酒精雑記

飲む日も飲まない日も

ドラフト会議を前に

ドラフト当日である。レギュラーシーズンでBクラスに沈み続けて来た中日のファンとしては、毎年一番アガる日を迎えた。ここ数年は期待のルーキーをクジも含めて引き当ててきたので、ドラフト後もそれなりの満足感が続いて幸せな気分に浸ることができた。

さて、今年である。個人的には、アリエルが退団したことと根尾が投手に転向したことを踏まえると、1位内藤・2位澤井というくらいの大胆な大砲狙いがあってもよいのではと考えていたが、多分球団は1位吉村で行くのだろうと想像していた。しかし昨夕に北谷読谷期待の新星仲地の一本釣りを狙う公言路線へと切り替えたというニュースが入り、大変におどろいた。実のところあまりマークしていなかった選手であり、地方大学リーグの比較的小柄な右腕でパワーピッチャー系でもないというところにも一抹の不安を感じるが、ここはスカウトの眼力を信じるしかなかろう。

仲地が競合するとは思えないので、焦点は2位指名に絞られた。3位の指名順まではかなり距離があるので、ここが勝負のしどころである。中日の補強ポイントからしても、絶対に大砲候補を指名すべきで、内藤・澤井のいずれかが多分残っているはずであるから、どちらかは必ず指名してほしい。

しかしあろうことか、なんと球団は(立浪監督は?)2位での内野手指名方針を明らかにしてしまった。2位で内藤・山田・村松らを狙えると思っていた球団が外れ1位に繰り上げてくる可能性が高まるはずで(阪神が浅野を指名し巨人がクジを外した場合には、多分内藤を持っていくであろう。阪神が外せば松尾のはずでまだ望みは出るかもしれない)、何とも愚策である。あからさまに戦略思考が欠けた対応をされてしまうと、シーズンでの采配計略力についても疑問符が付いてしまい、何とも心配になってしまう。

おそらく球団は私の希望とは異なり、2位でセカンド・ショートを守れそうな三拍子型内野手を指名するのであろう。某所では明大村松開人の特異な打撃スタッツ(大学通算155打数に対して8三振18四球)に注目する声が上がっている。小柄ながら腕っ節が強そうでもあるので、大砲型でないのならせめて村松を指名してほしいところだ。

これ以下の順位で世代ナンバーワンスラッガーに肩を並べるクラスの選手は残っていないはずであるが、2位が村松なら3位では残る大砲候補を必ず1人指名してほしい。そして折り返しの4位では肩の強い高校生捕手、5位6位7位では大社の左腕中継ぎ候補・恵体なロマン砲(村上弟は残っているとよいのだが)・守備型捕手(山下も退団しており2軍の試合成立要員は必須だ)というくらいの指名をして、ようやく2軍のメンツも揃うというところであろうか。

正直なところ今日はイヤな予感しかしないが、さてどうなることやら。

9月のふりかえり

9月の休肝日は14日。泊まりの出張があったりした関係で平日にもそこそこ飲む機会があったが、最終週に親族の予定手術があった(無事終了でなにより)ことで、万一にそなえて飲酒を控えたためこの日数となった。

読書は4冊。

松浦理英子の「最愛の子ども」は思春期少女らの瑞々しいイタさをピュアに書ききった不思議な小説であった。

三木那由他の「言葉の展望台」は久しぶりに小説以外の読書となったが、発言には話者による約束が伴うという話にはなるほどと感じた(正確に理解できていないかもしれないけれど)。丁寧な言葉を紡ぐ人がいるということを知るだけでも、この世は見捨てたもんじゃないと思うことができるので、良い書籍だなあと思う。

続いて三浦しをんの往復書簡小説である「ののはな通信」。性を超えて家族と恋愛の意味を考えるという点で「最愛の子ども」と重なりあう作品と感じた。

最後の1冊は「最愛の子ども」のプロトタイプが作中に出てくる松浦理英子の「裏ヴァージョン」。期せずしてこちらも「ののはな通信」と同じく往復書簡小説であった。名前をつかがたい不思議な関係性の女性2人の姿を、小説の作者と読者(実は大家と居候なのだが)のやりとりの形で少しずつ明らかにしていくという変わった小説であるが、とても引き込まれた。

映画は2本。

「先生、私の隣に座っていただけませんか」はブラックコメディ調の映画なのかと思っていたが、もっとホラー寄りの映画であった。黒木華の怖さと柄本佑の情けなさが絶妙にマッチしていて良かった。

アニメ「ジョゼと虎と魚たち」は原作未読・実写映画も未視聴で観た。常々病気や事故で涙を誘うのは安易な手法だと思っているが、本件は障害者の立場を知るとはどういうことかを示す必然性があるので、許されるケースに入るであろう。まっすぐ王道を行く物語の構成も清々しかった。

さて、中日は結局最下位でフィニッシュとなった。5位広島とは0.5ゲーム差まで詰まったが、最後の最後までCSの可能性を残したわりには、順位の上でもさして見せ場もないままであり、せめて巨人に冷や汗をかかせるくらいの嫌がらせはしてほしいところであったが、打線が爆発する気配もないチームではこのくらいが限界であったか。

個人成績では岡林がまさかのタイトル獲得となったのは朗報だが、HRゼロでの最多安打選手というのはおそらく過去に例がないのではないか。シーズン後半には印象に残る長打も増えたように感じられるので、来年はOPS..750超えを最低ラインとして目指してほしい。

ドラフトに向けた第一次戦力外通告では育成含め10名が退団となった。平田もあと数年は代打要員で囲い続けるのだろうと想像していたので、ちょっと驚いた。荒川道場最後の弟子である渡辺勝の自由契約は、ある種予想された結果ではあるが、個性ある選手が花を十分に咲かせないまま退場するのは何とも残念である。新天地が見つかるとよいのだが、守備走塁型の外野手は各チームそれなりに抱えているはずで、なかなか厳しい先行きが想像されるところである。

ソフバン松田獲りから早々に離脱を宣言せざるを得ない球団の財力からすれば、今年もFAでの戦力補強は見込めそうにない。ジャリエルが複数年契約に応じてくれそうなのは朗報だが、あとは松葉を引き留めることができればせいぜいというところであろうか。そうなると中日の補強はドラフト獲得選手とキューバの未知数の原石拾いの2点で尽き、あとは既存選手の戦力化が生命線ということになりそうだ。

今年のドラフトは目玉がないぶん、編成の知恵が問われることとなる。東芝吉村が即戦力投手として1位指名されるだろうと想像しているが、大砲型野手(できれば内野で左打ち)という補強ポイントよりも投手を優先したのに、このクジを外してしまうと、野手の選択肢もぐっとせばまってしまうので、なんともおそろしいところである。野手では、山田・澤井・内藤・イヒネのうち最低1人は獲得したいところだが、打力補強を優先して1位野手でいくべきか、即戦力投手を優先するのか、本当に難しいところだ。

終戦に先発した根尾は、先発としての調整がそれなりに出来つつあることを証明した。ものは考えようで、4年前のドラフトで根尾に期待した役割を岡林と土田に委ねることができたので、根尾を先発候補に回すことができたと捉えるならば、今年はすでに即戦力投手を指名できているようなものだ(フェニックスで投げすぎて怪我することだけは避けてほしいが)。となると、ここは思い切って、今年も大砲候補を1位指名するというのも手かもしれない。

昨年は正木より鵜飼を優先した選択に頭をかかえたが、この点ではスカウト陣の眼力にさして間違いはなかったことを鵜飼はすでに証明している(ブライトについては忘れることとして)。今年その眼力を再度発揮できるなら、来季開幕を楽しみにすることができるのだが、さてどうなるか。

 

 

 

2022シーズン総括

昨日のヤクルト戦は福が代打川端にタイムリーを打たれた時点でラジオ観戦を終了した。その裏にまさかの同点劇があって結果は引き分けとなったが、これで2022年の中日の戦績は負け越しとなることが確定した。

未だCS出場可能性は残るものの、勝率5割切りのチームが日本一を目指すことができるこの制度は欠陥が大きすぎる。借金を残したチームは出場できないという仕組みにして、壮行試合に切り替えるべきというのが私の持論であり、それゆえ今シーズンの中日は昨日で終戦ということになる。

今季の最大の収穫は、高橋宏斗の躍進と岡林・土田の台頭の2点。これほど目に見える成果を残したシーズンは久方振りではないか。

他方で絶対的課題である打力の点では、零封負け記録を更新中であり、改善どころか完全に底を割った感がある。もとより編成の歪みで生じたこの問題、短期的にどうなるというものではないのだが、石川昂・鵜飼がシーズン前半で輝きを見せたものの、両名とも怪我でファームに落ちると、全く回復力が見られない層の薄さが露呈した。バンドの極端なパークファクターの偏差を改善することが急務であるのに、立浪監督が熱望を表明した翌日にテラス設置を即座に否定するフロントにはあきれるしかないが、せめてナゴ球の延長フェンスだけでも取っ払うことをどうして決断できないものか。

さて、来期の展望である。ドラフトでは1位と2位で大砲候補(できれば左)と先発右腕を指名することが必要であるが、所詮は水物。現有戦力をどう使うかを考えると、大島問題をどうするかに行き着く。

今季の大島は打率3割超、OPSも.7超と中堅以上の選手の中では唯一といってよい成績をたたき出してはいる。しかしながら打点はこれまで僅か18。守備走塁面を加えれば、同タイプの岡林が上位互換選手となることが十分に期待できる。そうであるのに来季も大島をセンター・打順上位で処遇しつづけるのかどうか、ここが決断のしどころである。

これまで報じられてきた岡林をセカンドにコンバートする構想は、大島・岡林を同時併用しつつ外野でOPSの高い選手を起用する枠を1つ増やすという狙いによるものだが、岡林の高い外野守備力をみすみす放棄する上に、二塁手として十分な守備力と打力を兼ね備える阿部の居所をなくすので、まさに二重の悪手である。

来季のセンターラインを、石橋(木下)・阿部(石垣)・土田(溝脇)・岡林(大島)という形で整理し、サード石川昂(石垣)、ファーストビシエド(アリマル)、そして両翼はアリマル・鵜飼・レビーラ・福元・大島・木下・郡司の中から調子の上がっている2名を随時使っていくのが、現有戦力の有効活用策だと思う(括弧内が怪我・不調のときの控え1番手)。

打順の組み方も、およそHRを期待しがたい岡林・大島の2名を上位で起用するのではなく、もし併用するとしても岡林を1番、大島は7番あたりに置くべきであろう(土田は8番曲者枠固定がベストだ)。

主戦捕手を誰にするかも悩ましいところだが、リードの着想に難があることの否めない木下が来季突如として謀略策略の人になることは期待できないだろう。もっとも木下の打棒は貴重な戦力であり、木下をレフトで起用できる選択肢を増やす方が、岡林内野コンバートよりもよほど有益だと思う。

以上を踏まえた、来季のベストの打順のイメージは次のとおり。

岡林(8)・アリマル(7)・石川昂(5)・ビシエド(3)・阿部(4)・鵜飼(9)・石橋(2)・土田(6)

ビシエドの調子が上がらないときは、

岡林(8)・鵜飼(9)・石川昂(5)・アリマル(1)・阿部(4)・木下(7)・石橋(2)・土田(6)

というくらいの大胆な組み替えもできるようにしてほしい。

石川昂弥の復帰が来季半ばくらいになるようなら、

岡林(8)・鵜飼(9)・アリマル(7)・ビシエド(3)・阿部(4)・石橋(2)・石垣(5)・土田(6)

というような打線を見てみたい。この場合は石垣がもう一皮剥けることが絶対条件となる。外スラをスイングする悪弊は改善できなくてもよいので、狙った甘い球のミスショットを半分に減らすことができれば、随分と戦力として計算できるようになるはずである。

(なお、火力を重視するとどう組んでも右打者が続いてしまうところが本当に悩ましい。編成部はもう少し頭を使うべきだろう)

何年もほぼ孤軍貢献を続けて来た大島・ビシエドには酷かもしれないが、下り坂に入ったと言わざるを得ない彼らを不動のレギュラーとしていた間のチームの低迷ぶりを思うと、大鉈を振るうべき時期がもう来ているのではないだろうか。

 

7月・8月のふりかえり

中日に勢いがないとブログを書こうという気分はなんとも低調であり、多忙も重なったこともあって、2ヶ月まとめてふりかえりたい。

休肝日は7月が9日、8月は11日。レジャーも多かったがそれなりにインターバルをおいた節度ある生活だったと言えよう。

読書も低調で以下の3冊に留まる。

安部公房のエッセイ「笑う月」は、小説の方が好みかなということを知る一冊となった。先鋭・前衛であったからこそ時代を経て古びてしまったということなのかも。

東山彰良の「恋々」は初めて読む作家さんであったが楽しく読み切った。10代の末尾に誰しも経験する赤っ恥の記憶を抉ってくる勢いのある小説である。

「穴あきエフの初恋祭り」は先日まで新聞連載小説に挑戦していた多和田葉子の短編集である。連載は8月に何とも唐突な最終話を迎えてしまったが、日本語を音で捕らえ直して字義の異なる感じを当てはめてみて、という遊びの部分が面白かったので文庫を手に取ってみた。表題作はキエフ(現キーウ)の不思議な祭りを舞台とした一作で、かの地が今どうなっているのかを思うと胸がつまる。

観た映画は次の2本。いずれも自宅鑑賞。

伊藤沙莉が出ているということで選択した「ちょっと思い出しただけ」は、とても良かった。時系列で説明すれば何ということもない話ではあるのだが、遡りながら映像とセリフの端でじわじわと全体像が示されていくところがとても映画的で良い。何ということもない出来事のほんのりとした大切さが伝わってきた。期せずしてコロナ前後の世情の変化の記録映画ともなった本作は、時を経て見直す価値があると思う。

ジオラマボーイ・パノラマガール」は、岡崎京子の描いた80年代の東京を21世紀に移植した一作。ふわふわとした原作の雰囲気は良く再現されていたと思う。ハルコ役の山田杏奈も悪くないが、ケンイチ役の鈴木仁がとてもマッチしていてよかった。80年代ならマユミを演じたであろう大塚寧々がハルコの母さんというところに、時の流れを強く感じてしまった。こちらも期せずして、五輪を前にして浮かれた開発の続く東京湾岸部の一瞬を封じ込めた記録映画となっていた。

ドラゴンズは7月が10勝8敗、8月は11勝14敗。2ヶ月で1つの負け越しという、カタストロフもなければ連勝街道の喜びもないという経過を辿っている。鵜飼・石川昂という若き華を欠いた先発メンバーをみて、いよいよ気をそがれた時期もあったが、この2ヶ月の間に、立浪監督は暗黒の10年の間の中心選手をサブに回し、来年以降の骨となるはずの若手起用に軸足をシフトした(除く大島プロ)。

開幕から好調のライト岡林に続いてこの好機をもぎ取ったのは遊撃土田である。いずれも根尾をはめ込もうとしたポジションに、根尾よりもさらに若い選手が完全にフィットしたというのは何とも皮肉であるが、この2人が打席経験を重ねる度に若竹のごとく目に見えてにょきにょきと打棒の質を上げている様子を見ると、昨年180打席余りを与えた根尾の打撃に前年からの成長は認められたとしても、これを見切らざるをえなかった理由は、なんだかよく分かってしまうのである。厳しい言い方ではあるが、野手根尾は結果としてこの2人との競争に敗れたことは明らかであり、だからこそ未練を吹っ切ることができるはずである。

首脳陣は残り20数試合、根尾を投手として1軍に帯同させ続ける方針のようで、ウエスタンの試合数などが今ひとつであることからすると、1軍で一流打者との対戦を一巡させようという狙いもわからなくはないが、中継ぎ準備の負荷に野手の身体だった根尾が耐えられるのか、本当に心配である。ストレート&スライダー以外の球種を磨くためにも、早くファームに落として先発としての本格的な養成にじっくりと取り組んでもらいたいのだが・・・。

この他、石橋・石垣・レビーラが、好不調のある中、まとめて出場機会を与えられてきた。

石橋は打撃フォーム改造中のようだが、前の方がよかったんじゃないかというのが率直な感想である。木下以上に長打を期待できるポテンシャルを持つ男であるのになんだか心配だが、リード面では痛い思いを重ねる経験ができたことは絶対に来季に生きるはずである。

石垣は8月に2本のHRを放ったが、いかんせんバットが球に当たる感じが全然しないので、なかなか重症である。与田政権下なら数試合も出続けることは許されなかったであろうが、全体に短気な用兵が目立つ監督立浪にしては、石垣(とレビーラ)をよく辛抱していると思う。昨年と比べて2塁の守備は落ち着きが出てきているので、あとは考えすぎ気味の狙い球の絞り方をシンプルなものにして、迷いを無くすことができれば良いのだが、9月に入っても相手バッテリーの注文通りの三振を繰り返しており、こちらも岡林・土田のセンスと比較すると才能の問題なのかなあとつい感じてしまう。ツボにはまれば破壊力があることはわかっているので、今季の間に何とかヒントを掴んでほしい。

来季を見据えると、センターラインはかなり固まってきたので、鵜飼・石川昂の復活を待つばかりであるが、いずれも怪我が十分癒えていない現状を見ると、何とか福元・ブライトあたりにも残り試合で1軍経験を積ませておきたいところだ。コロナ感染明けの福元の調子はそれほど上がってきていないようなので、昇格の推薦を得るにはまだまだのようであるが、右の大砲のライバルが不在の間に何とか頭角を現してほしい。

今日という日にバンテリンドームに向かうということの意味について考えた

 

近所の知人の息子が野球チームに入ったので、今年は2回ほど河川敷で小学生の試合を相方と観戦した。ヘルメットぶかぶかの姿は悶絶しそうになるくらいかわいいのだ。これに刺激されたのか、珍しく相方よりプロ野球の観戦に行きたいという要請があり、本日これからバンテリンドームに赴くことになった。まあ外野席でビールを飲むことが相方の主目的のようではあるが。

生試合の観戦は、コロナ前のナゴヤ球場での2軍戦以来。あの日まだ打者であった根尾君のサヨナラ打で勝利に終わった記憶である。目の前のブルペンにいた投手コーチは門倉さん。振り返ればいろいろと貴重なものを見たのだなあと感慨しきりである。

昨日は日中県外へ出張だったので、帰路の新幹線ではスマホニュースなどを見ないようにし、帰宅後に地上波の録画で予習観戦したのだが、ヤクルト村上の破壊的な打棒を目の当たりにし、私は今日一体何を求めてドームへ向かうのだろうという無情の心境に陥った次第である。

本日の我が軍の先発は地元享栄出身の左腕上田君。毎回好投すれど無援護に泣いた彼が、息を抜けないヤクルト打線と対峙することとなった。援軍もなく死地に1人赴く若者を見送るような気分であるが、年齢とかけなはれた落ち着いた投げっぷりの彼が名を挙げるには丁度よい機会である。実は淡々と抑えてくれるのではないかとひっそりと期待していることを、あらかじめここに書いておく。

相手の先発は小澤怜史。ソフトバンクから移籍して今季初勝利を挙げた実質活躍1年目の選手ということで、全くイメージがわかないのだが、今季30投球回で奪三振率9.60、K/BB2.46のサイドスロー右腕ということで活きの良い投球が予想されるようだ。中日とは7月13日に敗戦処理で1回を投げているということで(記憶がない)、加藤翔に今季初HRを献上してくれているが、ほぼ初物である。初物であると2線級であってもめっぽう弱い中日軍が、どこまで上田を援護できるのだろう?

・・・さて、そろそろ出かけるとするか。答えは5時間後。

 

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上田に白星がつかなかったのは残念だったが、ナイスゲームでした。
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Let's noteに回帰

どうしても大きなデータを仕事でオフラインで持ち歩く必要があるという特殊な事情のため、デカいストレージが載るノートパソコンを10年来選び続けて来た。ある時期にThinkPadから乗り換え、3台続けてLet's noteを購入してきたが、パナソニックがぼったくり価格を設定するのに閉口し、一昨年暮れにSSDスロットを2つ内蔵するという唯一無二のノートパソコンであるLG gram に乗り換えた。これがなかなか使い勝手がよかったのだが、1年半が経過してキートップが外れるようになり、再三PC修理屋に持ち込んで取り付けてもらうということを繰り返すはめとなったため、泣く泣くLet's noteと復縁することにした。

とはいえ、Let's noteでSSDを山盛りにしようとするとカスタム価格はトータル50万円台に跳ね上がるため、今年1月発売の14インチマシンであるFV1の未開封中古品を17万円台で購入して、修理屋に持ち込んでSSDを換装増量することとした。

FV1もカスタムではSSDが2枚刺さるので、空きスロットがあるなら2TB×2枚と比較的価格もこなれたゾーンの部品が使えたのだが、実際に基盤を見てもらったらgramのような空きスロットはなく、ただぽっかりとSSDの形の空間が残されているだけであったため、元々1枚だけ入っていた512GBのSSDをウエスタンデジタルの4TB×1に替えてもらった。2TB×2と比べるとそれなりの散財ではあったが、メーカーカスタムと比べれば多分20万円程度は安くなったはずであり、大変に満足である。

抜いた512GBのSSD玄人志向のケースに入れて外付けドライブとした。外付けケースにSSDを入れるという作業をしたことはなかったが、ネット上の親切なブロガーさんの写真付きガイダンスがあったので大変たすかった。とはいえ、細かいものを見る作業に目がついてこないことを心の底から思い知らされた20分の作業時間であった。PC工作は若者の嗜みであることよと痛感することしきりである。

オフィスソフトやブラウザの移行はこの2日ほどでほぼ完了したので、あとは今週末に仕事の動きが少ない時間帯を使ってメールデータを含む仕事のファイルを移行すれば、めでたく乗り換え完了である。Gmailなら簡単だが、ローカルにデータを残したい派である私はどうしてもBecky2から足を洗うことができないままでいる。いつか困ったことになるだろうとは思うのだが、なかなか20世紀の旧弊から抜けられないものである。

6月のふりかえり

先日遅ればせながら5月を振り返ったばかりで、早7月に入ってしまった。

6月の休肝日は13日。月末は体温超えの酷暑が続いたが、それでも冷えたビールの誘惑に負けず、それなりに節制できた月となった。

読書は「1Q84」の文庫版3~6の4冊を読了。読みやすい本だがやっぱり何とも長かった。ミステリー的な要素の回収はだいたい打ち遣ったまま結末を迎えたが、このあたりは予想どおりなので特に不満はない。長編と思って読むからいろいろ言いたくなるのであり、いくつかの短編を複合したお話だと思って読めば良いのだと、読み終わってから気がついた。

親友の復讐を果たした高ぶりを女性警官と鎮めるアラサー女子の話。編集者にそそのかされて代筆に手を染めた小説家の話。NHK集金人の最期の話。異形の不良弁護士のなれの果てが尾行を失敗して孤児院を生き抜いた男に殺される話。海辺の病院の看護師3人が見舞いの男を宴会に誘う話。いずれも短編で読んだ方が絶対に面白そうだ。そんな意味でも、うーん何だかなあ・・・というのが正直な読後感であった。

映画は6月も全く観ず。週末の外出や外食が多かったせいか。そろそろ静かに週末の夜を映画三昧で締めくくるという日が恋しくなってきたが、日曜夜は相方と鎌倉殿を観るというルーチンが定着してしまい、なかなかそのチャンスに恵まれないのは残念。もちろん、それを口に出さないのが大人の流儀というものである。

中日は、この低迷期の何年かで比較しても最悪の状態が続いている。ヤクルトが超絶的独走状態となった裏返しで、CS出場ラインがいつになく低いところに来そうなのだが、中日がそれ以上にどんどんと後ずさりしており、もはやあきらめの境地である。交流戦後に当面叩いておくべき対象であった阪神に、6戦して貯金4の栄養を献上しているようでは、もはやどうにもならぬ。病み上がりの才木にも勝ち星を献上してしまったが、トミージョンで復活した男の涙の姿は、来年目にすることができるはずの梅津の晴れ舞台の予行演習だと思うことにした。

しかし何にせよ怪我人が多く、上がり目が全く見えてこない。もはや、選手の入れ替えで苦労人軍団が順に1軍お披露目の機会を得ているところだけが見所である。

1軍に何とか爪痕を残した石岡の退場はちょっと早い気もするが、長打が出る気配がないようでは、早晩こうならざるを得なかったか。凡退即ファーム落ちの恐怖はあれど、もう少しバットを強く振ってほしかったと思っているのは私だけではあるまい。「次」はあるのだろうか。あってほしいが、かなり厳しくなってしまったような気がしてならず、複雑な心境である。

年齢以外は石岡とほぼ同じ立ち位置の1年目福元は、2軍に復帰後まさに絶好調である。前回は全く出場機会がないまま下げられてしまったが、今回再昇格すればそれなりに打席をもらえるはずである。上げ潮の福元の打席を良いタイミングで観てみたいものだ。

伊藤康祐も久々の1軍で長打を放った。このところ霞みがちだったので、これも明るい話題ではある。もっとも同級生である鵜飼もファームで打ちまくっているので、少しでも隙を見せたらファーム落ちは必至である。きっちり爪痕を残して、チームに必要な男であることを証明してもらいたい。

ここまで書いて、石垣の存在が希薄になってきたことに、あらためて気がついた。山形凱旋を果たせず悔しい思いをしたはず。周平の調子は全く上がってこないのだから、チャンスは続いているはずだが、そこに割り込んでくる予感があんまりしないのはなぜだろう?

根尾は中継ぎで予想以上の出来映えではあるが、はやくファームできっちり調整しないと肩を壊しそうで、観ていて本当におっかない。これから10年金の卵を産みつづけるはずのガチョウの肉は絶対に食べてはならぬ。フロントは目先の客数にとらわれるべきではない。このあたりのチーム運営サイドのせこさ加減が、多くのファンの気持ちを削いでいることに、早く気がつくべきである。

そう、オフの福谷に言われるまでもなく、このチームのフロントにビジョンがないのだ(それはカネが本当にないからなんだろうけど)。今年が来年に繋がると思えるなら、零敗がどれだけ続こうが耐えられるメンタリティを私たちは持ち合わせている。そこを信頼されていないことが、ファンとして何より辛いのである。

さて、大野を欠いた今週は、月曜から悲壮感が漂っている。せめてローテの頭を務める小笠原だけは、無双の活躍を見せてくれることを心から願っている。南無三。

 

5月のふりかえり

5月末から先週あたりまでいろいろ時間に追われて振り返りが遅くなってしまったが、5月の休肝日は合計12日。GWで飲む機会が多かったわりには後半にまずまず節制したというところであろうか。

振り返って気がついたが、映画はなんと1本も観ず。なぜだろう?

読書は次のとおり。

古井由吉の随筆集である『東京物語考』は数ヶ月前から1章ずつちびちびと読み進めて5月で読了となった。古くから上京者の物語が小説の題材にされてきたことを知り、独特の語り口も含めて楽しむことができた。著者の作を読んだのは本作が初。

1Q84』の文庫本も5月から手にとり、月末までに2冊読み終えた。6月に入っても続きを読んでいるが、やはり村上御大の長編と私はあまり相性がよくないのかもしれない。高尚なラノベ的な面白さは感じているが、この主題でこの尺が必要なのだろうか?

『中野のおとうさん』は「円紫さんと私」完結後の日常の謎新シリーズなのだろうか。ビブリア古書堂的ジャンルを北村薫が博覧強記を背景に書いてみたという趣きの1冊だったが、なぜだろう、登場人物の造形に「私」さんのような魅力を感じることができなかった。

山歩きは山中の居酒屋を実質的なゴールとしたGWの里山ハイキング1回のみ。6月も週末を仕事などなどに喰われているうちに入梅に至った。明けまではこんな感じが続くのだろう。

さて、中日ドラゴンズの成績は、6月に入り交流戦最後のシリーズで6連敗と大コケし、借金8でのリーグ戦再開となった。DeNAはまだしも、まさか「予祝」で迷走した阪神に追いつかれるとは思わなかった。

もっともセの順位を見ると、ヤクルトが完全に独走態勢を固めた反面、広島が中日以上の交流戦沼にハマって完全に失速しており、巨人にも勢いは感じられない。昨日の大野の踏ん張りと阿部のいぶし銀の活躍で、再開幕に菅野を宛ててきた巨人に先勝できたこともあり、下位5チームのゲーム差は詰まったままとなっている。苦しい状況ではあるが、2012年以来のCS進出という現実的目標はまだまだ手の届くところにある。球宴までの31試合を何とか五分以上で凌いで、後半戦も勝負の興味を失わずにファンが伴走できるようにしてほしいところだ。

迷走気味にチーム事情にさらに混迷をもたらしているのが根尾の扱いである。なかなか出番に恵まれなかったが、たまの代打の打席などで見る限り、根尾の打撃は過去3年と比べてかなりよくなっていた(山崎武司も同じ感想のようだ)。投手転向を決める前に遊撃先発で5-10試合くらいは使ってみるということがあってもよかっただろうに、という思いは尽きない。

根尾が入団当初に自認していたとおり、プロで通用する彼の最大の武器は「肩」であることは過去3年で一層浮き彫りとなったのであるから、投手転向が選択肢となることは全く否定しない。しかし、そう決めたなら、1-2年後には先発で二桁勝てるような選手になって、さすがドラ1という結果を出してほしいのである。少々回り道はしたものの大卒でドラ1レベルの投手をとったのと同じ結果になったね、と笑って言えるようにしてほしいのである。

すなわち、投手にすると決めた以上、根尾に必要なことは、一旦ファームに移って徐々に長い回を投げられるよう数ヶ月以上をかけて調整し、今年の後半戦あるいは来年春からのローテの一角を目標とすることである。それなのに、根尾は今日も1軍に帯同したままであり、しかも野手登録のままだったりする。これはあまりに悪手である。営業面を考えたフロントの指示だったりするなら、本当に最悪だ。

遅ればせながら福留をファームに落とし、ビシエドも聖域とせず今日のようにベンチスタートもありうるという方針の修正が可能なのだから、根尾についても、早々に腹を決めて、きっちり先発投手としての育成を進めていただきたいところである。

なお、根尾の転向は土田龍空とっては千載一遇のチャンスである。ファームでの出番を大幅に奪われかねない危機は脱したのであるから、戦線に復帰したら今季の間に頭角をあらわして皆を安堵させてほしい。

 

交流戦を前にして

今日から交流戦。ここまで44試合を消化し、シーズンは3割まで進行したことになる。

中日は一時貯金3までため込んだが、コロナ禍で若き飛車角である石川・鵜飼を欠いたまま転落の一途を辿り、借金4まで落ち込んだ。丁度開幕2カード終えて暗澹たる気分となった時点と同じ立ち位置である。しばらく上位4チームによる混戦模様が続いていたが、中日が脱落し、セリーグはABのクラス分けがはっきりついてしまった。

同時期を振り返ってみると昨年は借金7、コロナ前の2019年が借金5と、もう少しだけ悪い成績だったがまあ似たり寄ったりである。とするとこの先もさらなる転落もありうるということか。

ビシエドも花火が上がったのは一瞬という感じで、大砲爆発の気配は感じられない。遊撃守備に周平がついたり、根尾が敗戦処理で投げてみたり、無安打福留を1軍に残し続けているのにラクな場面で使ってみるということもせず、結果を出した石岡がファームに逆戻りと、とにもかくにも狙いのわかりにくい起用も目立つようになった(とはいっても根尾の投手適正は早めに確認したかったのだろうし、あの球は今の彼の打撃よりも3倍くらい魅力的であることも確かだが)。

そんな中での打撃コーチの入れ替えである。元祖暴れん坊の中村ノリの指導は、なんでもかんでもいじりすぎで自分の形にはめるところが目立ったので、やむを得ないかなと思うところはある。ただ、チーム状態が悪いときであるからこそ、腹を据える必要があると思うのだが、なんで首脳陣までこう落ち着かないものか。

現監督の教え魔ぶりは往年の山内一弘監督に匹敵するなあと、昨年のキャンプゲストのときから感じざるをえず、正直なところ80年代半ばの弱小時代のよくない記憶を喚起させられてきた。この山内路線に短気の王様高木守道の系譜が重なっているとなると、もはや心配すぎて内臓が裏返りそうだ。井端との口論、権藤との離別、福田の2塁守備、黙れ素人が!等々、現役時代の職人肌な雰囲気からは想像もつかない強烈な伝説の数々を提供してくれた瞬間湯沸かし器路線を踏襲するようなことが万が一にもないことを、ただただ祈るばかりである。

DH込みで立浪監督が選びそうなオーダーを予想するならこんな感じであろうか。

大島8・岡林9・周平6・ビシエド3・アリエルDH・阿部4・鵜飼7・木下2・石川5

個人的には次のような組み方がベターではないかと考えている次第。

大島8・鵜飼7・アリエルDH・ビシエド3・阿部4・木下2・石川5・周平(根尾)6・岡林9

今日はDHなしだがアリエルを外したようだ。うーん、大丈夫か?

4月の振り返り

4月の酒量は月~木をほぼ律儀に素面で過ごしたので休肝日は合計14日。外食機会も徐々に増えてきたが、あくまで家人と週末に出かけることが主であり、仕事の仲間内での宴会解禁までは、まだハードルが高いようだ。

4月は映画は観ず。

読書は3月末から読み始めた『ベルリンは晴れているか』を読み終わるのに時間をとられて合計4冊に留まった。この深緑野分の話題作は精緻な舞台美術の上で演じられるドラマが面白そうで実はそうでもないという、なかなか評価に困る一作であった。旅をする必然性がよく分からないと、せっかく魅力的なバディが集まっても良質のロードムービーは成立しない。映画『ドライブ・マイ・カー』が画竜点睛を欠いたのもこの点であった。ユダヤ人をカリカチュアして映画に出演した男の戦中と戦後という、すばらしい着眼点のテーマを見つけたのだから、ミステリー仕立てにこだわらず、この悲喜劇を掘り下げた物語を読んでみたかった。直木賞選考における高村薫の評は誠に辛辣だが、本質を突いてしまっているのかも。

たまたま書店での巡り合わせで手にとった乙川優三郎の『ある日、失わずにすむもの』は、これをフィクションとして読めないご時世となっていることの寒々しさを噛みしめながら読み進めた。このテーマで小説が書かれていたことの凄みを感じざるを得ない。

映画のネタ本を読みたくなって手にしたのが、津村記久子の『君は永遠にそいつらより若い』。映画がとても丁寧に作られていることが、あらためてよく理解できた。主題は違うのだが、出てくる学生がいずれもそれぞれに真剣にこの世を生きているという点で、私の中では『青が散る』の平成版という位置づけとなった。

『壁の男』は初めて手に取った貫井徳郎の一作。自宅内の壁に始まるアール・ブリュットがコミュニティに受け入れられていくところは、実際の絵の魅力がビジュアルに出てこないとやはり説得力を欠いてしまう。実直な男の生き様に惹かれなくはないものの、そのストーリーに不慮の事故が2つと難病死が1つ出てきてしまうと、作者の手のひらの上で涙を流したくないというあまのじゃくが、私の心の中で騒ぎ出してしまうのであった。

中日は鵜飼・石川昂のアベック弾で一気に阪神3タテかと思いきや、柳が大山から同点弾を浴び、無双の成績の中であるが安定感はいまひとつであったジャリエルが内野ゴロで勝ち越しを許すという残念な展開で、GW最終戦を黒星で終えた。しかしこの時期に貯金1で上位戦線に留まっているというのは、監督首脳陣以外の補強を行わなかったチームとしては大変に立派なものだ。野手運用の柔軟性という点で、立浪采配はアリだと思えるので、応援していても楽しくてよい。先発陣では勝野の長期離脱があまりにイタいところではあるが、とにかく交流戦までは5割ちょい上のラインで何とか踏ん張ってもらいたい。