこない。そして下で実績を残したのにチャンスを与えずオフになったら首を切るというのは全くの悪手である。使ってみた結果として使えなければ、来年の編成を考える上では先手を打ったと言えるはずだ。その割り切りに満ちた勇気ある起用が、崖っぷちの選手の信頼と死に物狂いの力を引き出す勘所でもある。

ラストチャンスの中でもがいて這い上がる男達の姿を、これからの9連戦で1つでも多く見てみたい。その選択肢は首脳陣の手の中にまだいくつも残っているはずだ。