不思議の勝ちか必然か
オープン戦の出来からすれば、冒頭から炎上した勝野がそれでも何とか1回を投げきって戻ってきたこと自体が収穫ではあるものの、その時点で今日は負けの日、どれだけ打たれようと勝野にある程度投げさせた後に藤嶋ロングリリーフで第3戦に備えるべしと考えたことを、すぐさま恥じることになった。開幕前に謎の頭部負傷でケチのついた井納の乱調に救われた不思議の勝ちではあったが、打線の繋がりとリリーフ陣の仕上がりの良さがもたらした必然の白星でもあった。
2回以降の4奪三振は勝野の持ち味を発揮した結果であり、何とか5回までと思ったが、無駄な四球で降板となったのは残念であった。降ろした与田監督が勝野の背中を叩きながら掛けた声はどのようなものであったのだろう。汚名返上の機会がもう1度あるなら、一度死んだ身、開き直って胸のすくような快投を見せて欲しい。
投手代わりばなの甘い初球を打ち損じずに振り抜いて、同期入団勝野を救った根尾の勝ち越し打には、大不振の中でも自分を鼓舞できるメンタルの強さが反映されていた。初のヒロインではファン目線を意識した丁寧なコメントに終始したが、このところ不調だったので、とか、この一打でなんとかこれまでの分を取り戻したかった、とか、そんな発言が全くみられなかったのは、後を向かずに攻めの気持ちを前に出すことを強く意識してのことであろう。実績はついてきていないが、それでも世代の先頭を走り続けるという気概を持ち続ける図々しさがあるうちは大丈夫だ。今日の展開で2本目が出ないところに彼の苦悩があるはずで、まだまだ今後も一線級の好調投手には手が出ない場面が続くであろうが、首脳陣が辛抱の甲斐があると思える程度にはギリギリのところで踏みとどまった。今日もまた勝負の日が続く。
開幕をあえて外して週頭の火曜に完投型の大エースを配置したのは、週の前半ではリリーフ陣を極力温存したいという狙いがあったはずだが、今週はその目論見が外れた上、その翌日にはブルペン大総力戦となってしまった。回跨ぎもこなしたヒロシの新境地には目をみはるものがあり、3年ぶりの勝利を挙げてのヒロインでは、明日も準備を怠らないと宣言したものの、まだシーズンは序盤である。現実的には今日のヒロシは休養日であろう。今週後半に今季の目玉チームである阪神戦を控えていることもあり、今日も投手のやりくりはなかなか厳しそうだ。
巨人打線の好調ぶりからすると、松葉が試合を壊さずに3巡目あたりまで抑えてくれれば上出来で、後は橋本・岡田できっちり2イニングもたせることが必須となる。今から胃が痛くなりそうだが、相手もローテの谷間である。左腕高橋優の成績をみる限り制球に難があるはずで、早打ちせずに粘ることができるかどうかがカギになるはず。
開幕2カードを五分で切り抜けることが確定しているのは幸いだが、優勝を目指すからにはここで1つ上乗せできるチームでなくてはならぬ。昨日のゲームからもチームとしての成熟が実感されたので、今日の一戦でもしぶとさとしたたかさをみせてほしい。