酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『ほかならぬ人へ』

昨日の酒量 シャンパン1杯、日本酒1.5合

昨夜は恵比寿と品川ではしご酒をしながら、白石一文の表題作を読み切った。

手酷く裏切られた男と手酷く裏切る女がそれぞれ主人公となる中編がカップリングされた1冊で、正直なところ直木賞のイメージとは全く合致しないのだが、2作で丁度表裏一体という趣となっており、それぞれに面白い作品であった。主要な登場人物はそれぞれに壊れたところがあるのだが、いずれもサラリーマン稼業については不思議な誠実さを持ち合わせているという設定となっているところに、クズと呼ばれるべき人々を愛しく見つめて描き続けるこの作者独特の倫理観があらわれているのかもしれない。