酒精雑記

飲む日も飲まない日も

11月のふりかえり

奥川と宮城の投げ合いとなる第7戦を見たかったが、前年最下位対決の日本シリーズは1つも壊れた試合がないまま6戦でヤクルトに軍配が上がった。山本に大野雄を、奥川と宮城には高橋宏を、村上と吉田には石川昂を、紅林・太田には根尾を、そしてつば九郎にはドアラを重ねて、来年の中日の飛躍を夢想しつつ中継を眺める日々であった。

秋のキャンプでは、やはり新監督の教え魔ぶりにいささかの不安を感じたが、春の臨時コーチの姿と比べると、春キャンプに向けた課題の提示という位置づけが明確なので、今年の二の舞のようなことはなさそうだ。根尾を戦力にするならまず肩からということで、来年の外野専念を言い渡したのも、割り切りの良さという点では合理的である。伊藤・岡林よりは外野手らしい長打を期待できると首脳陣が考えるだけの成長がこのキャンプで認められたのだろうと思うことにする。

11月より、思うところあって、公共交通機関でアプローチできる近隣の低山への半日トレッキングを開始した。軽登山靴だけは大手本格登山系ストアで新調し、その他諸々については100均やワークマンのアウトドアグッズの充実振りに目を見張りながら、日帰りならそこそこの山にも行けるくらいの装備と、固形燃料でラーメンが食べられるくらいのお楽しみグッズをぼちぼちと揃えてみた。燃料1個ではなかなかメスティンの湯が沸かないのでポケットストーブ2個横並び方式にしたら、風防が適当でもボコボコに沸き上がることも発見。昼過ぎには戻ってきて餃子とビールで消費カロリーをすっかり穴埋めをするというのも、大人ならではの台無し感があって何とも良い感じだ。1ヶ月で単独行2回、相方つれて2回の計4山。昼から仕事があっても早朝から動けば午前中にひと山こなせることもわかったので、しばらくは高低差400-500m程度、水平距離で10数キロくらいのコースを、1つ1つ回っていく予定。

読書はほとんど手につかず、小川洋子の初長編である「シュガータイム」を1冊読み通しただけに終わる。手練れの小説家のまだ青々としたころの作品だが、「猫を抱いて象と泳ぐ」のリトル・アリョーヒンをはじめとするこれ以後の作品に出てくるモチーフの原石がごろごろと落ちているようで、そんなことを考えながら読み進めるのは楽しい体験だった。

観た映画はこんな感じ。

「1917」

(疑似)ワンカット映画の縛りが後半になるとだんだん鼻についてしまうのだが、冒頭の塹壕の拡がりを示すにはこうした手法が一番であり、そこは素直に凄いと思えた。

ワイルドバンチ

えーと、どっちがどっちなんだっけというところが後半まで頭に入らず、何とも話の筋を追いにくいのだが、伝説的映画と言われている理由はよく分かった。ベトナム戦争厭戦期の映画であるという当時の位置づけを知ると、男臭さをテーマにしているよう見えるのは全くのカムフラージュであり、むしろそれを冷笑しているのではなかろうか。一貫した女の扱いの粗雑さはおそらく意図したものであって、時代による人権感覚の違いではなかろう。

イノセンス」「攻殻機動隊新劇場版

前者(アニメの方)はさておき、明らかに後者とは相性が悪かった。うむ。

クレアのカメラ

相変わらず語学のスキットのような場面の連続だが、カンヌの韓国人が英語でフランス人としゃべるというシチュエーションではそれなりにハマっているかも。例によって放り出したような結末だが、短編なのでこれはこれでありかなと。

酒量は山帰りにちょっと飲む量が増えたが、今日明日飲まなければ今月の休肝日は12日とまあ平均的なところに収まっている。

さて12月はどうなるやら。

 

秋季キャンプはじまる

CSの盛り上がりを横目に、中日は新体制で来季に向けたキャンプに入った。キャンプイン後すぐさま初見の若手打者の打撃フォームをいじり始めている監督・コーチ陣の動向については、今春の臨時コーチ殿の残した実績を考えても正直なところあまり関心しないのだが、春でなく秋ならそれもありなのかもしれないと考えることとする。石川は傷も癒えて元気な様子であるし、根尾も中村紀コーチの指摘で何か掴んだものがありそうで何よりだ。

新体制で心から評価できるのは、岡林・伊藤そして周平に2塁の守備を練習させ、アリマルには左翼を守らせているという点だ。ようやく守備位置毎に期待されるOPSを意識した用兵が開始されるということなのであろう。

単打ならいくらでも打てそうな岡林と、四球選びに新境地を見出した康祐であるが、いずれも外野で使うにはいまひとつ火力不足であり、大卒外野手3人を獲得した今、彼らを内野で起用する可能性を探るのは極めて合理的である。

こうなると、阿部・溝脇・三ツ俣・石垣も心穏やかではないはず。これで春にブラ健・鵜飼・福元が合流すれば、内外野は1軍2軍とも若手で激しい競争となることは必定である。

昨日のローカル番組では、ろくに練習もしていないバスケを軽々こなすブラ健の様子が報じられており、その身体能力の高さを垣間見ることができた。ジャンプ力もすさまじい。バッティングフォームにはまだまだ粗さが目立つが、恵まれたバネと運動神経で、センターの守備程度なら多分早々に軽々とこなすんじゃないだろうか。

伸び盛りの若手選手同士が切磋琢磨する姿はこの10年とんと見られなかっただけに、来季がとても楽しみとなってきた。

 

このところのふりかえり

9月10月と予期せぬ雑事の諸々に追われ続け、ふりかえれば夏の終わりから11月に直接飛び込むような感覚である。とはいえ今週でようやく一区切りついたので、この間の回顧メモを書く気分に。

休肝日は9月が13日、10月は14日(まだ終わっていないが今日明日は飲むことが確定しているので)と、コロナ自粛緩みの影響はまだ顕在化していないが、そろそろ時間の問題であろうか。ちなみに10月は外飲みが3回に達した。

この間の多忙さでほとんど本を手に取る気分にもなれず、読了に至ったのは『短編学校』『左上の海』の2冊に留まった。

前者は文庫アンソロジーの焼き直し版で、短編のお手本といえる作品が目白押しかと思いきや、作家の力量ってこんなにもちがうのね、ということがはっきりわかる一冊となってしまっていた。とりわけ吉田修一井上荒野はやはり凄いのだなあとあらためて感じてしまう。読んだことのなかった作家では今野緒雪のSFが掘り出しものであった。

後者は村上春樹の雑文集からの流れで手にとった安西水丸の短編集。実のところ足を踏み入れたことはほとんどないのだけれど、80年代の青山界隈の空気感を懐かしむという疑似体験ができた。気取った時代に対するほんのりとした恥ずかしさを感じたりすることもできるという、なんともアンニュイな一冊。

本に手が伸びない分、映画はそこそこ自宅で鑑賞した。

『走れ、絶望に追いつかれない速さで』

松本穂香主演の『わたしは光をにぎっている』が良かったので中川龍太郎監督の作をもう1本観てみた。ドーナツの穴のような意味での物語の中心を担う役を演じた小林竜樹が実に良い。染み出す色気が凄いのだが、他の作品などにはあまり起用されていないのが不思議である。仲野太賀も引き続き良い感じだ。

『それから』

初のホン・サンス作品。自分の不倫相手を不倫を間違われる役にはめ込んで、社長と妻を実の夫婦に演じさせる監督っていったい。

『エクストリーム・ジョブ』

張り込み用の偽装店舗が繁盛しちゃうというアイデア一本勝負の映画だが、シンプルに楽しい。翌日に唐揚げを食べてしまったのはご愛敬。

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』

松本穂香出演作をもう1本観てみようかと思ったが、これは何ともはやであった。1人2役はきちんとはまっていたが、意図したグダグダもあそこまでだとさすがにキツいなと。

『正しい日、間違いの日』

ホン・サンスがいよいよおかしな人であることがよく分かる一作。いかんせん男に何の魅力もないので、「間違いの日」にキム・ミニと上手く行く流れに説得力がなくてダメだった。なのに、最後まで観てしまうのはなぜ?

『007カジノロワイヤル』

新作に行き着くためにダニエル・クレイグ1作目から見始めた。本歌取りなので本歌を復習しないと本当の意味では楽しめないのかも。冒頭のアクションが一番面白いというのは成功なのかどうか。ホールデンポーカーのシーンは大胆な長さだが、そこは悪くない。

『007慰めの報酬

思ったより短かくて拍子抜けしたが、やはり冒頭のアクションシークエンスが一番面白い。何故ホテルに多量の可燃物が保管されているのだろう?という疑問を持ったら負け。考えるな、感じるのだ。

『007スカイフォール

上2作を観ないまま1度観たことがある本作。筋はすっかり忘れていて、シリーズ順に観た方が楽しめるのかと思ったが、特に続き物的要素は含まれていなかったことを知る。ガジェット要素を多めに盛り込んだり、話の筋がわかりやすくなっていたり、アクションシーンのカット割りも細かすぎないように配慮されていたりと、前2作の反省点?への修正が感じられるが、やはり冒頭のアクションが一番優れているという点は変わっていなかった。上海のクラゲ画像を背景にした挌闘のあたりまではよかったのだが。

 

シーズン終了

今期は最後の最後までヤクルトをアシストし続ける結果となったが、最終戦を快勝で締めたのは悪いことではない。シーズン中盤では援護に恵まれない試合が続いた小笠原も星勘定は負け越しながら規定投球回に到達した。今日も髙松と岡林が安打を放ち、最後は根尾が連続で遊ゴロを捌いてシーズンが終わった。来季は自軍の優勝を決めるシーンで登場してほしいものだ。

さて、来季の展望である。

怪我の間に一回りでかくなった石川昂はフェニックスで快打を放っており、いよいよ来季は主軸としての活躍が期待される。周平を押しのけてサードにどっしり座る姿を見たいものだ。

ファーストビシエドは流出の危機が叫ばれているが、名古屋に馴染んだ家族を置いて福岡に単身赴任する姿はちょっと想像がつかないところではある。ただし釣り上げで大幅な年俸アップが必要になるようなら、球団の経営戦略としては流出もやむなしという姿勢に転ずる可能性はある。アベレージ型の4番ファーストが聖域化することは必ずしもプラスばかりではないだろうが、他に大砲が不在の今抜けられるのは、想像するだに恐ろしい事態であり、なんとか上手に引き留めてもらいたい。

セカンドは来季もレギュラーを固定しにくいポジションになりそうだ。このところは髙松が一番手となりつつあるが、謎のコンタクト能力にさらに磨きが掛かるとしても、ここぞの代走で使いたいということを考えると、打撃型セカンドとして来年こそ石垣に割り込んでもらいたい。今季初ヒットがバンテリンドームの壁に阻まれてHRにならなかったり、前進守備のところにギリギリ取れないフライが挙がってエラーになったりするところに、石垣の「持ってなさ」が目立つこのところの展開であった。阿部が脱落した今季は絶好のチャンスだったはずで、外野とはいえバットの振れる同年代が3人も増える来季は、根尾や髙松の内野起用が増えるはずであり、石垣はかなり厳しい立場に置かれるのではないか。このまま芽が出ないままとなるのは淋しいので、是非奮起してもらいたい。

遊撃京田は、1軍落ちをきっかけに何かをつかんだかと思われたが、10月の打撃成績は低調であった。守備は相変わらず素晴らしいのだが、根尾も一応遊撃をこなせることを証明しており、根尾がもう一皮剥けたら案外危ない立場にあるのかもしれない。ポカは多いものの土田も好守に才気を示しており、ドラフトではさらなる遊撃手も確保済みである。FAも近いことからすると、即戦力先発新人を補強しなかった中日球団が、ショートに穴を持つチームの2-3番手先発投手あたりとトレードを考慮していても不思議ではない。

捕手は木下がいよいよ正捕手としての地位を固めるシーズンになってほしい。石橋の台頭にも期待したいが、肩の調子がいまひとつなのだろうか。郡司は外野コンバートをし損ねたシーズンとなってしまったが、フェニックスでは驚異的な出塁率を叩きだしている。どこでもいいので先発ポジションを奪ってほしい。今季のドラフトで打撃型の外野が渋滞気味となってきたので、できることならセカンドを守ってもらえないだろうかなんて妄想している。

外野は岡林が大島を押しのけるくらいにならないと、チームの浮上はなさそうだ。右翼に岡林を置くことになりそうだが、できればもっと長打のある選手に守らせたいポジションである。ブライト・鵜飼のいずれかが開幕からレギュラーを奪取できればよいのだが、そうは簡単ではないだろう。レフトが新人、ライトが新外国人というはまり具合になることが理想だが、当面は頭の痛い状態が続きそうだ。

キャンプが始まればまた現実に引き戻されるだろうが、今は夢を語っても許されるだろう。来季開幕戦はこんな打線が組めることを期待したい。

岡林(8)・石川昂(5)・新外国人(9)・ビシエド(3)・鵜飼(7)・石垣(4)・木下(2)・根尾(6)・柳(1)

 

 

ドラフト後

ドラフト当日。何かと時間が逼迫した中ではあるものの結局2時間指名中継をネットで見続けてしまった。

希望としては「素直に大卒ナンバーワンの正木」指名路線であったが、大方の予想どおり1位はブライト健太であった。守備面も含めた評価なのだろうが、あらためて動画を観て、伸び代十分だが即戦力型ではなさそうで、今年の佐藤輝や牧が超例外的選手であることに照らしても、最低1-2年は我慢が必要であろう。

2巡目で正木が残っており、1位2位の順は狂ったがこれで両取りだと思ったところで、ネット上も騒然の鵜飼の2位指名。その後、打棒の神様王貞治率いるSBフロント陣が迷わず正木を指名した。2年前に石川昂弥を狙い撃ちしてきたSBの眼力からしても正木は高評価であったかと思うと、何とも無念の思いにかられることとなった。スイング力重視なら、ブライトと重なる右の大学生外野手ではなく、左の高校生外野手である前川を獲るべきだったのではないかとも思った。

しかし、その後気を取り直して鵜飼の打席の動画をいくつか眺めてみて、中日の選択は正しかったのだと思うようになった。独特のバットの引きでタイミングをとるという自分の打撃の型を持っており、指標から言われるところの怪力扇風機の印象はうけない。内角も肘をたたみながら上手にとらえて振り切っており、力任せに振っているわけではないところが好印象。つまっていても神宮ならレフトスタンドまで運んでしまうという技術とパワー。打席には落ち着きがありたたずまいがとても良い選手だ。コーチ陣が変にいじらなければ、ブラ健よりも多分先に出てくるのではないかと思う。バットの引きを欠点として指摘する向きもあるようだが、とにかくいじらないというSBにおけるギータ養成法に習い、壁にあたるまではこのままで振らせてほしいところだ。

その観点では立浪新体制における打撃コーチが誰になるのか、とても気になるところで、一部報道では森野就任が既定路線とされているようだが、もともと野村監督をして、森野の裏をかこうとしてはなららず表の攻めでよい、なぜなら表も裏もなく来た球を振るタイプだからだ、と評されたバッターである。天性の打棒はコーチとして教えられるものではないはずで、繊細な技術に基づくフルスイングが売りであった中村紀洋コーチの就任に強い期待を寄せたいと思う。

前川や田村が残っていた3巡目のサラマンダー石森の指名では、誰?と思ったが、元SB馬原の指導の下、速球左腕として急成長を遂げた投手ということで、又吉流出の危機に備えたよい選択であったことを理解した。指名直後のハートの強い発言を見ても、中日の風土に欠けていたものを持ち込んでくれるだろうと期待している。

4巡目。今度こそ前川か田村かと期待する中での高校生捕手味谷の指名にも驚いた。愛大安田捕手がまさかの2位で消えたことが大きく影響したようにも思えるが、捕手陣の打棒を持て余す中日では、郡司らのコンバートを視野に入れる必要があるため、捕手は2軍試合成立要員的位置づけも含めた補強ポイントである。体も大きいので、楽しみな選手だ。

5巡目は高校生内野手星野。藤井に代わる豊橋の星となるか。土田を1軍で使う目途が早々に立ちつつある今、2軍で起用する若手遊撃手の補強も理にかなっていると思う。

6巡目はロマン砲福元。大商大出身の中日選手がなかなか大成しない傾向があるのが不安要素だが、この順位ならよしとしよう。同一世代の右の体格型外野手3人が重なった編成上の偏りは気になるが、いずれか1人は当たるだろうというくらいの気構えで見守ることする。高校で得た智弁ブランドが入団後に輝くことに期待したい。要するに若い石岡というポジションであるから、石岡は死ぬ気で成果を出さないと本当にヤバいことになるはず。起用方法が相変わらず気の毒だが、逆境に負けず、本当に頑張ってほしい。

・・・ということで、指名直後はあれこれもやもやしたものの、補強のポイントを考えた上の結論であったことは理解できた。あとは新体制が彼らを上手に使うことに期待をしたい。

ついでに書くならば、井端コーチが実現しそうにない空気なのがとても残念だ。本人はやる気がありそうなので、是非巨人とサムライで他球団事情にも通じる眼力を養った知恵者を入閣させてほしい。

 

 

ドラフト指名予想

監督人事の報もないままドラフトの朝を迎えた。

地元中日TV枠での立浪氏の扱いを見る限り、来期からの就任は確定路線と想定していたが、まさかの続投もあるのかと思わされたのは、立浪氏に対して、1軍出場登録されつづけてきた武田切りの理由をフロントの構想によるものかという質問が出たためである。準大本営たるCBCなら来季立浪構想が固まっていれば知っているはずであろうし、フロントが来季監督と協議せずに武田を切るはずもないから、当事者たる立浪氏にその質問を当てるはずがない。とすれば立浪氏就任の目は案外ないのだろうか、と思った次第。

昨夜の指名会議にも与田監督が参加したと報じられている。結局10/7に昇格させた石垣に2打席しか与えなかった采配と同様、意図が全く分からないのは何ともストレスフルである。

今春の立浪臨時打撃コーチは全くの愚策で、あれで皆が調子を崩したように思われてならず、立浪氏の就任を諸手を挙げて歓迎しているわけではないのだが、彼の威光で、井端(ヘッド)・吉見or浅尾or阿波野(投手)・和田(打撃)・谷繁(バッテリー)というような首脳陣が見られるなら、立浪政権でもよいかもと思っている。

ドラフト参加が確定した与田監督の続投というある種素直な路線だとすると、来季も野手の起用でもやもやを抱え続けることとなりそう。今のところ、球団としては、驚異のクジ運だけは最後に使い切って政権交代するという非情の選択をしたのだろうと思ってみることにした。うん。

さて、今日のドラフトである。この何年か、結果として中日ファンが1年で最もテンションを上げることができた日となっているので、中日のドラフト戦略について朝のうちに予想してみる。

外野の中堅以上をバッサリ斬ったことからすると、大卒打撃型外野手の上位指名は必須である。とすると、素直に行くなら、打撃型王道を歩んできた慶大正木の単独1位指名が正しい選択肢であろう。動画インタビューでの打撃理論についての語り口も理路整然としていて好感度大である。

 正木を1位で確実に獲った上で、セリーグ5位低迷のメリットを生かし、2位ではブライト両取りといくか、残った投手で行くのかがカギとなる。個人的にはブライトでもよいと思うが、1位2位を野手でいくと、3位指名までの長い折り返しの間に前川か田村の双方が消えている可能性があるし、さすがに投手を3位までに1人も指名せずによいのかということになる。

ということで、希望は1位正木→2位残りの有望投手→3位前川→4位までの短い折り返しで残っていれば田村→5位か6位で愛大安田捕手と隠し球投手というような流れで、振れる打者がとれたらいいなあというのが私の願望である。

しかし投手豊作の今回、正木1位指名の方針なら、昨日の会議で公言して競合を避けるという手があったはず。それをしないというのは、小園クジに参加した上で、はずれたら外れ1位で競合しそうにないブライトを取りに行けばよいとか、なんなら小園を当てた上で2位でブライトもとれるんじゃないか、なんて余計なことを考えているのではないかと不安になる。

層の厚い球団ならこうしたギャンブルもアリだと思うが、結果として小園を外し、正木は残っておらず、まさかの外れ1位でのブライト競合(センターを守れる強打の成長株というのは案外他球団でも高評価されそうだ)で更にクジをはずし、残りの投手から1位指名をせざるをえなくなり、3位までの距離を考えて2位で鵜飼を指名するというような、最悪のパターンもありうるところが怖い。

ここはやはり奇策を講じることなく、多少守備に難があろうと、世代ナンバーワン打者の王道を歩んできた正木を1位指名して左翼の穴を埋め、3位以下でやはり世代ナンバーワンクラスの高卒左強打者をあわせて獲得し、その合間を社会人投手で上手に埋めるのが、今年の最良の選択だと思う。

個人的には、井端氏による頭一つ抜けたスイングだという評を信じて、1位正木2位前川でもよいと思っている。

・・・こんなことを考えてみたが、さてどうなるか。下がったテンションを何とかもちなおして、今夕の朗報を待つこととしたい。

7月から今日までのふりかえり

7月の休肝日は12日で、8月は13日。ビールの恋しい時期ではあるが、例月どおりの飲酒ペースを維持できた。まずまずの節制ぶりといえよう。

 

読書のペースは進んだり進まなかったりという感じの2ヶ月強であった。

村上春樹雑文集』

頼まれた挨拶とかJAZZ評とかのごたまぜの文庫。どんなことを考えて小説を書いてきたのか、これを読んで初めて理解できた。小説の役割を再確認できた好著。

風の歌を聴け

ということで、実家に置いてあったデビュー作を読み返してみた。最初の一作にすべてが包含されているというのは確かにそうかも。

『見るレッスン』

蓮實重彦御大の最初にして最後の新書ということらしい。これくらいわかりやすく解説してもらえると、浅い映画ファンである私でも栄養にできそうだ。

『新釈走れメロス他四編』

桜の森の満開の下」が良かった。といっても安吾を読んだことはないのだが。

『草にすわる』

ノーベル文学賞がもらえるかもしれないくらいのポジションまで上り詰めた作家の下世話な心情を書いた「砂の城」が面白かった。心の穴で型取りすれば同じような小説を量産することになるという趣旨の指摘(うろおぼえ)があったが、小説が生まれるプロセスについての大変辛辣にして秀逸な解説だと思った。

『月と雷』

社会のタガから外れた世界で育った男女の物語。社会常識を金科玉条とする人生は楽しくないが、かといってスナック菓子をごはんにして成長するというのもどうかと。美味しいものをきちんと食べることは大事であることを再確認。

『映画評論家への逆襲』

新聞書評に書かれてるほどには蓮實新書を意識した内容ではないが、語り手の何人かは、蓮實重彦?何それ喰った事ねえな、という感じであり、何とも清々しい。作り手の側から映画を考えるという視点を示す一冊。監督の前に脚本が先というのは、言われてみればたしかにそうだ。

『静かな雨』

映画を観た後に原作が読みたくなって取り寄せた一冊は、宮下奈都のデビュー作であった。最初からこんなのが書けるってすごい。

 

映画は8月に新しいプロジェクタを購入したので、ちゃんと映写して観ることができるようになった。液晶画面もお手軽でよいが、やっぱり映画はスクリーンが一番だ。

『めぐりあわせのお弁当』

インドというかムンバイの壮絶精緻なお弁当お届けシステムの下で、ありえないとされる誤配がきっかけとなって繰り広げられる、寡夫と人妻の真面目な恋愛模様。姿の見えない上の階のおばあちゃんからの料理指南も楽しい一作。

『さらば愛しきアウトロー

蓮實重彦推奨のデヴィッド・ロウリー監督の一作。年を重ねたロバート・レッドフォードにはビンテージな滋味があまり感じられないが、御大指摘のとおり、90分で映画は作れるということがよく分かる作品だった。

『旅の終わり世界のはじまり』

ウズベキスタンの街中を前田敦子が歩き回る映画。これも御大推奨作品ということで観てみたが、染谷将太演じるTVディレクターのクズっぷりがあまりにクズすぎて、ちょっと引いた。旅先における主人公の成長譚のはずだが、見知らぬ中央アジアの街であんなに出歩けるのはもともとタフな人なのだろう。ヤギのエピソードも今ひとつだが、山脈を望む峠における「愛の賛歌」独唱は悪くなかった。

華麗なるギャツビー

「ドライヴ」のシングルマザー役がはまったキャリー・マリガンが、なぜか本作では全然魅力的でなく、彼女への想いであの豪邸を建てるというところの説得力がいまひとつ。貴族的な顔立ちではないからか。もともとフィッツジェラルドの小説への思い入れがない日本人としては、うーんどうかなという感想しか残らなかった。戦前米国のバブル乱痴気騒ぎの実写化としては相当に秀逸。

『イエスタデイ』

エド・シーランって誰という私のような音楽に無知な人には先に予習することをお勧めする。リリー・ジェームズのさばけた感じがキュート。

ノマドランド』

フランシス・マクドーマンドのハードボイルドな車上生活を淡々と見守る映画。出てくる人はほぼみんな本物のノマドな方とか。亡くなった人のところはどうかフィクションであってほしい。

マンチェスター・バイ・ザ・シー

イギリスの話かと思っていたら車が右側通行で、ボストン近郊の港町の話であることを知る。設定が重たすぎるフィクションにはあざとさを感じてしまうのでちょっと苦手だが、人の傷は簡単には癒えない(けど希望がないわけでもない)という結末はよかった。アメリカンな甥っ子にいまひとつ惹かれないところが難点か。

『家へ帰ろう』

ナチスに家を追われたテーラーの少年が、人生終末期にアルゼンチンからポーランドの旧友を訪ねるロードムービー。旅先の老人が次々と妙齢の女性と仲良しになるという都合の良さに目をつぶってもよいと思える佳作であった。ときどきこうした作品に行き当たるのでアマプラもあなどれない。

『静かな雨』

あのチョロの息子がこんな立派な役者さんになったのねという関心で見始めた本作。こよみ役が西武源田の妻にして元乃木坂の人ということを見終えてから知った。リスボンのエピソードと付箋の話がリンクしていることに原作を読むまで気がつかなかったのは不覚。それなりに大きな要素となっている行助の家族の話をスパッと捨てた脚本がとても潔いものであることには、原作を読んでみて気がついた。

『君が世界のはじまり』

脚本家が「リンダリンダリンダ」や「もらとりあむタマ子」を書いた人ということで観てみた。女子高生役の3人がそれぞれに良い。

『わたしは光をにぎっている』

中川龍太郎監督による松本穂香主演作ということで、上記2作の流れで観てみた。葛飾区は立石界隈の風情がなんともいい味だが、こうした街が消えるのも防災の観点からはやむなしか。才能という武器が1つもない「魔女の宅急便」として製作されたと知り、なるほどと思う。エンディングのカネコアヤノの歌が何とも癖になる味わいで、ちょっと路線違いではあるが小島麻由美を思い出した。

 

さて最後に。

我が中日ドラゴンズの低迷振りは引き続き目を覆わんばかりだが、ようやくここにきて渡辺勝が2番に定着しそうなのはめでたいことだ。ただ彼も27歳。20歳前後の有望株では土田(とバイプレーヤー高松)の起用に留まっており、何とも淋しいところだ。2軍内野陣のやり繰りが回っていないために、石岡・石垣あたりを上で使えないのは全く本末転倒である。偏頗な編成に長年あぐらをかいてきたフロント陣に猛省をうながしたい。

残り30数試合。CSラインがおそらく67~68勝あたりとなりそうで、どう考えても思い切って若手育成に舵を切るべきだろうが、なんとも中途半端であるため、紙上観戦にも力が入らない日々が続く。頼むからなんとかしておくれ。

 

 

康祐・勝・石岡を使わなかった7月

随分と間があいてしまった。

石岡の支配下登録により、五輪中断前の9連戦で本来手をつけておくべき選手起用については、五輪後のリーグ戦再開の後からようやく順繰りに現実化したのだが、時すでに遅しか。

この間のおよそ20試合で借金は微増で踏みとどまっているとは言え、残り試合が確実に少なくなる中、3位ヤクルトとのゲーム差も縮まるどころか更に開いてしまった。この間にチームの上昇機運を掴むことができなければCS出場は夢のまた夢であることは、最初からわかっていたはずだ。

中断前までの戦術はほぼ従来どおり。エキシビションマッチに入って新戦力のテストに手を付けたが、相手もテストメンバーであり、1軍レベルで通用するかどうか本当の意味でテストできたとは言いがたい。

その中でも伊藤康祐と渡辺勝はしぶとく結果を残し、1軍合流を果たした。

まず康祐が先発出場を果たしたが、初戦に内容の伴わない三振を反復したためか、わずか2試合で見切られてしまった。2試合目は安打こそなかったが、初回の京田出塁後の犠打で電撃先制に見事に関与し、さあこれから馴染んでいくかと思われたが、その後にまともなチャンスはもらえていない。

1軍でもエース級である山口とメルセデスの球にいきなりついていくことは至難の業である。五輪中断前の9連戦で多少でも使ってもらっていれば、1軍レベルをイメージしながらエキシビションの期間を有効に使えたのではないか。

いずれにしても、8月14日から約2週間、打席を1つも与えないようでは、昇格させた意味もないし、当初2試合の7打席与えたこと自体も無駄となってしまう。

空いた2番の座に渡辺勝がかろうじてしがみついている。プロ入り初HRは、なんとバットグリップを少し余したままバンテリンドームライトスタンドにぶち込むという凄い当たりであった。

昨日の2安打もビシエド個人軍において効率よく4点を挙げるために不可欠の活躍だった。今日も0-2と追い込まれてからしぶとく四球を選んで持ち味を見せたようだ。なんとかこのまま定着してほしいと思う。

そして石岡である。日ハム中田の横取りに全く動かなかったことを見ても、この間他に補強のあてがあったようにも思えず、だったらさっさと再昇格させればよかったのにとの思いは尽きない。

00番を背負わせたらその日から1軍に帯同させるかと思ったが、なおも2軍で様子を見るというのも解せない話である。

若い選手には勢いをつけてやってナンボというところがあるはずだ。現体制はそのあたりの機微についてあまりに疎いのではないかしらん。

前半最後の9連戦で打てる手を打ったという姿を見たい

ビシエドの同点2ランでかろうじて6連敗は免れた昨夜の中日は、未だ連敗ストップには至らず、五輪休み前の9連戦を前にして77戦28勝38敗11分の借金10。3位ヤクルトには9.5ゲーム差を付けられてしまったが、14戦して2勝9敗3分と直上のライバルに7つの貯金を献上していては、CSなど夢のまた夢である。

助っ人の入国遅延や主力のコロナ隔離で苦しんだDeNAや広島と比べ、野手陣の大量離脱に至っていないにも関わらず、そしてライマルの五輪予選離脱もしのいだ防御率3.32という投手陣を擁しているにも関わらず、底辺2チームと2.5ゲームしか離れていないのは、ひとえにただひたすらビシエド頼みの打線が原因である。

ほぼ100日前の開幕直前に、1位広島・2位中日という並びを予想した自分の目の曇りようは恥ずかしいという他ない。中日の躍進があるとすると京田と根尾のいずれかが大飛躍することが最低条件であるとしたところは、逆の意味であたってしまっていて無念である。ファーム1ヶ月では特に得るところがなかったか、京田は再昇格後も以前とあまりかわりばえのしない成績で低空飛行を続けている。ファームでは53打数15安打でOPSは.686。四球は2個、出塁率も.309というパッとしない数字しか残していない。やはり今のウエスタンでOPS.700程度では1軍で通用しないという目安だけが残ったように思えてならない。

迷いの中でもがきつづける根尾は、昨日の打席ではバットを振り切ることに集中する方向に舵をきったかのように見えた。しかし、甘い球を狙うことができているのにこれをファーストスイングで捉えきれないところに彼の壁がある。ロッテ藤原のように下で早々に調整する方が彼の為であるが、五輪休暇までは帯同させ続けるのがフロントの指示なのだろうか。あまり不自然な人事が続くのはチームにも本人にも良くないので、そろそろ潮時と考えてほしい。

開幕前には、そろそろこの時期には1軍に上がってきて火を噴く打棒が見られる時期になると予想していた石川昂・岡林がそろって怪我で離脱しており、いよいよ上がり目がないチーム状態であるが、シーズン中に編成の不備を嘆いても始まらず、とにもかくにも持てる駒でチャレンジを繰り返すしかない。

昨夜2度のホームクロスプレーで郡司が派手に落球したゆえに守備能力を見切るわけではないが、キノタクがチームOPS2番手である以上、郡司のバットを生かすには一時的にでも外野コンバートを考えた方がよいと思う。これまで一度もその可能性を下で試していないというのは、首脳陣側の準備不足・知恵不足との批判を免れないであろう。高松のレフト守備でも目をつぶろうという度量があるのだから、数試合でもいいから郡司にも下で外野を守らせておくべきであった。

同様に目を見張る打力を示し続けている石橋は、これから主戦捕手へと育てていく以上、今暫くファームでお勉強が必要であり、無理にサードや外野で使うというプランを考えるべきではないと思う。しかし、このところ下で絶好調の渡辺勝は今使うべきである。昨年で解雇せず支配下に残した以上、下で実績を上げたら30打席くらいはまとめてチャンスを与える必要があるはず。

そしてこのブログでしつこく取り上げているが、伊藤康祐は今季一貫して高い出塁率を残している。一時期少し調子を下げていたものの、再びOPSを.800台まで上げてきた。153打数43安打36四球で出塁率は4割超えである。これだけ立派な成績を残しており、1軍の外野がスカスカという状態なのに使わないようでは、組織の活性化など期待すべくもない。後半戦に向けた光を感じたいファンのためにも今すぐ招集し、前半残りの9連戦で6先発出場&20打席くらいは与えてやってほしい。

難しいのは育成落ちとなった石岡の扱いである。残りの枠は1つ。山下に先を越されたところにはじけきれない石岡らしさが出てしまっているが、123打数42安打4HRで長打率.520、OPSは.902とまさに無双の活躍である。6月後半で打率を5分も上げており、まさに上げ潮の状態だ。外野守備経験も多少はあるのだから、背番号が二桁だったら左の長距離砲外野手としてまさに昇格1番手であった。巡り合わせの悪い選手であるが、それも含めての実力か。しかし打撃面ではほぼ死に体のチームである。この先1つ枠を余らせるだけで無策が続くなら、オリックスの杉本のような覚醒例だってあるのだから、えいやとひとおもいに支配下登録し、今年後半、最後の見切りの機会とするのも一策ではないか。

石垣は124打数32安打HR3に対して46三振。三振かHRかでよいタイプの打者と思うが、ファームでこれほど当たらないようでは昇格はおぼつかない。昨年後半の1軍飼い殺しが不憫であったが、とにもかくにも今年のウエスタンでのOPS.800。まずはこれを超えて「石垣を上げろ!」と言える状態までもっていってほしい。

完璧な選手ならファームにはいない。粗はあっても勢いがあるときに使わなければ伸びるものも伸びてこない。そして下で実績を残したのにチャンスを与えずオフになったら首を切るというのは全くの悪手である。使ってみた結果として使えなければ、来年の編成を考える上では先手を打ったと言えるはずだ。その割り切りに満ちた勇気ある起用が、崖っぷちの選手の信頼と死に物狂いの力を引き出す勘所でもある。

ラストチャンスの中でもがいて這い上がる男達の姿を、これからの9連戦で1つでも多く見てみたい。その選択肢は首脳陣の手の中にまだいくつも残っているはずだ。