酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『軍中楽園』と『キング・オブ・コメディ』を観る

忙中閑あり、土日で映画を1本ずつ観た。

昨日観た『軍中楽園』は台湾防衛の最前線である金門島に1990年ころまで実在した軍の慰安所に配属された若き兵士をとりまく群像劇。戦争ものということもあって、主演がなんだか永島敏行に重なって見えた。レジーナ・ワン演ずるヒロイン(クールでとても魅力的)との関係が何とも不格好で無残な別れに至るところも、安直じゃなくて良かった(あの場面でのあの発言はヒトとしてアウトだ)。ラストは1組目と2組目の写真でおやっと思わせた後の3組目で、実はいずれも非現実であることを明示しており、ここも安きに流れていなくて良い(潔い分、とても淋しい結末ではあるけれど)。難しい題材であるし、おそらく現実の悲惨さは掬い切れていない部分もあるんじゃないかと思うので、評価が難しいところはあるが、複雑な台湾の民族事情を背景として、「対岸からの砲撃は月水金のチラシまき」というファンタジーな戦場の片隅にきれい事だけではない「楽園」が実在したことを丁寧に描いた佳作と感じた。

今日は『キング・オブ・コメディ』。終始サイコなハイテンション。デ・ニーロ以上に相方?の女性のやばさよ。多分日本人だからこそ、アメリカンジョークのなんともアメリカンジョークなところを愛でることが可能であるがゆえに、業の深い空虚さをより堪能できるという映画かもしれぬ。こちらの映画では、ラストが非現実なのかどうか議論が尽きないようであるが、製作当時の意図はともあれ、今や炎上商法全盛の21世紀である。今、これを幻想シーンとして観ることは難しかろう。