酒精雑記

飲む日も飲まない日も

ルビの反乱

引き続き円城塔の『文字渦』。昨夜で「誤字」まで読了。章によって入り込めるものとそうでないものが分かれるのだが「誤字」にはやられた。日本語の版面にこんな表現を押し込むスペースが残っていたとは。発見した著者に脱帽。

習慣とはおそろしいもので、本文が横目に入ってもルビ部分(本作ではいわば「ルビ文」)だけ集中して読むことはさほど難しくないのだが、逆にルビ文が横目に入ると本文の内容がほとんど頭に入ってこない。ついルビ文に目が行ってしまい、読みたい文章の横からルビに話しかけられて(しかも、なぜか脳内では野沢雅子の「悟空」で再生されてしまう・・・)、えーいうるさい黙ってよもう、という気持ちになる。

1頁読み進むだけでけっこうな集中力を持って行かれたが、読みながら思わずにやにやしてしまった。

なお、ここまでの他の章では「新字」が良かった。楷書のもつ抽象的支配性にささやかな罠を仕込んだ外交官の物語。

 

昨日の酒量 ヱビス350×1、ロイヤルサルートソーダ割り×1