酒精雑記

飲む日も飲まない日も

勝負勘

久しぶりに初回から最終回まで中日の試合をTV観戦した。

試合開始早々、箱庭神宮ならではの肝の冷える2飛球をくらうも初回を三凡で乗り切った勝野は、課題の立ち上がりを何とか克服し、以後不安定ながらも6回まで無失点。それほど球が切れていないのに無安打というおまけがついたのは、正直「負のフラグ」としか思えなかった。そして案の定初安打を許した直後に代打川端による数年ぶりのHRで2点を失う結果となった。記録が途絶えた潮目で谷元という切り札を切って打たれたなら諦めもつくというところである。ここが今日の勝負の最初の勘所であった。

直後の代打福田のソロで望外の反撃の狼煙があがった後、フリースインガーと聞いていたシン加藤が内角低めを完全に見切って華麗に出塁し(ちなみに今日の加藤翔平はバントも素晴らしかった)、3番周平のライト前で1・3塁となった。ここで代走は出てこず周平が塁上に留まった。高松を使って早いカウントから2盗を決めるという手はなかったのだろうか。走らせないとしても、2盗が気になる状況であれば、その後のビシエドのライナーにショートの手が届かなかった可能性は高い。ここが勝負所2つ目でのボタンの掛け違いとなった。

そして1点差で迎えた最終回。下位打線に回る9回に足で1点をもぎ取るために高松を温存したのなら、回の頭の井領のところで選球眼の鬼である福留を投入し、フォアボールで出塁したら代走高松が盗塁を仕掛け、桂・代打溝脇・大島という流れで攻勢をかけて最低同点まで持ち込むというのがセオリーであろう。2アウトをとって調子を上げたマクガフにとって代打福留はさして怖くなかったはず。ここが3つ目の掛け違い。

福留を頭から投入できなかったのは、山下降格により捕手2人制となったことで、山下も使えなければ今のチームで3番目に良い打者であるキノタクも使えないという、福田・福留に次ぐ3枚目の代打長距離砲不在の影響が大きかったように思う。経験を積ませるために根尾を帯同させつづけるなら8回・9回のどこかで使うべきだが、使える状態にないことは明らかだ。ファームで選球眼に新境地を示している伊藤康祐と入れ替えていれば、井領のところで福留を温存しながらシン・コウスケを投入し、一皮剥けた粘っこい打席を見られたのではないかと思うと残念。用兵準備という点で実は試合開始前の時点から1つ余分な掛け違いがあったのではないか。

狭い神宮で両投手がピリッとしないなりにロースコアで進行するという目の離せない展開であったがゆえに、こうした勝負の勘所のアヤを感じるゲームとなった。それはそれで見応えがあったが、最後を勝ちという結果で締められなかったのは何ともなあという気分が残った。

このところ野手の起用では与田監督の打つ手が当たりまくっていただけに、今日の中日ベンチの采配の淡白さが何とも目立つ1日であった。

ビシエドの調子が下がり気味となるととたんに元気がなくなるのが今の中日である。前半戦の残り約20試合を何とか乗り切るためにも、ファームも含めて好調の選手を上手にやりくりするという柔軟さを見せて欲しい。