酒精雑記

飲む日も飲まない日も

書誌備忘

『脊梁山脈』読了

『脊梁山脈』を読み終えた。終戦・復員から昭和40年ころまでを舞台とした物語で、『ロゴスの市』などの続く作品群と比較すると、読後感としては少し散らかった印象を受けた。 人生に真摯に向き合うタイプであるはずの主人公によるヒロイン2名の扱いには、ど…

月の夜

『脊梁山脈』冒頭章を読み進む。 戦後モノであることは承知していたが、『卵をめぐる祖父の戦争』『マイケル・K』に続いて、またも戦時食糧難の話から始まる物語であった。 ただ、こちらは戦争が終わっていることもあり、厳しいながらも「月の夜」という風…

『「中東」の世界史』読了

『「中東」の世界史』を読了。 イラクの成り立ちがオスマン帝国中の3州(モスル・バグダード・バスラ)をまとめただけであるとか、『カサブランカ』が戦意高揚映画であったとか、ああそうだったのかという話がたくさんあった。毎章の冒頭で日本との関連性に…

南アから中東へ

昨日で『マイケル・K』を読了。 南ア内戦の背景が頭に入っていないので、いまひとつ中身を理解できないままなのかもしれない。巻末の解説で、マイケルがいわゆるカラードの階層の男性という設定であることが文中で明かされていることを知る。 消えたマイケ…

昆虫食

昨年末から積み残しになっていた『マイケル・K』を読み始め、第1部までを読了。 『卵をめぐる祖父の戦争』に続き、期せずして戦争下の飢餓のストーリーを読むことになった。描写としてはこちらの方がより哲学的で、収穫したカボチャを口にするシーンは食の…

飢餓と萌えと

ようやく『卵祖父』を読了。うっかり年を越してしまったが元旦午後のつれづれを利用して通読に至る。 レニングラード包囲戦のサイドストーリーとなる本作を飽食の年末年始に読むことにしたのはチョイスとして間違いだったなあと思う。もっとも、ストーリーは…

雄鶏オチ

ひきつづき『卵祖父』。 少年が老人と命をかけて屋上で守り続けた最後の一羽を手に入れたが、オスだから卵はうみませんというオチで、あえなくスープの具材に。これは予想どおり。さて色男とデカ鼻は無一文となったが、これからどのように卵を手に入れるのか…

肉と予感

月イチの運動日で体を動かすが、なまりきっているので、全身が痛い。ふう。 『卵祖父』をさらに読み進め、ストーリーが動き始めたなと思ったら、ある程度間接的描写であるとはいえ、いきなりのカニバリズム(!)にげんなり。 まあドイツに包囲されたレニン…

瞳の色を思い出せるか

引き続き『卵をめぐる祖父の戦争』をぽつぽつと読み続け、ニコライがコーリャと呼ばれることまでは何とか馴染みつつある。ストーリーはようやくデコボコバディを組んで大佐の娘の結婚式用の卵を探しに出るというところまで来た。 その道中の雑談で出てくる言…

ロシア人名

『文字渦』読了。多忙だったとはいえ、ずいぶん時間をかけてしまった。ヒットな章もいくつかあったが、著者との相性がどうやらよろしくないのかも。 いずれにせよ次の本ということで、しばらく寝かしてしまった『卵をめぐる祖父の戦争』を読み始める。扉裏の…

なつかしの戦法

引き続き『文字渦』。 「天書」も「誤字」に続き大笑いしそうになったが、小説としてはちょっと悪ふざけが過ぎる感も。ただ、もし悪のりに徹するなら、こんなのも欲しかった。 悶 聞問閶悶 聞問閶悶 閶問悶聞 問閶閃悶 凸 昨日の酒量 ヱビス350×1、あさ開冷…

ルビの反乱

引き続き円城塔の『文字渦』。昨夜で「誤字」まで読了。章によって入り込めるものとそうでないものが分かれるのだが「誤字」にはやられた。日本語の版面にこんな表現を押し込むスペースが残っていたとは。発見した著者に脱帽。 習慣とはおそろしいもので、本…

読書の順序

円城塔『文字渦』をずいぶん前に読み始めたが、内容が濃いせいもあってかなかなか進まない。昨夜でようやく「梅枝」まで読了。だいぶ前に『卵を巡る祖父の戦争』も届いてしまっており、浮気心を抑えるのに苦労している。 昨夜は酒瓶棚の整理のために、ちびっ…

ぼくら両方の考えること

ひきつづきボルヘスの『幻獣辞典』をちびりちびりと読んでいる。 さきほど読んだ『ある雑種』の項では、猫と羊の合体した唯一無二の家畜と「わたし」の奇妙な交流が描かれていた。 最終段落の「ぼくをみて、ぼくら両方の考えることをしてみろと」というくだ…

ボジョレーとアマレットと石の色

開高健『珠玉』読了。名作文庫『薄情くじら』に『掌のなかの海』が収録されており、続きが読みたくなって購入し、だらだらと出先で少しずつ読んで来て今日に至る。 数日遅れのボジョレーを飲みきって物足りず、リキュールもといリキャールが飲みたくなって、…

けだるい喜び

ボルヘス『幻獣辞典』(河出文庫)到着。 「誰しも知るように、むだで横道にそれた知識には一種のけだるい喜びがある」 ヲタ気質の喜悦は古今変わらないのだなと、序の冒頭を読んで納得。順に頁を追う本ではないと著者が説明する本であり、さていつまでに読…