酒精雑記

飲む日も飲まない日も

シーズンの1/4

ドーム続きということもあり、中日は昨日で丁度30試合を順調に消化し、ハイピッチで7つの借金を重ね、最下位に沈んでいる。ダントツの最下位でないことがむしろ不思議なほどの惨状は目を覆うばかりである。

シーズン前は、捕手以外の野手レギュラーは固定できそうだと思ったのもつかのま、平田・周平・アルモンテの離脱で目算は大きく狂った。大島・阿部の不調の時期が長かったこともあり(福田はまあこんなところだろう)、打線は日替わりネコの目となり、「代打三ツ間」事件以前からチーム状態は迷走の一途を辿っている。

ゴロ江戸を返上したビシエドの鬼神の如き大活躍と新星アリマルの輝き、地味なところでは守備に加えて下位打線での役割を全うする京田とキノタク、そして三振の山を築いたもののそろそろ1軍投手の球のキレにも目が慣れてきた石川昂弥というそれなりの見所はあるものの、これらが先発総崩れの中で勝利とさしてつながっていないところが何とも歯がゆいところである。

先発投手陣では、最も調子の良かった柳が離脱し、飛躍を想定していた山本拓も壁にあたってしまった。梅津は多分それなりにシーズンを駆け抜けるであろうが、吉見の劇的な復活もなく、イニングだけは喰っているもののエース大野もローテ5巡に至っても無勝利とくすぶったままである。むしろ想定外であった松葉・岡野の地味な踏ん張りがなければ、さらに借金は2つほど増えていたはずで、完全に借金地獄の釜の蓋が開ききっていないのはこの両名のおかげと、首脳陣は心から感謝すべきであろう。

リリーバーでは、実力どおりライマルを抑えとし、祖父江を勝ちパターンに位置づけるという踏ん切りを開幕時点で付けておかなかった代償は、相応に大きいものとなってしまった。

本格的に迷走を開始した後の与田采配への疑問符はあまたあれど、やはり根本はこのリリーバー問題を事前に解決できなかったという準備不足と、2番平田が機能しなかった際に、打順を下げて調整の機会を与えぬまま引っ張った上で突如先発から外し、あげくに代走起用するといった、チームの柱のプライドにみじんも配慮が感じられない扱いをしてしまったところが、タガの外れたチーム状態をもたらしたように思えてならない。

とは言え、既に起きてしまったことを嘆いても仕方はあるまい。今季の勝負を投げずにチームの浮上をめざしつつ、来年以降の中長期の立て直しをはかる方策を考える必要がある。

鍵になるのはアリマルの扱いである。今季は育成の年になるとすれば、石川昂・石垣・岡林・根尾・髙松に50-100打席程度は与えておきたいところだ。石川昂のように、上でアジャストするまで最低でも20打席くらいは目をつぶり続ける必要があることからすれば、これを補う意味でもアリマルの火力を先発で使い続けるしかなく、今季の残り試合で加藤の先発起用を試みる余地は残っていないはずだ。幸か不幸か次世代の捕手となるべき郡司・石橋はいましばらく2軍で学ぶことがあるはずで、これが終わるまでの今年から来年にかけての1軍はアリマルを正捕手とし、これを木下がフォローしつつ、将来の柱としての郡司ないしは石橋の台頭をしばし待つという形で、捕手陣のヒエラルキーを固めて出場機会を合理的に割り振るしかなかろう。昨日のアリマルを外しての加藤の先発起用は、この部分の腹を固めてきれていないことを露呈したと言わざるをえず、大変に残念だ。

また、岡林や石垣の扱いに代表されるように、上に挙げたのに様子見で冷ましてから起用して停滞する、というまどろっこしさも相変わらずである。今季はこれから何度も下から新星を起用することになるはずで、チーム内でベテランも含めた競争心を健全に煽る意味でも、若手野手を1軍に上げたら下位で構わないのですぐにも1カード先発させてみるという流れをきちんと作ることが必要だ。

投手陣については、上位ルーキーをリリーフとして決めつける悪弊を脱するためにも、せめて橋本は(コントロールがアバウトではあるものの)3巡ほどは先発で起用してみるくらいの柔軟さがないと、立て直しは容易ではあるまい。

風前の灯火となった東京五輪以上に与田政権3年目の現実味が乏しくなってきているところではあるが、かの山田久志監督のように、暗黒を断ち切って2020年代の黄金期の礎を築いたのは与田監督であったと後世から評価されるための布石は、是非打ち続けてもらいたいところだ。