酒精雑記

飲む日も飲まない日も

このところのふりかえり

9月10月と予期せぬ雑事の諸々に追われ続け、ふりかえれば夏の終わりから11月に直接飛び込むような感覚である。とはいえ今週でようやく一区切りついたので、この間の回顧メモを書く気分に。

休肝日は9月が13日、10月は14日(まだ終わっていないが今日明日は飲むことが確定しているので)と、コロナ自粛緩みの影響はまだ顕在化していないが、そろそろ時間の問題であろうか。ちなみに10月は外飲みが3回に達した。

この間の多忙さでほとんど本を手に取る気分にもなれず、読了に至ったのは『短編学校』『左上の海』の2冊に留まった。

前者は文庫アンソロジーの焼き直し版で、短編のお手本といえる作品が目白押しかと思いきや、作家の力量ってこんなにもちがうのね、ということがはっきりわかる一冊となってしまっていた。とりわけ吉田修一井上荒野はやはり凄いのだなあとあらためて感じてしまう。読んだことのなかった作家では今野緒雪のSFが掘り出しものであった。

後者は村上春樹の雑文集からの流れで手にとった安西水丸の短編集。実のところ足を踏み入れたことはほとんどないのだけれど、80年代の青山界隈の空気感を懐かしむという疑似体験ができた。気取った時代に対するほんのりとした恥ずかしさを感じたりすることもできるという、なんともアンニュイな一冊。

本に手が伸びない分、映画はそこそこ自宅で鑑賞した。

『走れ、絶望に追いつかれない速さで』

松本穂香主演の『わたしは光をにぎっている』が良かったので中川龍太郎監督の作をもう1本観てみた。ドーナツの穴のような意味での物語の中心を担う役を演じた小林竜樹が実に良い。染み出す色気が凄いのだが、他の作品などにはあまり起用されていないのが不思議である。仲野太賀も引き続き良い感じだ。

『それから』

初のホン・サンス作品。自分の不倫相手を不倫を間違われる役にはめ込んで、社長と妻を実の夫婦に演じさせる監督っていったい。

『エクストリーム・ジョブ』

張り込み用の偽装店舗が繁盛しちゃうというアイデア一本勝負の映画だが、シンプルに楽しい。翌日に唐揚げを食べてしまったのはご愛敬。

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』

松本穂香出演作をもう1本観てみようかと思ったが、これは何ともはやであった。1人2役はきちんとはまっていたが、意図したグダグダもあそこまでだとさすがにキツいなと。

『正しい日、間違いの日』

ホン・サンスがいよいよおかしな人であることがよく分かる一作。いかんせん男に何の魅力もないので、「間違いの日」にキム・ミニと上手く行く流れに説得力がなくてダメだった。なのに、最後まで観てしまうのはなぜ?

『007カジノロワイヤル』

新作に行き着くためにダニエル・クレイグ1作目から見始めた。本歌取りなので本歌を復習しないと本当の意味では楽しめないのかも。冒頭のアクションが一番面白いというのは成功なのかどうか。ホールデンポーカーのシーンは大胆な長さだが、そこは悪くない。

『007慰めの報酬

思ったより短かくて拍子抜けしたが、やはり冒頭のアクションシークエンスが一番面白い。何故ホテルに多量の可燃物が保管されているのだろう?という疑問を持ったら負け。考えるな、感じるのだ。

『007スカイフォール

上2作を観ないまま1度観たことがある本作。筋はすっかり忘れていて、シリーズ順に観た方が楽しめるのかと思ったが、特に続き物的要素は含まれていなかったことを知る。ガジェット要素を多めに盛り込んだり、話の筋がわかりやすくなっていたり、アクションシーンのカット割りも細かすぎないように配慮されていたりと、前2作の反省点?への修正が感じられるが、やはり冒頭のアクションが一番優れているという点は変わっていなかった。上海のクラゲ画像を背景にした挌闘のあたりまではよかったのだが。