酒精雑記

飲む日も飲まない日も

7月・8月のふりかえり

中日に勢いがないとブログを書こうという気分はなんとも低調であり、多忙も重なったこともあって、2ヶ月まとめてふりかえりたい。

休肝日は7月が9日、8月は11日。レジャーも多かったがそれなりにインターバルをおいた節度ある生活だったと言えよう。

読書も低調で以下の3冊に留まる。

安部公房のエッセイ「笑う月」は、小説の方が好みかなということを知る一冊となった。先鋭・前衛であったからこそ時代を経て古びてしまったということなのかも。

東山彰良の「恋々」は初めて読む作家さんであったが楽しく読み切った。10代の末尾に誰しも経験する赤っ恥の記憶を抉ってくる勢いのある小説である。

「穴あきエフの初恋祭り」は先日まで新聞連載小説に挑戦していた多和田葉子の短編集である。連載は8月に何とも唐突な最終話を迎えてしまったが、日本語を音で捕らえ直して字義の異なる感じを当てはめてみて、という遊びの部分が面白かったので文庫を手に取ってみた。表題作はキエフ(現キーウ)の不思議な祭りを舞台とした一作で、かの地が今どうなっているのかを思うと胸がつまる。

観た映画は次の2本。いずれも自宅鑑賞。

伊藤沙莉が出ているということで選択した「ちょっと思い出しただけ」は、とても良かった。時系列で説明すれば何ということもない話ではあるのだが、遡りながら映像とセリフの端でじわじわと全体像が示されていくところがとても映画的で良い。何ということもない出来事のほんのりとした大切さが伝わってきた。期せずしてコロナ前後の世情の変化の記録映画ともなった本作は、時を経て見直す価値があると思う。

ジオラマボーイ・パノラマガール」は、岡崎京子の描いた80年代の東京を21世紀に移植した一作。ふわふわとした原作の雰囲気は良く再現されていたと思う。ハルコ役の山田杏奈も悪くないが、ケンイチ役の鈴木仁がとてもマッチしていてよかった。80年代ならマユミを演じたであろう大塚寧々がハルコの母さんというところに、時の流れを強く感じてしまった。こちらも期せずして、五輪を前にして浮かれた開発の続く東京湾岸部の一瞬を封じ込めた記録映画となっていた。

ドラゴンズは7月が10勝8敗、8月は11勝14敗。2ヶ月で1つの負け越しという、カタストロフもなければ連勝街道の喜びもないという経過を辿っている。鵜飼・石川昂という若き華を欠いた先発メンバーをみて、いよいよ気をそがれた時期もあったが、この2ヶ月の間に、立浪監督は暗黒の10年の間の中心選手をサブに回し、来年以降の骨となるはずの若手起用に軸足をシフトした(除く大島プロ)。

開幕から好調のライト岡林に続いてこの好機をもぎ取ったのは遊撃土田である。いずれも根尾をはめ込もうとしたポジションに、根尾よりもさらに若い選手が完全にフィットしたというのは何とも皮肉であるが、この2人が打席経験を重ねる度に若竹のごとく目に見えてにょきにょきと打棒の質を上げている様子を見ると、昨年180打席余りを与えた根尾の打撃に前年からの成長は認められたとしても、これを見切らざるをえなかった理由は、なんだかよく分かってしまうのである。厳しい言い方ではあるが、野手根尾は結果としてこの2人との競争に敗れたことは明らかであり、だからこそ未練を吹っ切ることができるはずである。

首脳陣は残り20数試合、根尾を投手として1軍に帯同させ続ける方針のようで、ウエスタンの試合数などが今ひとつであることからすると、1軍で一流打者との対戦を一巡させようという狙いもわからなくはないが、中継ぎ準備の負荷に野手の身体だった根尾が耐えられるのか、本当に心配である。ストレート&スライダー以外の球種を磨くためにも、早くファームに落として先発としての本格的な養成にじっくりと取り組んでもらいたいのだが・・・。

この他、石橋・石垣・レビーラが、好不調のある中、まとめて出場機会を与えられてきた。

石橋は打撃フォーム改造中のようだが、前の方がよかったんじゃないかというのが率直な感想である。木下以上に長打を期待できるポテンシャルを持つ男であるのになんだか心配だが、リード面では痛い思いを重ねる経験ができたことは絶対に来季に生きるはずである。

石垣は8月に2本のHRを放ったが、いかんせんバットが球に当たる感じが全然しないので、なかなか重症である。与田政権下なら数試合も出続けることは許されなかったであろうが、全体に短気な用兵が目立つ監督立浪にしては、石垣(とレビーラ)をよく辛抱していると思う。昨年と比べて2塁の守備は落ち着きが出てきているので、あとは考えすぎ気味の狙い球の絞り方をシンプルなものにして、迷いを無くすことができれば良いのだが、9月に入っても相手バッテリーの注文通りの三振を繰り返しており、こちらも岡林・土田のセンスと比較すると才能の問題なのかなあとつい感じてしまう。ツボにはまれば破壊力があることはわかっているので、今季の間に何とかヒントを掴んでほしい。

来季を見据えると、センターラインはかなり固まってきたので、鵜飼・石川昂の復活を待つばかりであるが、いずれも怪我が十分癒えていない現状を見ると、何とか福元・ブライトあたりにも残り試合で1軍経験を積ませておきたいところだ。コロナ感染明けの福元の調子はそれほど上がってきていないようなので、昇格の推薦を得るにはまだまだのようであるが、右の大砲のライバルが不在の間に何とか頭角を現してほしい。