酒精雑記

飲む日も飲まない日も

4月の振り返り

4月の酒量は月~木をほぼ律儀に素面で過ごしたので休肝日は合計14日。外食機会も徐々に増えてきたが、あくまで家人と週末に出かけることが主であり、仕事の仲間内での宴会解禁までは、まだハードルが高いようだ。

4月は映画は観ず。

読書は3月末から読み始めた『ベルリンは晴れているか』を読み終わるのに時間をとられて合計4冊に留まった。この深緑野分の話題作は精緻な舞台美術の上で演じられるドラマが面白そうで実はそうでもないという、なかなか評価に困る一作であった。旅をする必然性がよく分からないと、せっかく魅力的なバディが集まっても良質のロードムービーは成立しない。映画『ドライブ・マイ・カー』が画竜点睛を欠いたのもこの点であった。ユダヤ人をカリカチュアして映画に出演した男の戦中と戦後という、すばらしい着眼点のテーマを見つけたのだから、ミステリー仕立てにこだわらず、この悲喜劇を掘り下げた物語を読んでみたかった。直木賞選考における高村薫の評は誠に辛辣だが、本質を突いてしまっているのかも。

たまたま書店での巡り合わせで手にとった乙川優三郎の『ある日、失わずにすむもの』は、これをフィクションとして読めないご時世となっていることの寒々しさを噛みしめながら読み進めた。このテーマで小説が書かれていたことの凄みを感じざるを得ない。

映画のネタ本を読みたくなって手にしたのが、津村記久子の『君は永遠にそいつらより若い』。映画がとても丁寧に作られていることが、あらためてよく理解できた。主題は違うのだが、出てくる学生がいずれもそれぞれに真剣にこの世を生きているという点で、私の中では『青が散る』の平成版という位置づけとなった。

『壁の男』は初めて手に取った貫井徳郎の一作。自宅内の壁に始まるアール・ブリュットがコミュニティに受け入れられていくところは、実際の絵の魅力がビジュアルに出てこないとやはり説得力を欠いてしまう。実直な男の生き様に惹かれなくはないものの、そのストーリーに不慮の事故が2つと難病死が1つ出てきてしまうと、作者の手のひらの上で涙を流したくないというあまのじゃくが、私の心の中で騒ぎ出してしまうのであった。

中日は鵜飼・石川昂のアベック弾で一気に阪神3タテかと思いきや、柳が大山から同点弾を浴び、無双の成績の中であるが安定感はいまひとつであったジャリエルが内野ゴロで勝ち越しを許すという残念な展開で、GW最終戦を黒星で終えた。しかしこの時期に貯金1で上位戦線に留まっているというのは、監督首脳陣以外の補強を行わなかったチームとしては大変に立派なものだ。野手運用の柔軟性という点で、立浪采配はアリだと思えるので、応援していても楽しくてよい。先発陣では勝野の長期離脱があまりにイタいところではあるが、とにかく交流戦までは5割ちょい上のラインで何とか踏ん張ってもらいたい。