酒精雑記

飲む日も飲まない日も

3月のふりかえり

本拠地開幕カードで手負いだったはずのDeNAに3タテを喰らうという屈辱的な月末であったが、鵜飼の「詰まった」打球がチケットを取り間違えた母の待つ左翼席中段に刺さったシーンを観ることができただけでも満足である。そう自分の心に言い聞かせてはみたが、今日の相手の先発が大瀬良では気分が晴れぬのもやむなしか。

3月の休肝日は16日。週末に一度軽く体調を崩したため、普段よりも酒を飲まない日が多い結果となった。

映画は5本。

ワールド・オブ・ライズ

デカプリオとラッセル・クロウリドリー・スコットが撮った豪華な一作のはずだが、実際にはそれほどのワクワク感もなく、潜入スパイがアイシャにうつつをぬかす必然性もなく、なんだかなという感想が残った。ヨルダン情報部チーフの白ハイネック&ジャケット姿はかっこよかった。

君は永遠にそいつらより若い

津村記久子の原作は未読。映画が良かったので発注をかけてみた。アホで楽しい学生集団の中で、ささやかな揉んで揉まれてを経てちょっとだけ成長し、小さな志を胸に社会に出て行く主人公の姿(戸の前でぐっと息をのんで覚悟を決める最後のシーン)が良かった。

スプリング、ハズ、カム

東京の大学に合格した女子大生が父と上京して部屋探しをし、祖師谷にアパートを借りたというだけの話を、とても丁寧に描いた良作。都会の初めての夜の長さを感じる姿で終わるところもよい。

いとみち

津軽三味線達人の孫がメイド喫茶でバイトする話。スプリング、ハズ、カムと同じく「母の不在」の映画でもある。三味線を弾ける女子を選んで主役にしたのかと思ったが、この役のために練習したとは。終盤の演奏シーンは見応え十分で、フラ・ガールと双璧をなす出来映えだ。ストイックな店長とジョナゴールド(すごい芸名だ)演じるクラスメイト、そして岩木山山頂からの眺望がよかった。

エイブのキッチンストーリー

ニューヨーカーであるユダヤムスリムの間に生まれたハイブリッド少年が文化の狭間で思い悩む中、料理に活路を見出す物語。料理も美味しそうでよい。双方の実家の大人たちが大人げないのだが、その大人げなさにも人の命がからんだ重たい歴史があるので、簡単には大人になれないのも仕方ないのだ。それでもどこかで希望を見出すことだってできるというストーリーは、今のウクライナ情勢とあまりにマッチしていて、何とも複雑な気分となった。

読書は2冊に留まった。

宵山万華鏡」

森見登美彦による祇園祭を舞台としたファンタジー。その雰囲気を知らないものにはちょっと難しい作品であったか。

「風のない日々/少女」

野口冨士男の小説ははじめて。本来は私小説作家ということだが、本作は戦前の東京下町で起きた殺人と戦後間もなくの財閥令嬢誘拐という実際の事件を題材にした、とおり一遍の三面記事では触れられない人の心のひだの不可思議さに焦点を当てた客観小説(という言葉を初めて解説で知ったが)である。生活のディテールが執拗に説明され続けた上でのあっけない幕切れが印象に残った。

 

今日もマスターの一発で先制したと思いきや、大野雄がゲッツーをあせって逆転に至ったところだ。さてどうなるやら。