酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『「中東」の世界史』読了

『「中東」の世界史』を読了。

イラクの成り立ちがオスマン帝国中の3州(モスル・バグダード・バスラ)をまとめただけであるとか、『カサブランカ』が戦意高揚映画であったとか、ああそうだったのかという話がたくさんあった。毎章の冒頭で日本との関連性に言及がある点も興味深かった。

欧州と地続きあるいは地中海を挟んで真向かいという地理的要因が、かくも過酷な歴史を現地の人に強いる結果となっていることを知ると、極東の島国は力と力のぶつかりあいに翻弄されにくい環境なのだなあということを、あらためて強く感じた。

より深刻化している中東の不安定な情勢が、これほど根深い構造的要因によるものであるというということを知ると、何とも途方に暮れてしまうが、ネオコン系学派とは異なる視座から研究を続ける識者らを丁寧に紹介しようとする熱意ある筆致からは、筆者の「中東」に住む人々への深い愛情を感じた。

次は乙川優三郎『脊梁山脈』。

 

昨日の酒量 ヱビス350×1