酒精雑記

飲む日も飲まない日も

9月のふりかえり

9月の休肝日は14日。泊まりの出張があったりした関係で平日にもそこそこ飲む機会があったが、最終週に親族の予定手術があった(無事終了でなにより)ことで、万一にそなえて飲酒を控えたためこの日数となった。

読書は4冊。

松浦理英子の「最愛の子ども」は思春期少女らの瑞々しいイタさをピュアに書ききった不思議な小説であった。

三木那由他の「言葉の展望台」は久しぶりに小説以外の読書となったが、発言には話者による約束が伴うという話にはなるほどと感じた(正確に理解できていないかもしれないけれど)。丁寧な言葉を紡ぐ人がいるということを知るだけでも、この世は見捨てたもんじゃないと思うことができるので、良い書籍だなあと思う。

続いて三浦しをんの往復書簡小説である「ののはな通信」。性を超えて家族と恋愛の意味を考えるという点で「最愛の子ども」と重なりあう作品と感じた。

最後の1冊は「最愛の子ども」のプロトタイプが作中に出てくる松浦理英子の「裏ヴァージョン」。期せずしてこちらも「ののはな通信」と同じく往復書簡小説であった。名前をつかがたい不思議な関係性の女性2人の姿を、小説の作者と読者(実は大家と居候なのだが)のやりとりの形で少しずつ明らかにしていくという変わった小説であるが、とても引き込まれた。

映画は2本。

「先生、私の隣に座っていただけませんか」はブラックコメディ調の映画なのかと思っていたが、もっとホラー寄りの映画であった。黒木華の怖さと柄本佑の情けなさが絶妙にマッチしていて良かった。

アニメ「ジョゼと虎と魚たち」は原作未読・実写映画も未視聴で観た。常々病気や事故で涙を誘うのは安易な手法だと思っているが、本件は障害者の立場を知るとはどういうことかを示す必然性があるので、許されるケースに入るであろう。まっすぐ王道を行く物語の構成も清々しかった。

さて、中日は結局最下位でフィニッシュとなった。5位広島とは0.5ゲーム差まで詰まったが、最後の最後までCSの可能性を残したわりには、順位の上でもさして見せ場もないままであり、せめて巨人に冷や汗をかかせるくらいの嫌がらせはしてほしいところであったが、打線が爆発する気配もないチームではこのくらいが限界であったか。

個人成績では岡林がまさかのタイトル獲得となったのは朗報だが、HRゼロでの最多安打選手というのはおそらく過去に例がないのではないか。シーズン後半には印象に残る長打も増えたように感じられるので、来年はOPS..750超えを最低ラインとして目指してほしい。

ドラフトに向けた第一次戦力外通告では育成含め10名が退団となった。平田もあと数年は代打要員で囲い続けるのだろうと想像していたので、ちょっと驚いた。荒川道場最後の弟子である渡辺勝の自由契約は、ある種予想された結果ではあるが、個性ある選手が花を十分に咲かせないまま退場するのは何とも残念である。新天地が見つかるとよいのだが、守備走塁型の外野手は各チームそれなりに抱えているはずで、なかなか厳しい先行きが想像されるところである。

ソフバン松田獲りから早々に離脱を宣言せざるを得ない球団の財力からすれば、今年もFAでの戦力補強は見込めそうにない。ジャリエルが複数年契約に応じてくれそうなのは朗報だが、あとは松葉を引き留めることができればせいぜいというところであろうか。そうなると中日の補強はドラフト獲得選手とキューバの未知数の原石拾いの2点で尽き、あとは既存選手の戦力化が生命線ということになりそうだ。

今年のドラフトは目玉がないぶん、編成の知恵が問われることとなる。東芝吉村が即戦力投手として1位指名されるだろうと想像しているが、大砲型野手(できれば内野で左打ち)という補強ポイントよりも投手を優先したのに、このクジを外してしまうと、野手の選択肢もぐっとせばまってしまうので、なんともおそろしいところである。野手では、山田・澤井・内藤・イヒネのうち最低1人は獲得したいところだが、打力補強を優先して1位野手でいくべきか、即戦力投手を優先するのか、本当に難しいところだ。

終戦に先発した根尾は、先発としての調整がそれなりに出来つつあることを証明した。ものは考えようで、4年前のドラフトで根尾に期待した役割を岡林と土田に委ねることができたので、根尾を先発候補に回すことができたと捉えるならば、今年はすでに即戦力投手を指名できているようなものだ(フェニックスで投げすぎて怪我することだけは避けてほしいが)。となると、ここは思い切って、今年も大砲候補を1位指名するというのも手かもしれない。

昨年は正木より鵜飼を優先した選択に頭をかかえたが、この点ではスカウト陣の眼力にさして間違いはなかったことを鵜飼はすでに証明している(ブライトについては忘れることとして)。今年その眼力を再度発揮できるなら、来季開幕を楽しみにすることができるのだが、さてどうなるか。