酒精雑記

飲む日も飲まない日も

『ヒート』

昨日の酒量 ヱビス350×1

折角の週末だが1軍も2軍も雨天中止。かわりにパチーノ&デニーロ共演の長尺映画『ヒート』を観ることとした。トータル2時間50分。投手戦なら丸ごと1試合分に相当するが、カット割りが短いので長さの割には飽きることなく見終えることができた。

シナリオは良いところもあれば、若干散漫なところもあるが、さすが大物同士、カフェでの対面シーンは言うに及ばず、全編見応え十分である。パチーノが埠頭で捜査側の顔バレに気付いたときの笑顔や、バル・キルマーの妻の不倫相手のところに押しかけて行って脅す際のセリフ回しはまさにやり過ぎだが、それが何とも素晴らしい。体重増減自在のデニーロの締まった方の姿はまさにダンディで、書店のお姉さんがうっかり声をかけてしまうだけの説得力がある。

細かいところでは、ファミレスでキッチンを担当する男にまつわる長ーい伏線をすがすがしいほどあっけなく回収することで、その犬死にぶりを強調したセンスは買いだ。妻を寝取られた現場に出くわしたパチーノが、14型ブラウン管テレビだけをかかえて家出するエピソードも秀逸で、なんだか古くさいテレビだけど24年前ってあんなんだったっけと前半のシーンで気になったのも、実は伏線にひっかかっていたんだなと後から気付かされた。

ナタリー・ポートマン演ずる娘の話は、描き方が中途半端で名子役の無駄遣い感は否めないが、ローストビーフとエビフライの入った豪華箱弁当に旬のイチゴがデザートに入っていたかと思えば、それもまたよしと思える作品である。

次は『ソードフィッシュ』冒頭でトラボルタが褒めていた『スカーフェイス』か『狼たちの午後』を観ることとしよう。