『脊梁山脈』読了
『脊梁山脈』を読み終えた。終戦・復員から昭和40年ころまでを舞台とした物語で、『ロゴスの市』などの続く作品群と比較すると、読後感としては少し散らかった印象を受けた。
人生に真摯に向き合うタイプであるはずの主人公によるヒロイン2名の扱いには、どうしてこうなっちゃったかなという残念な感じをぬぐうことができない。佳江はああいう女性なんだから、すっぱり割り切って、多希子を最初から大事にしていればいいのに。
古代史独自解釈については、もともと予備知識がないので、何をどこまで信じて良いのかわからず、乗り切れなかったのは残念。復員中に知り合って山に籠もることとなった男性の数奇な戦後の日々も含め、多分5本くらい小説が書けるテーマが1冊に盛り込まれているはずで、それぞれの物語を別々に読むことができたら、それはそれで贅沢だなあと思う。
次は、吉田篤弘『小さな男*静かな声』。
『脊梁山脈』の後にしたのは、ちょっと読み合わせが悪い感じではある。何せ重厚な物語だったので、軽さが悪い方に目立ってしまいそう。