酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』

一昨日の酒量 生ビール×2、日本酒約3合

苦役列車』文庫本の併載小説を読み終えた。Wikipediaでは芥川賞受賞作の1ヶ月前に新潮誌で発表されているので、単行本や文庫本でのカップリングに特段の意図はないということにできるのだろうが、川端康成賞落選をテーマとし、以前に芥川賞候補作となった際のあれこれにも言及した本作を並べたところが、なんともいやらしくて可笑しい。腰痛を押してまで古本屋で験担ぎするエピソードも切実な滑稽さに満ちており、そこで見つけた師匠の仇敵の私家版のやるせなさに自らの姿を重ねる自虐の精神は、この自意識に満ちてねちっこくていやらしいはずの話に堂々たる清々しさをもたらしており、何とも痛快である。