酒精雑記

飲む日も飲まない日も

教え魔の功罪

対外試合はこの2戦で今季もまたと思わせる迫力不足が続いてしまっている。ついに石垣は1軍から陥落。代わりに昇格の高松が相変わらずの宇宙人的とらえようのなさの中にも光るものを見せており、これはこれで楽しみなのだが、「和製浅村」という謎のキャッチフレーズが存外にもはまるかと思われた石垣は、昨季の2軍無双となる以前の外スラくるりんぱ状態に逆戻りしてしまったようだ。

スタッフ陣の評によれば、石垣は意外にも真面目に考え込みすぎるタイプらしく、個人的には、いわば「右の森野」というような、どこでも守れてパンチがあって読み過ぎずに来た球に反応して振り切ることができるという方向に育ってほしかったのだが、どうやら福田2世襲名と思われるほどの悩みの深さが垣間見える。自主トレ明けは浅村の下で思い切り良く振り切るための何かを掴んだ感じがプンプンとしていたのだが、沖縄キャンプに入っての立浪臨時コーチの指導が仇となったか。ヒントを与えるのではなく、型にはめようとする指導の様子をみてハラハラしていたのだが、ここにきて心配が現実のものとなったようだ。

立浪がつきっきりで指導した京田もここまで6タコといいところがない。昨年後半にはバットを寝かせて新境地を開いたように見えたのだが、キャンプ終盤のこの時期に、打席毎にバットを立てたり寝かせたりと試行している様子が見える。それがゆえにまだ根尾にもチャンスが残っているのだが、できることならより高いレベルでのレギュラー争いを見たいものである。

そもそも秋に試しておくべきことを、春のキャンプに入ってからあれこれ指示されれば、迷いも生じるというものであろう。昨季の反省→秋の試行→正月明けの自主トレでの反復修練→春キャンプでの微調整で仕上げ、というサイクルの中で球団は立浪にどのような役割を求めたのだろう。次期監督の顔見世興行としてはなかなか罪深い沖縄ツアーとなってはいないだろうか。権藤が紙面で苦言を呈するのも当然である。

幸いにも臨時コーチ業はすでに終了し、背中で目を光らせる存在もいなくなった。引き出しから出してもらったもののうち、取り入れるべきものは取り入れればよいが、皆、個人事業主である。己という軸をもって聞き流すということができないと、近時ではドアスイングを酷評されるあまり迷走した堂上直倫、歴史を辿れば、かの教え魔山内一弘をもってして大成させられなかった藤王康晴の、二の轍、三の轍を踏む選手が続出しかねない。

残りわずかな調整期間でなんとか復調を果たしてほしいところだ。