酒精雑記

飲む日も飲まない日も

ドラフト後

ドラフト当日。何かと時間が逼迫した中ではあるものの結局2時間指名中継をネットで見続けてしまった。

希望としては「素直に大卒ナンバーワンの正木」指名路線であったが、大方の予想どおり1位はブライト健太であった。守備面も含めた評価なのだろうが、あらためて動画を観て、伸び代十分だが即戦力型ではなさそうで、今年の佐藤輝や牧が超例外的選手であることに照らしても、最低1-2年は我慢が必要であろう。

2巡目で正木が残っており、1位2位の順は狂ったがこれで両取りだと思ったところで、ネット上も騒然の鵜飼の2位指名。その後、打棒の神様王貞治率いるSBフロント陣が迷わず正木を指名した。2年前に石川昂弥を狙い撃ちしてきたSBの眼力からしても正木は高評価であったかと思うと、何とも無念の思いにかられることとなった。スイング力重視なら、ブライトと重なる右の大学生外野手ではなく、左の高校生外野手である前川を獲るべきだったのではないかとも思った。

しかし、その後気を取り直して鵜飼の打席の動画をいくつか眺めてみて、中日の選択は正しかったのだと思うようになった。独特のバットの引きでタイミングをとるという自分の打撃の型を持っており、指標から言われるところの怪力扇風機の印象はうけない。内角も肘をたたみながら上手にとらえて振り切っており、力任せに振っているわけではないところが好印象。つまっていても神宮ならレフトスタンドまで運んでしまうという技術とパワー。打席には落ち着きがありたたずまいがとても良い選手だ。コーチ陣が変にいじらなければ、ブラ健よりも多分先に出てくるのではないかと思う。バットの引きを欠点として指摘する向きもあるようだが、とにかくいじらないというSBにおけるギータ養成法に習い、壁にあたるまではこのままで振らせてほしいところだ。

その観点では立浪新体制における打撃コーチが誰になるのか、とても気になるところで、一部報道では森野就任が既定路線とされているようだが、もともと野村監督をして、森野の裏をかこうとしてはなららず表の攻めでよい、なぜなら表も裏もなく来た球を振るタイプだからだ、と評されたバッターである。天性の打棒はコーチとして教えられるものではないはずで、繊細な技術に基づくフルスイングが売りであった中村紀洋コーチの就任に強い期待を寄せたいと思う。

前川や田村が残っていた3巡目のサラマンダー石森の指名では、誰?と思ったが、元SB馬原の指導の下、速球左腕として急成長を遂げた投手ということで、又吉流出の危機に備えたよい選択であったことを理解した。指名直後のハートの強い発言を見ても、中日の風土に欠けていたものを持ち込んでくれるだろうと期待している。

4巡目。今度こそ前川か田村かと期待する中での高校生捕手味谷の指名にも驚いた。愛大安田捕手がまさかの2位で消えたことが大きく影響したようにも思えるが、捕手陣の打棒を持て余す中日では、郡司らのコンバートを視野に入れる必要があるため、捕手は2軍試合成立要員的位置づけも含めた補強ポイントである。体も大きいので、楽しみな選手だ。

5巡目は高校生内野手星野。藤井に代わる豊橋の星となるか。土田を1軍で使う目途が早々に立ちつつある今、2軍で起用する若手遊撃手の補強も理にかなっていると思う。

6巡目はロマン砲福元。大商大出身の中日選手がなかなか大成しない傾向があるのが不安要素だが、この順位ならよしとしよう。同一世代の右の体格型外野手3人が重なった編成上の偏りは気になるが、いずれか1人は当たるだろうというくらいの気構えで見守ることする。高校で得た智弁ブランドが入団後に輝くことに期待したい。要するに若い石岡というポジションであるから、石岡は死ぬ気で成果を出さないと本当にヤバいことになるはず。起用方法が相変わらず気の毒だが、逆境に負けず、本当に頑張ってほしい。

・・・ということで、指名直後はあれこれもやもやしたものの、補強のポイントを考えた上の結論であったことは理解できた。あとは新体制が彼らを上手に使うことに期待をしたい。

ついでに書くならば、井端コーチが実現しそうにない空気なのがとても残念だ。本人はやる気がありそうなので、是非巨人とサムライで他球団事情にも通じる眼力を養った知恵者を入閣させてほしい。